表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蝶の紅涙  作者: 佐伯 梓
10/11

イタリアン・ウエノで僕はビザを彼女はパスタを注文した。話すことが思い浮かばない。何か気の利いたことを言わなくては。

「あの、コンビニをご利用頂きありがとうございます」

突然のセリフに僕は吹き出してしまった。

「急に店員口調にならなくても」

僕が笑いながら言うと、

「えーっ、そんな笑わなくても……なんか、話さないとって」

彼女に気を遣わせてしまった申し訳なさと、ここで僕は彼女が緊張していることに気がついた。お互いに緊張してるなら、僕が気張る必要はない。

「コンビニどのくらい働いてるの?」

「まだ四ヶ月くらい」

SNS通りだ。

「コンビニって結構しんどい?」

「まーまーかな、時間帯によるけど、店長優しいからこの前飲み物くれたし」

知ってるカフェラテだ。

「へー、そうなんだ、いい人なんだ。働きやすそう。」

「ほんといいと思うよ。うちは。バイトなんかやってないの?」

「なんにもやってないんだよね」

「そうなんだ、サークルとか?大学生だよね」

「〇〇大学だよ、サークルもやってない、入った方が良かったかなぁ」

「お待たせいたしました、マルゲリータのお客様」

「あ、はい」

「カルボナーラです、ごゆっくりどうぞ。」

「ありがとうございます」

彼女はそういうと、丁寧に商品を受け取った。

「食べよっか。」

「うん、いただきます」

そのまま僕らは食べながら会話を続けた。




「僕が出すよ」

「だめ、無職君に奢ってもらうわけにはいかないから」

「無職君って……」

「いーからいーから、私が出すよ」

「誘ったのは僕だから僕が出す」

「じゃあ、割り勘」

「でもカルボナーラの方が安いからそれは…」

「細かい」

彼女は笑いながらそう言って五千円札を店員さんに渡す。

「あっ、」

「今度、なんか奢ってくれればいいから」

「また会ってくれるんだ」

「楽しかったしね。かなり好印象」

心の中でガッツポーズをした。

「今度は、焼肉とかにしようね」

「無職にはきつい…かな」

「ふふ、まあ考えとく。」

「結構遅いし、解散、だね」

「うーん、そうだね。その方が助かるかな。」

僕らは駅の方に歩き出す。

告白すべきかしないべきか、僕はそれを考えていた。気持ちは伝わってるわけだし。言ってしまってもいいとは、思うが流石に初回は早すぎる気もする。

「何か考えてる?」

「いつ告白するか」

「言っちゃうんだ」

少し笑いながら彼女は言うと続けて

「素直だね」

「一目惚れだからね、」

「コンビニで一目惚れってありふれてるけどね」

「まあ……それはうん、否めない」

「いいんだけどね、今は告白のタイミングだと思う?」

「ムードがないかな」

「分かってるならよろしい」

そのあとはたわいもない会話をして、電車に乗り家に帰った。彼女のSNSをのぞいてみると

「付き合うか、付き合わないべきか、それが問題なのよね。」と投稿されていた。いいねボタンが六つ押されていた。








長い間更新が途絶えてしまっていたことは大変申し訳ない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ