言葉になりたい
きみのいない寂しさは雨のせいにしてしまえばいい
打たれる音に耳を澄まして
誰かの読む物語のヒロインのように
肩を抱いてくれるのを待ちたい
わたしだけの弱さは物語のせいにしてしまえばいい
一つの言葉に心を添えて
似たもの同士と目を伏せるだけで
黒ずんだ蟠りもこんな世界なら生かせる
傘を差さないのはあなたのせいにしてしまえばいい
滴から守る騎士のように
きみを背に、砂浜に書いて消したのは
知りもしないあなたの名前だったとしても
あなたの紡ぐ、言葉になれたら
報われた気になれたのでしょうか
もしもその言葉に慣れたら
また欲張るのを知っていたのでしょうか
あなたに続く、言葉を生めたら
崩す前に指に収めたのでしょうか
もしもその言葉を放ったら
遅すぎるよと笑ってくれるのでしょうか