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蝶の紅涙  作者: 佐伯 梓
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笹川梢……?篠川梢?漢字は分からないが、美しい名前だ。授業終わり、歩きながら考える。今頃彼女は何をいているのだろうか?テニスサークルにでも顔を出しているのだろうか、サークルなら合宿か何かに行ってみんなで飲み会とかして、流れで一夜の過ちを犯したりするのかもしれない。そう考えるとむしゃくしゃしてくる。酒のせいで彼女の聖域を汚したというのであれば。いや、むしろ彼女が積極的に絡んで行ったのではないか、電車ではおとなしく清楚な感じに振舞っているが、お酒が入ったりすると淫乱なのではないか、あるいはお酒が入らなくとも淫乱かもしれない。そうなのであれば少し興奮するじゃあないか。

どちらにせよ僕が彼女のことを想う気持ちは変わらないし、なんならリードされるのもやぶさかではない。そんな妄想を膨らませながら歩いていると、ふと今日がいつも買っている週刊漫画雑誌の発売日であることを思い出した。漫画を買いにコンビニへと向かう。駅前のコンビニで雑誌とコーラを買い、駅に行って電車に乗った。




少年探偵の活躍を読み終えた頃には、いつも彼女が降りる駅が近づいていた。彼女がいない時のこの駅には何の価値もない。僕はポケットからスマホを取り出し、例のSNSを開く。ko……

Sa……予測変換で彼女の名前をサーチする。

「授業終わった〜今日は疲れたから帰るよーん」

という文字と、可愛らしい笑顔の絵文字が二十分ほど前に投稿されていた。今から帰るのか……

「桜南駅〜桜南駅〜」

電車のアナウンスが流れると、僕はなぜかその駅で降りてしまった。


降りたはいいがすることがない。近くにあったハンバーガー屋さんで、ポテトとドリンクで時間を潰すことにした。SNSを開き、彼女の動向を探る。何も更新がない。読み終えた漫画雑誌をもう一度読み返す。そして、しばらく時間が経つとSNSを開く。しばらくそんなことを繰り返していると、彼女がSNSに

「イシュメルなうー」という呟きと共に、友達との自撮り写真をアップした。イシュメルというのは、流行りの喫茶店のようなものだ。海外から出店して来て、日本でも1000店舗を超える人気ぶりだ。僕はキャラメルコーヒーみたいなのを飲む彼女の写真と、友人と2人で映っている写真。友人もそこそこの美人だ。ただ彼女と比べたらたいしたことはない。まぁ彼女の方が後ろにいるので遠近的に顔が小さく見えてしまう、というのもあるかもしれないが。そもそも2人ともアプリで写真を加工されてはいるので実物と多少異なっているかもしれない。


イシュメルにいるなら、しばらくは帰ってこない気がする。僕はそのハンバーガー屋さんを出て、電車に乗って家に帰る。電車に揺られ、僕は我に返ったのか、さっきの駅で何をしようとしたのかを考えた。数秒考えるとすぐに分かった。一目見ようとしたのか、もしくは、彼女を……いや、これ以上は考えるのをやめておこう
























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