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集落掃討と初めての納品

集落の中にはオークがまばらに存在していた。


なんていうか、思っていたよりしょぼい?


奴らは私が集落に足を踏み入れた瞬間、恐慌状態に陥った。


私がオークキングの元に行くまでに死んでいった個体が1、2、3、4………平民オークの数がどんどん減っていくから数えるのはやめた。


一番豪華な建物と言っても程度は知れているが、私の前にはオークキングの屋敷が聳え立っている。


屋敷って呼んでいいのかな?結構オープンな造りだけど。


建築のけの字も知らない私でも作れそうな予感。


オークキングは只今、配下の魔物に裏切られ、なぜだぁァアというような表情を浮かべている。


豚の頭でも案外感情ってわかるんだなあなんて、この場には似合わない感想を抱きながら近づいてみる。


なるほど。


配下の魔物は私の持っている図鑑の絵と照合すると………


魔女の帽子を被ったオークメイジ、

剣を持ったオークソルジャー、

盾を持ったオークガード、

杖を持ったオークプリースト、

弓を持ったオークアーチャーだな。


そして、今は本来起こるはずのない裏切りで絶体絶命の大ピンチに陥っているけど、実はこの場では一番の戦闘能力を持っている、冠を被ったオークがオークキング………と。


王様は意外と小柄だった。


この布陣、並のパーティーでは倒せないというのも頷ける。


まあ、私はちょっとだけ?ズルをして勝たせてもらうけどね。


そうやって私が観察しているうちにオークキングが配下の魔物を一掃した。


最初に見た時と比べれば、たくさんの攻撃を受けた今はボロ雑巾のようになっているけど、一体サシで戦ったら


もう、取り巻き要らないよね?と思う。


このままだと暴れるオークキングにドロップアイテムを破壊されてしまうからサクッと倒すことにする。


一思いにぐさっとな。


お決まりの雷みたいな現象が起きて、オークキングは力尽きた。


ソロでこのダンジョンを踏破できるなんて、私ってもしかしてめちゃくちゃ強いのでは?


思わず調子に乗っても怒られなさそうな戦果だ。


オークキングの屋敷の中に帰還の魔法陣が浮かび上がる。


幸運なことにドロップしたのは肉だった。


こんなにちょろいならもう一戦してもいいかも?と思ったが、ドロップアイテムを拾ってから判断しても遅くない。


というか、さっさと拾わないと次がリポップしてしまう。


私はオークの集落の中を隅々までみてまわった。


その結果、鞄がいっぱいになってしまったので、今日は帰ることにした。


――――――――――――


転移魔法陣で小屋の中に戻ってきた私は、また、一時間かけてギルドの前までやってきた。


この大荷物で行きと同じペースを保てた私は、結構体力があるほうだと思う。


ギルドに入るとディーナさんが出迎えてくれた。


「あんた、無事でよかったよ。どうやら怪我はなさそうだね。だけど、やけに早くないかい?依頼の品はどうなった?」


ディーナさんが私の格好を見てほっと息をついた。


「ディーナさん、そんなに捲し立てちゃ、ベルデライト様も驚いてしまいますよ」


サボリ魔疑惑のあるリーファさんがカウンターの向こうからやってきて私の荷物を預かってくれた。


顔見知りとはいえ、すぐに飛んでくるなんてこの人暇なのかな?


「そうはいってもねえ………オークキングを倒すにはダンジョンを踏破しないといけないだろう?いくら、即死罠の無い中級ダンジョンの依頼だと言っても、初心者が成し遂げるにはいささか難易度が………」


ディーナさんはブツブツと独り言を言いだした。


「まあまあ、無事に帰ってきたんですし、ドロップアイテムを確認すれば依頼達成できているかわかるんですから」


リーファさんはその儚い見た目からは想像もできない力で私の荷物を持っていった。


「机に中身を全部出しちゃいますね。えーっと、依頼の品は………ありました!他の品物も全て買取でいいですか?」


私はコクコクと頷いた。


今回手に入れた品は以下の通り


オークキングの肉×1

オークメイジのステッキ×1

オークソルジャーの牙×1

オークアーチャーの弓矢×1

オークガードの肉×1

オークプリーストの回復薬×1

オークガーディアンの肉×1

オークガーディアンの牙×1

オークの牙×18

オークの肉×10

オークのモツ×5

オークのタン×3

没落したオークアーチャーのボロ弓×1

没落したオークソルジャーの肉×1

レッサーヒヒの毛皮×2

ウィートハーピーの羽×22

ウィートハーピーの卵×10


思ってたよりたくさんあった。


「おかしいですね。なぜこのサイズの何の変哲もないリュックにこれだけ多くのドロップアイテムが詰まっていたのでしょうか」


リーファさんも不思議そうな顔をしている。


「何の変哲もない村娘だと思われていた私……は実は収納術の達人だったということなのかな?」


リーファさんと顔を見合わせる。


「全くあんたたち、そんなはずはないだろう。このかばんが作られた工房名を見てみな」


ディーナさんが鞄の底に記されていた工房名を指さす。

見てみたけど、年代物であるせいか掠れすぎていて、私には正直なんて書いてあるかさっぱり分からない。

リーファさんも読めないようで、首をかしげている。


「このサインから推測するに、このバックはアイテムバックが発明されるより前の時代に作られたもんだ。重さがあまり軽減されていなかったり容量がある程度限定されているところを見るに、アイテムバックの劣化版といったところかね。時間停止機能がついているかどうかまでは分からないが………まあ、ついていないと思っておいたほうが良いさね」


ディーナさんが親切丁寧に説明してくれる。


道理でいっぱい入ったわけだ。


「それってつまり、骨董品じゃないですか~!私そういうの大好きなんですよ~」


リーファさんはなんだかテンションが上がっている。


骨董品が好きっていうけど審美眼?というか、骨董品とそうでないものを見分けることはできないのか……という言葉は飲み込んだ。


リーファさんが骨董好き?だということが判明したところで、ディーナさんが査定表を持ってきた。


「まず、依頼の肉は1個だからあんたに渡すのは2000G、銀貨2枚だね」


予定通りに事が運んでよかった。


「次に、オークメイジのステッキだが、これは激レアドロップだから15000Gで大銀貨1枚と銀貨5枚」


大銀貨!なんだかちょっとお金持ちになった気分だ。


まさか、オークキングの肉より高くつくなんて驚きが隠せない。


「まだまだいくよ。オークソルジャーの牙と、オークガーディアンの牙がそれぞれ200Gで合わせて400G、小銀貨4枚」


ほうほう。


「オークアーチャーの弓矢は…正直なところハズレだね。1Gで銅貨1枚。だけど、こっちのオークプリーストの回復薬は人が作ったのより効果があって、高くても売れるから50000G……大銀貨5枚だ」


おおっ!


「オークガードの肉とオークガーディアンの肉はそれぞれ500Gで合わせて銀貨1枚」


ふむふむ。


「没落したオークソルジャーの肉が250Gで小銀貨2枚と大銅貨5枚。没落したオークソルジャーのボロ弓は……レアドロップだね。名前がちょっとアレだけど初心者用の装備としてはまずまずの品質だから700Gで小銀貨7枚」


なるほど。


「オークの牙が1個20Gで18個あるから全部で360G、小銀貨3枚と大銅貨6枚」


「オークの肉、モツ、タンがそれぞれ一つにつき100Gで合計1800G、銀貨1枚と小銀貨8枚」


「レッサーヒヒの皮はうーん……買い手がつくかどうか怪しいから1個1Gで合計2G銅貨2枚かねえ」


臭いからかな?


「ウィートハーピーの羽はいくらあっても足りないんだよねえ。まあ何百、何千という単位でない限り大した金額にはならないんだけど……1枚1Gで合計22G、大銅貨2枚と銅貨2枚だね」


「最後に、ウィートハーピーの卵!これは結構デカいし味が良い!殻も使える!そして繊細な扱いが求められる分、低級魔物のドロップアイテムの中ではそこそこの値が付くね。1個500Gってとこか。合わせて5000G、銀貨5枚だね。」


いけない。


段々金銭感覚がよく分からなくなってきている自分がいる。


「えーっと、全部合わせるといくらになるんでしょうか?」


「そうさねえ……」


ディーナさんがぺらぺらと紙をめくる。


「しめて76534Gだね。大銀貨7枚、銀貨6枚、小銀貨5枚、大銅貨3枚、銅貨4枚だ。確認してごらん。それにしてもあんた、ドーンと稼いだもんだ。暫くは安泰だね」


ディーナさんがガッハッハと笑う。


「リーファ、あんた暇だろうからこの品々を包んで転移装置に持っていくんだよ。ほら、ぼさっとしてないで行った行った!」


リーファさんはギルドの奥へと消えていった。


「それにしても有望株だよあんた。ソロで、短時間でこれだけ稼げるなんて、こんな辺鄙なところに収まる器じゃあないかもしれないね。仲間とかはいないのかい?」


私は舞い上がってすっかり忘れかけていた悪友たちのことを思い出した。生まれた時から一緒にいたメンバーを忘れるなんて我ながら最悪だと思うが、それはさておき。


「仲間はいるんですけど、私のスキルとパーティー狩りの相性があまり良くないという懸念をしていまして……」


「ふむ、確かに、聞いた限りだとあんたの能力はソロの方が向いている。アタシだって無理に仲間と冒険しろとはいわないさ。

だが、この世界には知っての通り、レベルという概念があるだろう。だから、あんたが周りを巻き込んでも大丈夫なくらいになるまで、仲間をレベリングしてから一緒に冒険するのがいいんじゃないかとアタシは思うんだ。

せっかくの友人だしね。信頼できる仲間は大事だよ。世の中良いやつばっかじゃないからね」


ディーナさんはなんだか過去を回想しだしそうな雰囲気を放っている。


良いことを言ってくれているのはわかるが、日も陰ってきたし、長時間拘束されそうな気がしたので、


「ディーナさんありがとうございました!」


と言って私は冒険者ギルドからそそくさと逃げることにした。

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