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コペンハーゲン  作者: まんまるムーン
7/15

6-4




 花蓮は美奈と浅野を呼び出した。


待ち合わせ場所のカフェで待っていると、美奈が先に現れた。


美奈には浅野も呼び出していることを知らせてなかった。



「花蓮、どうしたの?」


美奈は何事も無かったかのごとく、どこか不敵な笑顔で花蓮に声をかけた。



美奈は、あんな仕打ちをしても、気の弱そうなこの後輩が自分に歯向かえるわけないと思っていた。


せいぜい恨みを込めた愚痴を言う程度だろうと高を括っていた。


もしそんな事言いだそうものなら、何倍にでもして仕返ししようと思っていた。



この女は自分の恋人を誘惑しようとした極悪人なのだから!



美奈が席についてしばらくすると、浅野がやってきた。


美奈は浅野に気づいてギョッした。


そんな美奈を花蓮は真正面から睨みつけていた。


「花蓮ちゃん、おまたせ! え? 美奈?」


浅野も美奈に気づいてうろたえていた。


「これ、何の集まりなの?」


すでにバツが悪そうに落ち着かない様子だった。


「浅野さんも座ってください。」


花蓮は浅野を睨んで言った。


「私さ、暇じゃないのよ。今日だってこれから講義だし。だか…」


美奈が言い終わらないうちに花蓮は言葉を遮った。


「逃げるな!」


今迄見たことないような迫力ある花蓮に美奈も浅野も驚いた。


「浅野さん、知ってますか? あなたの彼女が私にした事を。」


花蓮は浅野に美奈が花蓮を陥れた件を包み隠さず全て話した。


「美奈…おまえ…ひでぇな…。」


浅野は美奈にドン引きしていた。


「は? 何言ってんの? 違うの! この子嘘言ってるから!」


美奈は浅野に取り繕った。


「嘘なんかじゃありません。私、こんな時の為に、美奈さんとの会話、全部録音してます。なんならここで流しましょうか?」


花蓮はバッグからケータイを取り出そうとした。


「やめてよ! そんなことしなくてもいいでしょ! 花蓮、ちょっとおかしいよ! 会話勝手に録音するなんて! 気持ち悪い!」


その時の会話を録音などしているはずは無く、カマをかけただけだったが、美奈は案の定動揺していた。


「だいたいさ! 花蓮が私の彼にちょっかい出すからでしょ! 人のものを横取りしようなんて根性が腐ってる!」


美奈はだんだん興奮してきて喚き散らした。


「ちょっかい出してきたのはあなたの彼氏の方です!」


花蓮はテーブルを思いっきり叩いて美奈に言った。


「浅野さん、私は今猛烈に後悔しています。」


「え…?」


「でもこの先私はこの手の人たちと関りを持つことは無い…。」


花蓮は独り言のように言った。



「美奈先輩のせいで、私は20人の知り合いに迷惑をかけました。


その人たちの時間を返すことはできないので、せめて飲み会分は返してください!」


「は? 何言ってんの? そんな大金返せるわけないでしょ!」


「返さないと言うなら、美奈先輩とのやり取りの会話と、彼女がいながら私を誘って来た浅野さんとのメッセージのやりとりをサークル内で公開します。」


「ちょっと! そこまでしなくてもいいでしょ!」


浅野は慌てた。


「私はそこまでされたんですよ! あなたと美奈先輩に!」


美奈と浅野は顔を見合わせた。





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