告
イタリアン・ウエノで僕はビザを彼女はパスタを注文した。話すことが思い浮かばない。何か気の利いたことを言わなくては。
「あの、コンビニをご利用頂きありがとうございます」
突然のセリフに僕は吹き出してしまった。
「急に店員口調にならなくても」
僕が笑いながら言うと、
「えーっ、そんな笑わなくても……なんか、話さないとって」
彼女に気を遣わせてしまった申し訳なさと、ここで僕は彼女が緊張していることに気がついた。お互いに緊張してるなら、僕が気張る必要はない。
「コンビニどのくらい働いてるの?」
「まだ四ヶ月くらい」
SNS通りだ。
「コンビニって結構しんどい?」
「まーまーかな、時間帯によるけど、店長優しいからこの前飲み物くれたし」
知ってるカフェラテだ。
「へー、そうなんだ、いい人なんだ。働きやすそう。」
「ほんといいと思うよ。うちは。バイトなんかやってないの?」
「なんにもやってないんだよね」
「そうなんだ、サークルとか?大学生だよね」
「〇〇大学だよ、サークルもやってない、入った方が良かったかなぁ」
「お待たせいたしました、マルゲリータのお客様」
「あ、はい」
「カルボナーラです、ごゆっくりどうぞ。」
「ありがとうございます」
彼女はそういうと、丁寧に商品を受け取った。
「食べよっか。」
「うん、いただきます」
そのまま僕らは食べながら会話を続けた。
※
「僕が出すよ」
「だめ、無職君に奢ってもらうわけにはいかないから」
「無職君って……」
「いーからいーから、私が出すよ」
「誘ったのは僕だから僕が出す」
「じゃあ、割り勘」
「でもカルボナーラの方が安いからそれは…」
「細かい」
彼女は笑いながらそう言って五千円札を店員さんに渡す。
「あっ、」
「今度、なんか奢ってくれればいいから」
「また会ってくれるんだ」
「楽しかったしね。かなり好印象」
心の中でガッツポーズをした。
「今度は、焼肉とかにしようね」
「無職にはきつい…かな」
「ふふ、まあ考えとく。」
「結構遅いし、解散、だね」
「うーん、そうだね。その方が助かるかな。」
僕らは駅の方に歩き出す。
告白すべきかしないべきか、僕はそれを考えていた。気持ちは伝わってるわけだし。言ってしまってもいいとは、思うが流石に初回は早すぎる気もする。
「何か考えてる?」
「いつ告白するか」
「言っちゃうんだ」
少し笑いながら彼女は言うと続けて
「素直だね」
「一目惚れだからね、」
「コンビニで一目惚れってありふれてるけどね」
「まあ……それはうん、否めない」
「いいんだけどね、今は告白のタイミングだと思う?」
「ムードがないかな」
「分かってるならよろしい」
そのあとはたわいもない会話をして、電車に乗り家に帰った。彼女のSNSをのぞいてみると
「付き合うか、付き合わないべきか、それが問題なのよね。」と投稿されていた。いいねボタンが六つ押されていた。
長い間更新が途絶えてしまっていたことは大変申し訳ない。