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おにぎり

お久しぶりです。


編集が終わったので投稿します。


基本は週一更新ペースになるかと思いますがよろしくお願いします。

第4食 おにぎり


ヴァイスハルト国首都セイブラウ

王城・国王私室


「……と言うわけで、昨日依頼したシーサーペントの住処だった海中の遺跡調査に行ってもらいたい。」


部屋の中で4人の男女が椅子に座りその中の金髪の青年と言っても差し支えがない程の男性が徐に口にすると、狐耳の幼女?が反論する。


「何が…と言うわけで…じゃ!何も説明しとらんではないか!!」


「まぁまぁ、タマ、ケインはこういう奴だって分かってるじゃないか…で?調査は何で必要なんだ?」


憤慨している玉藻を宥めながら黒髪の男性(克馬)が国王の金髪青年(ケインクロード・ファルクス・ヴァイスハルト2世)に理由の説明を求めると、ケインクロードの横に座る王妃で長い銀髪の女性が手櫛で髪を梳かしながら、


「さすがは克馬!どっかのロリババァとは大違いだな、どっかの満足にメシも作れねぇ惰狐とはな!老化が進んで遂に思考まで放棄したか?」


と、その清楚な感じに反して口汚く玉藻を罵り見下していた。


「貴様こそ妾と50ぐらいしか変わらぬ若作りの牛乳女ではないか!!…………ふんっ、哀れよのう…そんな無駄な物のせいで頭が悪くなってしまったのじゃな…だから魔法が使えんのではないか?だいたい今は普通に飯ぐらい作れるわ!!」


「テメェ…魔法使えねぇのは体質だって知ってんだろうが!!俺の魔弾でその薄〜〜い胸をえぐれ胸に改装してやろうかぁ!!」


売り言葉に買い言葉とばかりに玉藻と銀髪の王妃ライン・ナルバレッタ・ヴァイスハルトはお互いに罵り合っていた。


「ライナも相変わらず元気そうで安心したよ…で?ケインは何であの遺跡が気になるんだ?」


「いや何、昨日の夜、文官の娘が興味深い本を持ってきてね?これなんだが…」


自分達の妻の喧嘩を放って置いて会話を進める男達

ケインは徐に克馬に1冊の本を手渡す。

読んでみろ、と言われて疑問を浮かべながらもページをめくる。


「!?まさか!」


3ページほどめくったところで克馬が驚き声をあげる。

それに気がついた玉藻がライナとの口喧嘩を辞めて隣から本を覗き込む


「…………?何々、ふむ…アトランディア語か?随分と古い文献の様じゃが……」


驚きで固まったままの克馬の横で玉藻が読み進めていくと驚くべき記実が眼に入った。


ーい…来たら…コレを起動し、故郷に…る…我等の地球にー


「……地球?………?!お前さま!!確か地球というのは?」


玉藻が下から克馬の顔を覗き込むと、克馬は驚きながらも一言


「まさかこんな所で地球への帰り方が分かるとはな…10年探してたんだけどな。」




「まぁ確定ではないが、克馬が故郷に帰る目処がたったという事だが……この文献を調べて調査団を送った結果…あの遺跡の中心部が異世界への転移門だという事が解った。しかも一度だけではなく何度も出入りして検証した結果、安定して使える事が判明した。」


「調査団を送って転移出来たなら先に進めばいいだけじゃないのか?」


ケインの言葉に克馬が反応して質問すると顎に手を当てた玉藻が、


「ふむ、転移門の先で何かが邪魔をしておって、妾と克馬にはその排除を依頼する…と言ったところかのう?」


と、呟くように言うと


「おーー!さすが俺の夫、分かりやすいように態々噛み砕いて話してやるとは…能天気勇者とロリババァにも優しいじゃねぇか。なんか転移した先にいるゴーレムが恐ろしく強いらしくて調査団の雑魚どもじゃ歯がたたねぇらしい。……まぁ、惰狐には無理かもしれねぇけどなぁ〜〜。」


ライナの言葉を皮切りにまた女同士の口喧嘩が始まったが男2人は気にせず話を続ける。


「話を戻すぞ?調査団の中に鑑定士が居て鑑定した結果、レベル不明のマシンゴーレムだそうなんだが…俺やお前なら楽に勝てるだろう?調査ついでに帰郷して来ても構わんぞ?」


近くの温泉に行ってくれば?的な軽いノリで克馬の叶わなかった願いを許可する親友に笑顔を浮かべて、


「……じゃあちょっと行ってくるかな?……なぁ、リアも連れてっていいか?ちょっと顔を見せたい人達が居るんだが?」


と、言うとケインは何でもないかの様に、


「好きにしろ……何せ”勇者が自ら”調査してくれるんだからな、取り敢えず期間は1週間程で一度帰って来て報告を頼む。」


と、笑いながら言った。





「リア!!!出掛けるぞ!!準備しなさい!」


セイルレイの自宅兼店舗に帰った克馬はギルド兼料理店の扉を勢い良く開けるなり大声で叫んだ。


「?!ひゃう!……お父さんどうしたの?そんなに慌てて?」


店の常連客のシスターから注文を取っていたリアは克馬の見た事ないぐらいはしゃいだ様子を見て驚きながら理由を聞くと克馬の後ろから見慣れた紅い着物を着た幼…もとい、女性が入ってきた。


「リア、今の克馬に何を言っても無駄じゃ…兎に角支度をせい、お出掛けじゃ。安夜禍、妾の準備を手伝ってくれ。」


お母さんが入ってくるなり疲れた様な顔をして、準備を促してきたので取り敢えず準備をする為に住居の自室に戻る。


「まぁ!それでは……えれ…あちら側………孫……ですもの……御喜びになりますわ。」


部屋の外でお母さんと安夜禍さんが何やら話しているがよく聞こえない。

すると部屋の扉が外からノックされたので慌てて扉から離れるとーガチャーと、扉が開く。


「何じゃリア、まだ準備出来とらんかったのか?仕方ない妾が手伝ってやろう。」


と、お母さんと安夜禍さんが揃って入ってきた。


「あれ?お母さんその服………。」


入ってきた母の服がいつもの紅い着物ではない事に疑問を浮かべると母は、


「うむ、何やら”あちら”では妾の様な髪色の者が着物を着ていると目立つ様でな…やはり似合わんか?」


恥ずかしそうに自分の服を眺めながら口にしたので私は慌てて、


「いつもの着物も似合ってるけどそのヴァイスハルト風もよく似合ってるよ!」


と、言うとお母さんは顔を赤くしながら


「そ、そうか?妾は何を着ても似合うからのう。」


その横で安夜禍は思った。

確かに似合っているが……それは巷ではゴスロリと呼ばれるタイプの服で、その中でもそれは完全に子供服です…本当にありがとうございます!。と、思いつつ記録用魔結晶を起動し続けていた。



「じゃあみんな!1週間程留守にするから後をお願いするよ!」


「すまんのう安夜禍、ギルドと料理店両方とも任せてしまってのう?」


「行ってきまーす!」


1時間後ギルド兼店の入り口で多くの人に見送られる形で克馬達3人が旅立っていく姿を見送った人達は


「今週はリアちゃんの笑顔がみれねぇのかぁ〜…仕事休もうかなぁ…」

「良かったねぇ、克馬さん本当に嬉しそうで良かったじゃないか。」

「あれ?ギルドと料理店はどうなるんだ?まさか休業とはならないよな?」


ふと、克馬と玉藻が不在のギルドと料理店はどうなるのか不安になりあらためて祈の扉を開けると


「「「「大丈夫でございます、料理店の方はこの安夜禍が受け持たせていただきます。」」」」


と、4人に分身した安夜禍が丁寧なお辞儀をしていた。


まさかギルドの方も安夜禍かと思い目線を向けると、


「ワタシガ代理ノギルド長ノエルフ仮面デス。」

と、これまた実質的な領主業を行なっている筈の町長にそっくりな仮面のエルフ?が爆誕していた。


「おい、アンタ町長だよな?まさかアンタがギルド長代理…」


スキンヘッドの冒険者がその旨を伝えるとエルフ仮面?は


「イイエ……ヒトチガイデス…………。きっと。」


と、遠い目をしながら答えた。


その頃玉藻の転移魔法で海中遺跡の最深部付近に転移をした


直ぐに調査団に合流し、転移門を抜けるとマシンゴーレムが立ちはだかった。


「リアは下がっとれ!妾と克馬で排除する!!」


と、叫ぶとマシンゴーレムが完全に此方に振り向き終わり戦闘態勢に入った。


「ーーーピー、ガーー警告、ココカラ先ハ立入禁止デス、速カニオ戻リ下サ……!!!最上位権限者ヲ確認、警戒モードヲ解除シマス、最上位権限者様、新ナゴ命令ヲドウゾ」


と、思ったら急に大人しくなった。


「は?何で?最上位権限者って誰?」


と、克馬が混乱しているとマシンゴーレムはゆっくりと動き出し克馬と玉藻の背後に居たリアの前にひざまづいた。


「ーー最上位権限者様、新ナゴ命令ヲー」


目の前でひざまづくマシンゴーレムにリアはキョトンとしながらも、


「お名前はなんて言うの?」


と、質問するとマシンゴーレムは立ち上がり蒸気をあげながら、


「個体名・識別コードナシ、作製者カラハ巨人ノタイタスアーマート、呼バレテオリマシター」


「タイタス?でもそれ名前じゃないんだよね?じゃあ……バックスォーム!リアの大好きな絵本の騎士様の仲間の名前だよ!」


「個体名バックスォーム承認、コレヨリワタシハバックスォーム、トナリマシタ以後ヨロシクオ願イシマスー」


両親2人を置き去りにしたままリアとマシンゴーレム(バックスォーム)は楽しそうに会話をして何やら魔導契約までしてしまった様だ、何やら強い繋がりを感じた。


「でもその話し方だとお話ししづらいよね?私はもっとバックスォームとお話ししたいな!」


と、無邪気に言うがそれは無理だろうと克馬と玉藻が思っていると、


「ーー了解シマシターーーーーーモード変更ガーディアンより…サーヴァントへー変更完了しました……マスターこれでよろしい…でしょうか?」


と、聴きやすい言葉遣いに変化した。


「「馬鹿な!?」」


と、2人が叫ぶとリアは更に、


「そんなに大きいと一緒にお出掛けできないからもっと小さくなれないかな?」


とお願いすると、


「畏まりました………モード変更…コアモードに移行します…危ないので少し離れて下さい……」


リアが離れたのを確認するとバックスォームは両手を広げて空を仰ぎ見る様な仕草をしたかと思うと巨大な装甲が浮き上がり収納魔法で装甲が少しづつ仕舞われていき、最後は光る手のひらサイズの球が残り、ふよふよと浮かび上がりリアの肩に止まった。


「ふぅ…マスター…?どうしたの…私…何処か変…?」


光の球体は少しづつ光が薄くなり、完全に晴れるとそこには、色素の薄い髪と肌をした10cm程の人形の様なものが首を傾げながらリアの肩に腰掛けて居た。


「可愛い〜〜!バックスォームなんだよね?どうやったの〜!」


リアは肩に座った人型を掴むと嬉しそうに抱き上げながらクルクル回る。


「…ああ…ダメ…マス、グゥ〜〜ギュル〜〜〜〜グューー!!………ター、申し訳…ない…補給を……お願い…。10000と…2000年前から…休眠状態に…あった…補給…を…」


補給?どんな物が必要なんだろう?、と克馬と玉藻が考えているとリアはバックの中から克馬が出かける前に作っていたおにぎりを取り出して、


「コレでいい?美味しいよ!」


と、手の中のバックスォームに食べさせようとする。


いや、それは流石に無理だろ?と、考えた克馬はエネルギーパックのような物を探すが、


「…ありがとう…マスター……パクっ、はむ、はむ、……………美味しい…。」


と、リアの手の中で自分と同じくらいの大きさのおにぎりを食べ始めた。


「…………………本当に何なんだこの子は?」


克馬はついさっきまで巨大なマシンゴーレムだった存在に興味が湧いてリアと一緒に観察していた、玉藻が周囲に危険が無いか調査して、安全が確認されたので転移門の向こうの調査団を連れてきた。


「かわいいです!」

「ホント、どうやって動いてるのかしら?」

「先輩私も!私も!」


「……うぅ、マスター…助けて…」


調査団がこちら側の転移門に入って来ると、リアの手の中でおにぎりをパクつくバックスォームを見て、女性陣がリアとバックスォームを取り囲み揉みくちゃにしていた。


「ごめんねバックスォーム、お姉さん達には逆らえないから我慢してね。」


女性陣の質問されたり突かれたりで補給が出来ずリアに助けを求めると、我慢してと言われ20分程経った頃ようやく解放された。


「おーい!みんな取り敢えず飯にしようか!」


克馬の声で人が集まると、差し入れとして持ってきた大きな弁当箱を玉藻が収納魔法から次々と取り出していた。


「わーー!美味しそ〜〜!!」

「おう、”祈”の飯は久し振りだなぁ…故郷のお袋の味を思い出すんだよな……。」

「おにぎり!克馬様っ!!サモアのフレークはどれですか?」


と、目の前に広げられた色とりどりの御菜と大量のおにぎりが詰め込まれた弁当箱を見て騒ぎ出す。


その喧騒の片隅で、リアとバックスォームが仲良くおにぎりを食べている光景を見て克馬が近づくと、


「マスターの…お父様…?私に…何か…?」


「いや、君がここの管理者なのか気になってね?何かここの事を教えてもらおうかと思ったんだが…」


バックスォームが克馬を見上げて声を掛けると、克馬はバックスォームに質問した。


「以前の管理者…という点では同意…現在は…全てマスターの物…。…………………!そう言えば…あなた達の中…転移門の魔法…使用者…居る…?」


淡々と語るバックスォームだったが何かを思い出したかのように転移門の魔法が使える者が居ないか聞いてきた。


「タマなら使用出来るが…分かった取り敢えず呼んでくるから待っててくれ。」


離れた所で給仕をしている玉藻を呼ぶため立ち上がると歩いて行った。



「何じゃお前さま、まだ皆に配り終わってないのじゃが…おおっ、リアとスーではないかちゃんと食べておるか?」


三角巾と割烹着を着た玉藻が克馬に手を引かれて来るとリアとバックスォームの頭を撫でて微笑む。


「…マスターのお母様…くすぐったい……………出来れば…先程の…小さい赤い粒の入ったおにぎりを…もう一つだけ……。」


恥ずかしそうに俯きながら美味しかったおにぎりをバックスォームが所望すると玉藻は嬉しそうに、


「赤い粒?……おぉ!サモアの卵じゃな、……匂いは…あちらじゃな、待っておれ?直ぐに持ってきてやるからのう。」


と言って走って行った。

戻って来た玉藻からサモアの卵が入ったおにぎりを受け取ると、ぱぁ〜〜、と笑顔になり夢中で食べはじめる。


食べ終わった頃に玉藻が、そう言えば何故呼ばれたんじゃ?と、聞くと、そもそも転移門の魔法を使える者を呼んでくれと言われた事を克馬は思い出し、食べ終わって幸せそうな顔をしてリアの肩で寛いでいるバックスォームに声を掛けた。


「はっ!…そう…転移門…お母様…使える?…。」


「おお、使えるぞ?何じゃ何処か行きたい所でもあるのかのう?スーもこのような所で永きに渡り待ち人をしておったのなら行きたい所もあるじゃろうしのう。どこでも言うがいい!」


自分も長年封印されていた玉藻はどこか思うところがあるのか上機嫌で行きたい場所を聞くと、


「違う…私の居場所…マスターの隣…転移先は地上…多分…日本?…。」


幸せそうな顔から一転させ真面目な顔で玉藻の質問に答えるバックスォーム、頬っぺたに大きな米粒を付けていなければカッコがついたのだが……いろいろ台無しだった。


「日本?!って事は今此処は地球なのか!?」


日本と言う言葉に克馬が興奮してバックスォームに詰め寄ると、


「肯定…現在地は地球…地底に該当すると推察…理由として…衛星画像からの客観的な判断…。」


淡々とバックスォームは説明をする。

それを聞いた克馬はどうすれば地上に出られるのかを聞くと、


「転移門の魔法を使用……座標を伝えます…此方に…。」


バックスォームに促されて玉藻が近づくと玉藻の頭の中に次々と見たことのない景色が浮かび上がってくる。


「おおっ!凄いのう、今ので地球?と言う場所なら何処でも行けるようになったぞ………克馬?」



「……バックスォーム…教えてくれ…今は西暦2000年から何年経っているんだ?」


固まったままの克馬を心配した玉藻が声を掛けると、克馬はバックスォームに今の年代を訪ねる。


「新聞等を確認…マスターのお父様…現在2012年程と推測…。」


その答えを聞いた克馬は涙を流し、


「帰れる………日本に…俺の故郷に……。」


と、立ち尽くしていた。



「お前さま、落ち着いたかの?調査団の者達には報告の為戻ってもらったでな、では行くとするか……克馬の故郷へのう。」


それから2時間ほど経った頃、調査団を返し終えた玉藻は、転移門の魔法を唱えると、落ち着きを取り戻した克馬と期待感からそわそわしているリアとスーと共に青白い転移門の中へと入って行った。

ロボも項目に入れた方がいいのかなあ?


取り敢えずまた来週です。

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