一年間行方不明だった父さんから手紙が届いたんだけど…
僕は朝からポストの中身を確認する。
そこには、チラシと紛れて何か封筒みたいな手紙があった。
僕は気になってその中身を確認する。
『母さん、優、蜜柑、元気ですか?父さんです』
その文はなんと一年間行方不明だった父さんからだ。
僕は驚きを隠せないまま手紙の続きを読む。
『心配をかけていると思います。
本題ですが、何故私が長い間家を開けているのかといいますと、説明すると長くなるのでわかりやすく、いわゆる異世界召喚、と言う奴をしました』
マジか。
『そこで父さんは王様に魔王を倒して欲しいと言われたので、倒すことにしました。
どうやら魔王のせいで色んな人が苦しめられていると言うことなので。
なので魔王を倒すまでは帰れません』
お人好しの父さんらしい。
てか何で父さん異世界にいるのに手紙送れたんだろ?
『ちなみに、何故異世界にいて手紙を送れるのかと言うと』
おぉ、会話のキャッチボールが成立してる。
『空間魔法、と言う魔法が使えまして、それで思い浮かべた場所に移動できたり物をそこに移す事が出来るのです』
へぇ、そりゃすごい。
ん?てかなら帰って来れんじゃないの?
『ちなみに、流石に別の世界に人を一人呼ぶのは魔力の問題やらで出来ない見たいです。
なので
この手紙だけ送ってみると、出来たみたいなので良かったです。
これだけで魔力が半分以上持ってかれます。
て言うか殆ど瀕死状態になるのでそんな頻繁には送れません』
ひ、瀕死状態…随分無茶してるなおい…。
『ですが、安心してください。
父さんは元気です、それにこう見えても強いですから安心して帰りを待っていてください。
今は魔王城の前でこの手紙を書かせて頂いてます。
後もう少しです。
父さんの仲間も、頑張ってくれています。
皆健気な女の子です。
こんな自分の為に色々と頑張ってくれています。
感謝してもしきれない程に…け、結婚とか申し込まれましたがご安心を、父さんは母さん一筋であります!
では、長くなりましたがここら辺で。
母さん、優、蜜柑、愛してるよ。
父さんより』
「……」
父さん、元気に無双してるんだなぁ。
それにしても魔王城の前て、でも父さんが本当元気で良かった。
「……」
思ってない。
羨ましいなんてこれっぽちも思ってないぞ。
「さーて!朝ごはん作って学校に行くかな!」
僕達家族は今日も、父さんの帰りを待つのであった。