門出1
「おはよう!」
と俺が言うと姉のカスミが
「おはよう、カイ」
と返してくれた。
俺と姉のカスミは両親を亡くし今はおじの家で暮らしている。
この世界では良くある話だった。
俺達が住んでいるような田舎に異形のモノがでても勇者は助けに来てくれないので、何も出来なかった。
冒険者が居ないわけではないが、数は少なく、力の強いものもいない。
それがこの世界の田舎の現状だった。
今俺は冒険者ギルドの受付に向かっていた。
この世界では15歳になると能力が目覚めるため、15歳の誕生日に近くのギルドの受付に行き、能力を診断する、というのが決まりだった。
能力が目覚めない人が大半であるため、俺は緊張していた。
ギルドに入りもうすっかり顔見知りの受付のカスミさんに挨拶をする。
カスミさんは
「能力の診断よね。緊張しなくていいのよ?」
と言ってくれたが誰だって緊張すると思う。
能力の診断は機械に手を載せるだけだから簡単だしすぐに終わる。仕組みは分からないが、すごいと思う。
診断の結果は能力はあるという事だった。
俺はすごく嬉しくて思わずガッツポーズをしてしまった。
「とと…能力名は……『生命継続』?」
この世界の能力は名前を見ただけで能力がわかるものが多いはずなのだが、見ただけではわからなかった。
「とりあえずカスミさんに相談してみるか…」