村正・幽世透視
俺は無銘で久遠を斬りつけるがやはり久遠の結界をくぐり向けることはできない。
「お前の刃では俺に傷をつけることもできないぞ」
「それでも!!」
刃を向ける。
「無駄だ!!お前の理想は現実にならない」
「だとしても、理想を掲げないと革新は起きない!!」
少しずつ結界にひびが入っていく。
「お前も見たはずだ、この国に救う価値はない」
「俺は全ての人を救うとは言ってない。俺は柚葉を救いたいんだ」
「たった一人の為にどうしてそこまで」
「目の前の人一人救えないで多くの人は救えない!!」
俺は無銘から村正に持ち替えて村正・幽世透視を使った。
そしてこの宇宙空間自体を斬りつけた。
宇宙空間は崩れ始めた。
「馬鹿な」
「村正は使い手の精神を蝕むその対象をお前に向けた」
「そんなことが」
「できるんだよ、俺は村正の影響を受けないからな」
これは以前からの考えてあったものだった。
村正の呪いは使わなければどうなるのか?普通は刀に宿った陰我と言う人間の負の感情が使い手を襲うが俺にはそれが通用しない、だとすればそれは何処に行くのか。
答えは単純、刀に蓄積されるのだ。
だからその負の感情を溜め込んで放出したのだ。言わばこの空間は久遠の負の感情が作り出したものだから村正の呪いをぶつければ強い方がその場を制する。
「馬鹿な俺の憎しみがこんな刀に負けるわけ」
「負けるさこいつは何百年もこの負の感情に苦しんでいたんだ。お前の数十年の憎しみとはわ訳が違うんだよ」
宇宙空間は崩れ去った。
「柚葉!!」
「させない」
結界で柚葉との間に空間がありその結界を破壊することは出来なかった。
「これはお前の村正でも無理だろう」
「そうだとしても」
俺は村正で再び同じ村正・幽世透視を使ったが少しの傷だけをつけて結界は崩れなかった。
「なんで?」
「確かに俺の結界は憎しみを糧に生成されるがもう同じ手は食わない」
でも傷をつけた事実は変わらない、俺は再び村正を使おうとしたが違和感があった。
「よく見てみろ、お前の村正を」
「え?」
村正の刀に刃がついてなかった。




