15-慈雨-
「ギリギリ及第点ですよ。アーサー。」
アーサーの様子を見に行けば、魔法を撃たれる直前で。
仕方ないから熱線で魔法を撃とうとしていた魔族を消し去る。
距離が近かったから熱かったかも、まぁ不屈もあるし。いいよね?
「新手、か…!?」
そう叫ぶ残った魔族二人の視線は私の手荷物に固定されていた。
よかった。わざわざ持ってきたかいがあった。
私はいらないので彼らの足元に投げ捨てれば、ボールを投げられた犬のようにそれを視線で追いかけた。
「た、隊長……?そんな、バカな。」
手土産に喜ぶ魔族を眺めながらアーサーの元へと近づく。気絶してるね。
ゲイルほどの精度はないけど診察スキルを発動してアーサーを診る。
やっぱり熱線に近すぎたのか、服から露出していた肌はだいたい火傷していた。けど、気絶していても不屈は発動するのか現在進行形で傷が癒えていく。
この様子なら治癒魔法を使わなくても大丈夫そうだね。
「お前…!お前が隊長を……!!」
「うーん。正直、キミたちにさっきの表情以外は期待してないんだよね。だから、さ?これを避けられたら相手してあげる。」
熱線を幻惑魔法を今も使っている阿呆に向けて放つ。
微妙に本当にいる位置と幻影の場所をズラしてるんだけど、察知するスキルなんて腐るほどあるせいで居場所丸見えなんだよね。
幻惑が通じない以上、これ以上私を楽しませることなんて出来るわけがない。回避する時間すらもなく熱線に直撃して焼失した。
残ったのは拘束魔法の魔族だけど。スキルを奪うか悩んでやめた。
面白い使い方が出来そうだけど、奪うのは別にコイツからじゃなくてもいい。
だから熱線を放つ。
さほど高いわけでもない身体能力で回避しようとしてたけど、努力もむなしく直撃です。
さて、と。倒れたアーサーを抱えて、正門へと歩き出す。
軍事エリアの殲滅はほぼ完了しただろう。
中枢だった手前半分はアーサーの活躍で生存者はゼロに近い。奥側もほとんどいないだろう。
万全に動ける状態で残っていた隊長とその彼女に5人も仕留めた。
アーサーが倒れてなければ生き残りを確実に処理する仕事を任せたかったけど…。
この状態じゃきっと厳しいでしょう。
複数のスキルを持っている私よりもゲイルの方が治癒に関しては上手い。私が治癒系を意欲的に奪ってないからもあるんだけど。
ともかく治癒を任せるために正門へ向かう。ゲイルとマーリンは初撃が終了した後、正門前で待機しているはずだから。
……泣き崩れるマーリンとそれを宥めるゲイルを見て、引き返そうか悩んだけど。




