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神様のドジで死んだ青年は異世界を往く  作者: どりとん
プロローグ
3/7

第三話

第三話です。

できれば昨日のうちに出したかったのですが、実生活が忙しく……

可能な限り早くあげようとは思っておりますので、気長に待っていただけるとありがたいです。

「……さて、そろそろ時間よ」


 シエルからの合図に太一はハッと我に返り、辞典に向けていた視線をシエルに向ける。


「随分楽しそうに悩んでいたわね? どう? 私を無視して見ていたスキル辞典の中に欲しいスキルはあったしら?」


 何やらニヤつきながらスキル辞典を眺めていた太一の様子を黙って見ていたシエルは笑顔で太一に尋ねる。


「ま、まぁ……幾つかは」


 シエルの言葉で呼びかけにも応えず、ただひたすらにスキル辞典を読んでいた事に言われて初めて気付いた太一はシエルの浮かべている笑顔に顔を強ばらせる。


「なら早速聞かせてくれないかしら? 貴方が選んだスキルを」


「取りあえず、ユニークは〔ドレイン〕・〔隠密〕・〔隠蔽(いんぺい)〕・〔アイテムボックス(無限)〕。 ノーマルは〔識別眼〕……です」 


 質問する前にシエルがもう一度作った笑顔の裏に薄ら寒いものを感じた太一は言葉に多少詰まりながらも選んだスキルをどうにかシエルに伝える。


「あら、結構少ないのね。 10は行くかと思ってたのに」


「さ、流石に貰い過ぎは良くないと思ったので……」


 本当のことを言えば太一は半分位の時間で欲しいスキルをあらかた選び終えていたのだが、その数が優に20は超えていることに選び終わった後から気付き、どうにか減らそうと頑張った結果5つになっただけである。


「律儀ねぇ……。 それにしても、結局種族変化のスキルは取らなかったのね。 てっきり取るのかと思ったわ」


 説明した時の食いつき具合に、太一が何かしら種族変化系を取るものだと決め込んでいたシエルは予想と違った結果に目を丸くしながら素直な感想を漏らした。


「本音を言えばかなり魅力的ではありましたけど」


「まだ最終決定じゃないから今でも取得することは可能だけど?」


 シエルの質問に太一は首を振る。


「これで十分です。 それに……どうせなら日本人として、人間のままゼルトザームに行きたいんです」


 シエルの目を見据えながら太一ははっきりと口にする。


「分かったわ。 それじゃあ今選んだスキルを貴方のステータスに登録しとくわね」


「あ、でも1つ追加しておいて欲しいのが……」


「何かしら?」


「俺が選んだ〔ドレイン〕程では無いとは思いますが、万が一の可能性もあるので今持っているスキルとこれから手に入れたスキルなどに奪取不可を付け加える能力を頂けませんか?」


 太一が選んだスキルの1つである〔ドレイン〕があるように、ゼルトザームには何かしら相手のステータスを奪うなりするスキルが存在するかもしれないと思った太一は真っ先にその対策をしてもらえるようにシエルに頼み込む。


「〔ドレイン〕を持っている生き物はゼルトザームにはいないとは思うけど……分かったわ」


 太一の言葉を聞いたシエルは少し考える様子を見せた後、一つ頷くと何やら片手をキーボードを打っているに動かし始める。


「……終了っと。 念のために一回ステータスで確認して頂戴」


「あ、はい。 《ステータス》」


==================================================================================

 古嶌 太一 (コジマ タイチ)   【lv1】


 人間:男   年齢:19


 【筋力】:2

 【耐久】:3

 【魔力】:1

 【魔防】:1

 【敏捷】:2


 ・通常(ノーマル)スキル

  〔識別眼〕

 ・固有(ユニーク)スキル

  〔創造〕 〔ドレイン〕 〔隠密〕 〔隠蔽〕

  〔アイテムボックス(無限)〕 〔奪取不可属性付与〕


==================================================================================


 ステータスのユニークスキルの欄に〔奪取不可属性〕がついているのを確認した太一はシエルに向かって頷く。


「大丈夫です。ユニークスキルの欄にしっかりと〔奪取不可属性付与〕とありました」


「本当……念の入れようね。 そこまでするなんて……程々にしておきなさいよ?」


 少し度を越した用心深さにシエルが溜め息を吐く。


「こういうのは出来るだけ可能性を潰しておきたい質なんで」


 自分でも多少やりすぎていることは自覚している太一だったが、そうでもしないと安心できない為、シエルの言葉に太一は苦笑で応じる。


「あ、すごく今更な質問なのですけど」


「なにかしら?」


「このノーマルスキルと、ユニークスキル。 二つにはどんな違いがあるんですか?」


「ああ、そういえば説明してなかったわね」


 思い出したようにシエルがポンと左の手のひらに右の拳を置く。


「ユニークスキルには各種族でしか習得できないスキルなどが入って、ノーマルスキルは誰でも習得可能な一般的なスキルが入るわ。 といっても習得するには相応の時間が必要になるけど」


「ちなみに一つにつきどのくらい掛かるんですか?」


「スキルによって様々ね。 数分で習得できるものもあれば10年くらい必要なものもあるし……」


「そんなにですか……」


 想定していたよりも長い年月が出てきた太一は識別眼だけでも選んでおいてよかったと内心で自分自身を褒める。


「ゼルトザームで習得しようと思っているのなら覚悟はしておきなさい。 で、これが最後の説明。ステータスの能力値についてよ」


「この【筋力】とかについてですか?」


「そう。大体言葉でわかるとは思うけど一応説明しておくわ」


 シエルは人差し指を立てるとゆっくりと聴きやすい声で説明を始める。


「まずは【筋力】、これは力の強さを数値化していてこの値が高い程重い物を持てるようになるわ」


 シエルの中指が立つ。


「次に【耐久】。 この数値が高いほど体の耐久力……つまり体の頑丈さが増すわ。因みに体が鉄みたいに固くなるわけではないわよ」


 次に薬指を立てる。


「その次は【魔力】。この数値が高いほど魔法の威力及び限界魔力量が増すわ」


「限界魔力量とは?」


「魔法を打つために必要な魔力の最大量ね。 因みに持ち合わせている魔力が無くなった状態で使おうとすると目眩とか身体に悪影響が出て最悪死ぬこともありえるから注意して頂戴」


「要は使い過ぎなければいいという事ですね」


 太一の言葉にシエルは頷く。そして今度はシエルの小指が立てられる。


「今度は【魔耐】。これは魔法に対する耐性、そのままの意味よ。 この数値が高いほど魔法のダメージを軽減してくれるわ」


「【耐久】である程度軽減とかは出来たりとかは無いんですか?」


「ある程度は出来るけど殆ど無理ね。強い魔法ほど【魔耐】が高くないと防ぎきれないわ。……続けるわよ」


 そしてシエルの手が大きく広げられパーの形をとる。


「最後に【敏捷】。 これは行動の速度などに影響するわ。 これについてはある程度の調節が可能よ」


 そう言った後 体をほぐすためか、両腕をあげ軽く伸びをするシエル。


「ふぅ~。これでようやくすべての説明が終わったわ」


 ひとしきり伸び終えた後、シエルは満足げな表情と共に大きく溜息を漏らす。


「意外に長かったですね。説明」


「これでもかなり厳選して伝えているのよ? 全部説明しろって言われたら魔物の種類とかがあるから、これの3倍近くはかかるわよ? 」


 太一の指摘にシエルはその作業量を思い浮かべているのかうんざりした様子で応える。


「さ、三倍……」


 今シエルがした説明でも長いというのにこれの三倍と軽く言われた太一は思わず言葉を呑む。


「さて……大方終わったことだし、最後にゼルトザームに旅立つ貴方に私から餞別の言葉を送るわ」


 こほんと一度咳を出してからシエルは今までの表情を一変させ、慈愛に満ちた優しい声音で最後の言葉を発する。


「貴方は不幸な事故によって日本での人生を絶たれた。 だからあちらの世界、ゼルトザームでは……」



「--いい人生を。 これが私からの餞別の言葉よ」



 今までの態度とは打って変わり、正しく女神と呼ぶに相応しい姿でシエルが発した餞別の言葉に太一は思わず鼻の奥が痛んだが、それを表に出さないようにゆっくりと頭を下げ、シエルに感謝の言葉を伝える。


「シエルさん。ここに呼ばれてから短い間でしたけど本当にお世話になりました」


「いいのよ。 仕事でやっている訳だし」


 ひらひらと手を振り、先ほどの慈愛の微笑みが嘘のように普通の調子に戻っていたシエルに太一は苦笑を浮かべる。


「それじゃあ、これからあなたをゼルトザームの街近くに送るわ。 ここに入って頂戴」


 シエルがそう言うとシエルの足元近くにワームホールに似た青い色の渦が現れる。


「本当に有難うございました。 行ってきます」


 太一はゆっくりとシエルの隣まで歩を進めると、もう一度シエルに向かって頭を下げる。


「行ってらっしゃい。 直ぐに戻ってこないようにしなさいよ」


 明るい声と共にシエルが太一の背中を軽く押す。


 その言葉を受けた太一は意を決して目の前の渦の中に飛び込もうとする。



 

 その時、




「た、太一さん! ま、待ってください!」


 見知らぬ少女の声と共に背後からドアを勢いよく開けたような音を太一の耳が捉え、太一は突然の音の方向に振り返る。


「な、何とか、間に合いました……」


 そこには純白の修道服の様な衣服を着た、見たところ高校生ほどの年齢の少女が全力疾走でマラソンを終えた直後のように膝に手をつき、肩で息をしている状態で立っていた。


「えっと……大丈夫ですか?」


 太一は突然の出来事に目を丸くしながらも目の前の少女に手を差し伸べる。 少女は無言でその手を取ると荒い呼吸を少しずつ静めていく。


「す、すみません……大丈夫です。 大分落ち着きました」


 数分経ち、どうにか喋れるようになるまで落ち着いたのか少女は太一の手を離す。そして大きく深呼吸をすると太一に向き直り、がばっと効果音がつきそうなほど勢いよく頭を下げる。


「太一さん! 私のせいでこんなことになってしまって本当にごめんなさい!」


「いえ、その前に……どちら様でしょうか?」


 いきなり現れた少女に頭を下げられるという状況に太一は目を白黒させるが、どうにか冷静さを取り戻すと、目の前の少女に尋ねる。 


「! す、すみません! 自己紹介がまだでした!」


 ぺこぺこと何度も頭を下げた後、少女は尻すぼみな声で自己紹介をする。


「わ、私はフィリルと言いまして……今回貴方が消える原因となったドジをした本人……です」


 その言葉を聞いた太一は目を見開き、シエルに確認の視線を向ける。


「こんな低姿勢だから信じられないとは思うでしょうけど、この人が最高神様の孫であらせられるフィリル様よ。 で、フィリル様……何をしに来たのですか?」


 はぁ、とシエルはため息をつきながら太一からの視線に肯定で返すと今度はフィリルに鋭い目を向ける。


「太一さんにお詫びの言葉を言いたくて……」


 シエルの鋭い視線を受けたフィリルは俯き、か細い声でここに来た理由を告げる。


「そのことならもう当の本人から許しを貰っています」


 そうよね? と視線で問いかけてきたシエルに太一は頷く。


「あ、そうだったのですか……ありがとうございます……」


 シエルの言葉を聞いたフィリルはもう一度太一に向かって頭を下げる。


「気にしないでください。 けど、もう二度と起こさないように気をつけてくださいね?」


 太一はフィリルに優しい声をかけながらも、しっかりと釘を刺す。


「は、はいっ! 頑張りま……きゃあっ!?」


 太一の言葉を受けたフィリルは笑顔で返事をしようとした結果、何故か何もない場所で足を縺れさせ、


「ちょっ!?」


 転んだ拍子に目の前にいた太一を渦へと突き飛ばした。 


「ああっ!? 空間の固定が曖昧に! 最後の最後にまたドジを!」


 慌てた様子のシエルが言った聞き捨てならない言葉について問い詰めようと思った太一だったが、突然体を襲ったとてつもない浮遊感と倦怠感に一言も発せず、そのまま太一の意識は闇へと沈んでいった。

自分でも多少無理やりな感じが……

アドバイスや文句などがありましたらお気軽に一言お願いします。

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