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蝶の紅涙  作者: 佐伯 梓
3/11

今日は何故混んでいて座れる席がない。だから僕はドア際に立っていた。長い時間経ち続けるわけでもないからいいか、と思っていると、彼女が乗ってくる駅に着いた。ちょうどそこで降りる人がいてドアの隣の席が空いた。少し座ろうか迷ったが、まあ座らなくてもいいやと思い、立ち続けていると、なんと彼女がその席に座った。フワリとシャンプーの香りが鼻を刺激する。いい香り、一生忘れたくない匂い。

彼女はレモンティーを一口飲み、スマホを取り出した。僕はちらりちらりと画面を覗きみた、呟く系のSNSの画面が見える。

目を凝らして、しかしバレない程度に、

僕は画面を凝視した

Kozue Sasagawa 名前が表示されてる。

僕はすぐに自分のスマホを開き、同じアプリをインストールし、すぐにアカウントをたかりその名前で検索する。

「桜南大学1年生文学部知り合いはフォロミー

テニスサークルpurple所属仲良くしてね☆」

彼女が自分のプロフィールを世界中に公開するような浅はかな人間だったなんて僕は悲しかった。しかし、そんな浅はかさごと僕は彼女のことを愛そうと思った。フォローのボタンは押さない。自分という存在が彼女と関わっていいのかが分からないからだった。僕はこうして、彼女の名前と、所属を知ることができた。




「おい、おいって」

「ん?悪い、聞いてなかった」

「考え事かよ、早く飯行こう、食堂混むぞ」

「あぁ、そうだな」

僕は彼女のことで頭がいっぱいだった、今頃彼女は、自撮りでもSNSに上げているかもしれないのに、僕は北村と2人で混んだ食堂で食事なんて。

「カツ丼ひとつ」

「僕もカツ丼を」

「真似すんなよ」

「食べたかったんだよ」

食べたかったわけじゃない、ただ考えることが面倒だっただけなのだが。

「今度さ、合コンあんだけどさ、お前も来る?」

「行かない」

「彼女とか欲しくない?」

「いや、まあ欲しいけど、そういうのには参加したくない」

「こういうのは積極性が大事なんだよ」

「そうかもな、けど行かない」

「ふーん、まあいいけど、俺はかっわいい彼女作ってくるわ」

「勝手にしろよ」

カツ丼を食べながら話す。僕には彼女がいるから合コンなんて意味がない。

「やべっ、後5分で次始まる」

僕らは残りのカツ丼を掻き込んで、次の講義室へと向かった。







お久ぶりの更新

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