表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コペンハーゲン  作者: まんまるムーン
8/15

6-5




「斎藤さん、突然の飲み会ではあったけど、みんな楽しんだからお金なんて返してもらわなくてもいいんだよ。」


小田は申し訳なさそうに花蓮に言った。


「ううん。迷惑かけたんだから、こういうことはキチンとしておきたいの。それに、これは私が戦って勝ち取ってきたお金だから。」


花蓮は鼻を膨らませて勇ましく言った。


「じゃ俺、みんなに返しとくわ。」


小田は花蓮からお金を受け取った。


「なんか…斎藤さん…、変わった?」


「そう? そっかな…。いや、隠れていた本当の私に近づいてきているのかも。」


「ふーん。」


「私、なんだかすごく気持ちがいい。初めて自分のこと守れたって気がする。」


「そっか。なんだかわからないけど、斎藤さんが元気になってよかった。」


小田はコーヒーを飲みながらニコニコした。



 もちろん逃げる方がいい事もあると思う。


 だけど…今迄みたいに、相手に振り回されて傷ついて終わりじゃなくて


 自分が納得できる落としどころにもっていけるようになりたい。



花蓮は自分で自分の人生を作っていこう、という気持ちになった。



「そういえば…、あれからどうなってんの? あの時一緒に消えたでしょ、弘人と…。」


「…それ聞く?」


「…あんまりいい話ではなさそうだね…。聞かない…。」



「中島君は…よくわからない…。はっきり言えるのは、彼は私とは付き合うつもりはないみたい。」


「…俺、長年あいつと友達やってるけど、そこんとこだけ、いまだに謎…。あいつ絶対斎藤さんの事好きだよ!」


花蓮はそういう小田を訝しげに見た。


「でも…もういいんだ。実をいうと、私も中島君の事、高校時代からずっと気になってた。でもやっぱり縁がなかったんだと思う。もう、中島君の事は忘れることにしたの。」


「…まあ、斎藤さんがそう決めたんなら俺は何も言う資格ないしね…。」


「だけどね、私、中島君のおかげで、今やっと自分のこと守れるようになりつつあるんだ。」


「うん。斎藤さん、なんだか強くなったような気がする。」


「でしょ?」


「肝っ玉母ちゃんみたい!」


「やめて!」


二人は笑いあった。





花蓮は自分の事を、平凡で、何の取り柄のない人間だと、ずっと思っていた。


 取り柄が無いんだったら、作ればよくない?


 今、私は自由で、時間もあって、バイトを頑張ればお金だってある。



 何か私にできそうな事…。



 特技は…何もない。

 

 興味あることも、思い浮かばない。


 私は何なんだろう?



 …女で…日本人で…



 そうだ!



 一つ一つ手に入れて、未来の私の武器にするんだ!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ