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ドラゴンのハンバーグ

若干の修正をして投稿しました。


少しでもほのぼのとした気分になって頂ければ幸いです。

第2食 ドラゴンのハンバーグ


「やっと着いたぜ!此処がセイルレイか!」


東方の剣士風の青年がセイルレイの港に降り立つと此処まで送り届けてくれた船の乗組員達に礼を言い、謝礼を渡して別れを告げた。


「ふーむ、此処が勇者の治める土地か…確かにいろいろな種族がいる様だな………。」


青年は港を出て直ぐの広場へ行くと耳が長くて色素が薄いエルフの女性や額から角を生やした大柄な美女、金髪で金の尻尾を振りながら歩く少女などを見てそう呟く。


「まぁいい、取り敢えず冒険者ギルドに行くとするか……えぇと、確か……あそこか?」


港の渡航者管理事務所というところで聞いた白い煉瓦造りの建物を発見したが冒険者ギルドの看板ではない様に見えた、しかし白い煉瓦造りの建物が他に見つからない為取り敢あえず中に入る事にした。


中開の扉を開けるとそこには……


「リアちゃん、朝定食お願い。」

「こっちは焼き魚定食で。」

「あっ私も朝定食!」


何故か料理を注文する人々が居た。


何故冒険者ギルドで食事を頼んでいるのだ?やっぱり建物を間違えたか?と青年が悩んでいると、注文を受けていた狐耳の少女が「いらっしゃいませ!」と元気な挨拶をしてから席に案内してくれた。


「……まぁ良いか、ちょうど腹も減ってたし…どれ……んん?。」


少女から渡されたメニューに目を通すとそこには見たこともない様な料理の綺麗な絵が記載されており説明文まで細かく記載されていた。


「ん?兄さん見ない顔だね、冒険者かい?」


隣の席に座っている老夫婦の男性が青年に声を掛けてきた。


「あぁ、となりの大陸から今日船で渡ってきたんだが…大陸変わると此処まで料理が違うんだな……驚いたよ。」


と、返事を返すと老人は笑いながら「ココは特別なんだよ」と言って最初は朝定食がいいかもしれないね。とすすめてくれたのでそれにする事にした。


「嬢ちゃん!朝定食1つ!」


手を挙げて注文をすると、狐耳少女は俺の前まで歩いてきて、


「お客様初めてだと思いますが、朝定食で宜しいですか?今日はドラゴンのハンバーグなんですが?」


ハンバーグ?………っていうかドラゴン!?いったい金貨何枚するんだよ!!!

と、驚いていると何かに気づいたのか少女は、


「ハンバーグっていうのは肉を細かく砕いたものを纏めて焼いた肉団子みたいなものでして…朝からはちょっと重いかもしれませんがお兄さんは冒険者さんですよね?だったらバフ効果もあるし、ちょうど良いかもしれないですね。朝定食で良いでしょうか?」


と、こちらの心配とは別のハンバーグという料理の説明をしてきた。


俺は慌てて、


「いや、そうじゃなくてドラゴンの肉だろ?……その…高いんじゃないのか?ここの相場は判らないが俺の居た大陸じゃ100グラスで金貨3枚ぐらいだったし、こっちでもそれぐらいじゃないのかと思って…俺隣の大陸から来たばかりであまり持ち合わせが無いんだが…。」


と、言うと少女は、ぽんっ、と手を叩き申し訳無さそうに、


「あぁ…そうでしたね、家では日常的に食べてたからあまり相場が分からなかったんですが、他所だと高いんでしたね?ウチはちょっと仕入れが特殊なんで一人前で銀貨1枚ですよ。」


なんでも無いことの様にあっけらかんと言い、ふと隣のテーブルに出された皿を見ると100どころか200グラスぐらいはありそうな肉の塊が乗っているのにたった銀貨1枚で食べられるのか?!と驚いて思わず頼むと、

少女は「かしこまりました、少々お待ちください。」と、苦笑しながら言って裏へ下がっていった。


レッサードラゴンの肉だとしてもあの量で銀貨1枚は安すぎる……そうか!勇者がドラゴンを倒してこの店に無償で卸しているのか?でも何故?

考えても答えが出ないのが分かってはいるが考えずにはいられなかった、そうこうしているうちに俺のテーブルに人の気配がして顔を上げると先程の少女が笑顔で、


「こちらが本日の朝定食のドラゴンのハンバーグ定食です、冷めないうちにどうぞ!」


と料理をテーブルに置いてくれた。


そこには、鉄板の上に肉の塊が乗せられており美味しそうな匂いと熱気が食欲を刺激してくる。


「おおっ!こいつは凄い!…なぁ嬢ちゃん?こいつは本当に銀貨1枚で良いのか?」


もう一度だけ確認すると少女は、


「はい、それとご飯とお味噌汁はお代わりできますのでお申し付けください、どうぞごゆっくり。」


目の前の肉の塊に我慢ができなくなった俺は慌てて食べ始める。

先ず肉の塊にフォークをさしてみると思いの外やわらかい様でスッと刺さっていった。


「おわっ!すげぇ肉汁じゃねぇか!」


フォークをさした場所から肉汁が溢れ出てきて鉄板に広がる、切り分けた肉を恐る恐る口に運ぶと今まで食べたことのない様な不思議な食感とドラゴンの肉とは思えない臭みの全く無いスパイシーな味が口の中に広がる。


「美味ぇ!そして力が漲ってくる?レッサードラゴンの肉なんかじゃねぇ…これは少なくとも成竜の肉だ、さすが勇者…こんな化け物を軽々と料理屋に渡しちまうとは恐れ入ったぜ!」


と、感激していると、ふと隣のテーブルに座る老夫婦の会話が聞こえる。


「それにしても朝からハンバーグは腹にくるのう。」


「でもねぇ、玉藻ちゃんに勧められたら断れないもの、美味しかったし今日は持ち帰りをして孫達の所にでも行きましょうか?」


「そうじゃのう、最近は騎士団の仕事も忙しい様だしこちらから行ってやるとするかのう。」


話からするに先程の少女が玉藻というのかな?と思っていると先程の少女よりは少し歳下かな?と言う年恰好の少女が出てきたので、


「お嬢ちゃん、お姉ちゃんにオススメ料理美味しかったよ、と伝えておいてくれないか?」


と、言った瞬間に周りの空気が凍った様に誰もが固まってしまった。


「あれ?なんで……」


不思議に思っていると目の前の少女が小刻みに震えているのがわかる。

怖がらせてしまったのかと思い声をかけようとすると少女は、ばっっ!!と此方を睨んで口を開く。


「なんじゃお主!妾がリアより幼く見えると言っておるのか!!妾はリアの母親じゃ!………」


年下の少女改め少女の母親は怒気をあらわにすると、奥から出てきた料理人に、奥へと連行されて行った。


それと入れ替わる様に少女が店内に戻ってくると常連さんだろう男性が俺に声をかけてきた。


「いやぁ、久しぶり見たぜ…そこの兄さん悪い事は言わねぇから玉藻ちゃん戻って来たら謝っときな、最悪命を落とすぜ?」


そんな馬鹿な、しかし獣人は若くみえると言うしあれでいて結構高位の冒険者だったりするのかと思い素直に聞き入れる。


「そうか、分かったよ……しかし命を取られるというのは大袈裟だろう?俺だって隣の大陸じゃ少し名の知れた冒険者なんだぜ?」


「いやぁ兄さん、さすがに相手が悪過ぎるよ。相手は…パーティーの大魔導士だぞ?」


常連風のドワーフが俺にそんなことを言ってきた。

よく聞き取れなかったのでもう一度聞こうとすると、最初に給仕をしてくれた少女が、


「お客様申し訳ございません、私はこの店のオーナー夫婦の娘でシルフェリア・ジル・D・将紀と申します。母が失礼を致しましたが、これからもよろしくお願いします。」


と、丁寧な挨拶をしてくれた。


「あぁよろしく、俺は隣の大陸から来た炎燈火って言う冒険者だ。……D、ドーラックス?……!?ドーラックスって勇者の?」


少女の名前を聞いて目の前のシルフェリアが、かの英雄の娘と分かり驚愕しているとある事に気がつく…


「そ、そう言えばさっき君にそっくりな女の子が居たんだけど………お母さんだったのかな。」


自分の考えが間違っていることを願い、シルフェリアに確認すると、シルフェリアは困った様な笑顔で人差し指を口に立てて俺に一言、


「あっ、お母さんお店に出てたんですね?トウカさん、お母さんは最近、私より幼く見えると気にしてますので気をつけた方がいいですよ。」


と、注意をしてくれた。


「………できれば…もう少し早く教えて欲しかったよ………。」


喧嘩を売った相手が英雄の1人”紅蓮の大魔導士”だと確信した俺は、戻って来た玉藻さんに土下座で謝り倒す事になった。


その後稽古をつけるとの名目でぼろぼろの燃え滓になるまで燃やされたのは言うまでもない。


一応強さの基準としては、


リインフェリア>フェンリル>克馬=玉藻>>英雄>>>>一流冒険者=将軍・佐官クラス>>>一般軍人=冒険者>>>>民間人


という設定にしてあります。

能力値や人物設定はまた後日に。


それでは。

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