1/54
独白
はじめまして、棘 慧です。
古典的なハイファンタジーですが、どうぞよろしくお願いします。
俺はいま、考え続けている。
腕を振り、息を切らしながら、お前のことを。
この世には骨を噛むような、どうしようもない虚ろさがあって、俺たちはいつも選択を迫られる。
お前もその虚ろさを見てきたはずだ。俺と共に。
お前はもう、何も知らない子供ではない。
それでもお前は、俺をまっすぐに見つめた。あの透き通った眼で。
どうすればお前のようになれる?
お前はいま、何を考えている?
いま、俺がこうやって息を切らしていることは、お前が血を吐くような思いで選択したものを、踏みにじるようなものなのかもしれない。
だが、あの日、俺は聞いてしまった。
あの日のお前の顔が目に浮かぶ。
あれは、心から滲み出た、真の言葉だったのだろう?
だから俺はいま、駆けている。
だから俺はいま、静かに涙を流している……。
閲覧ありがとうございました。