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女子高生魔王、参上!



 時刻は悠斗が飛行魔法の開発に着手する5日ほど前までに遡る。

 エクスペインの中心街に目を惹く、1組の男女がいた。


「あっ! ねえ、あそこ! あそこを見て! あの屋台に売っているスイーツ、超美味しそうだよ! アスモ! あのスイーツなんて言うの!?」


 クルリと緩いパーマのかかった身長150センチほどの美少女は、珍しい屋台を指差して無邪気にはしゃいでいた。


 その少女、ベルゼバブは道行く人々の視線を釘付けにする奇妙な格好をしていた。


 ベルゼバブが身に付けているのは、現代日本の女子高生が着るような学生服である。


 この衣服は異世界から召喚された少女が着ていたものに感銘を受けて、自らの固有能力で作り出したものであり、今では彼女の普段着になっていた。


「……あの菓子は異世界から持ち込まれた技術を用いて作られたものだな。名をクレープという。小麦粉に、牛乳、バター、卵、砂糖などを加えて作った生地にフルーツや生クリームを入れた食物だ」

 

 そう答えたのは身長2メートルを超えようかという巨漢の男、アスモデウスである。


 全身が筋肉の鎧に包まれたアスモデウスは、ベルゼバブとは違った意味で衆目を引きつけて止まなかった。

 

「クレープ!? あのスイーツ、クレープっていうんだ!? おにーさん! クレープ1つ下さい!」


「あいよ。ところで嬢ちゃん。ウチの店は中に入れる具材の種類の数がウリなんだ。基本となる生クリームの他に、この中12種類の中から好きなものを入れられるけど、どうするんだい?」


「わ! 凄い! こんなに種類があるんだ!? え~っと……え~っと」


 ベルゼバブはキラキラと目を輝かせながらもメニューに書かれている具材を確認する。

 

 イチゴ、バナナ、マンゴー、チョコレートソース、ヨーグルト……等々。

 メニューに書かれている具材はどれもベルゼバブにとって魅力的なものであった。


「決めた! おにーさん。ここにある具材を全部入れて下さい!」


「ええっ!? そりゃまあ、出来ないことはないけど……。嬢ちゃん、そんなに食べられるのかい?」


「はい。大丈夫ですよー」


 心配をする屋台の男とは対照的にベルゼバブはニコニコと笑う。


 七つの大罪の中でも《暴食》を司るベルゼバブは、無尽蔵の食欲を有していることで知られている。


「ん~。美味しい! クレープ、めっちゃ美味しい!」


 12種類の具材が入った特注の巨大クレープを頬張りながらもベルゼバブは屈託のない笑みを浮かべていた。


「……フッ。流石は暴食を司る魔王。その食べっぷりを見ていると貴様の父親の全盛の姿を思い起こすよ」


「う~。アスモ。アタシが『暴食』って呼ばれることが嫌いなの、教えていなかったっけ? 嫌なのよね。暴食って可愛くないネーミング」


「失礼。そうであったな」


「あ~あ。神様は残酷よね。どうしてアタシみたいなキュートな女の子が暴食で、アスモみたいなオッサンが色欲なんだろう。ねえねえ。アタシの『暴食』と貴方の『色欲』を交換しない? せめて色欲だったらセクシー路線で行けたのになぁ……」


「…………」


 父親から『暴食の魔王』の名前を引き継いだベルゼバブは、自分の名前に対して嫌悪感を抱いていた。


 一口に魔族と言ってもその性格は様々である。

 ベルゼバブはスイーツとオシャレが大好きで、恋に対して興味深々の乙女であった。


 そんな彼女の振舞いは、周囲の魔族たちからの評判が芳しくない。

 今日のように魔族の有力者が集まる催しが開催される際は、七つの大罪の中でも最古株のアスモデウスが面倒を見ることが多かった。


「? ねえ。アスモ。あそこにある変わった形をした建物は何なの?」


「ああ。あれは冒険者ギルドと言ってな。国が腕に覚えのあるならず者たちに仕事を斡旋する施設だ」


「へー。ちなみにそれって誰でも利用することが出来るの?」


「そういうことになる。冒険者の仕事は、仕事に就けなかった人間たちの最後の受け皿という側面があるからな。体1つあれば誰でもギルドに登録することができるだろう」


「……ふーん。そうだったんだぁ」


(もしかしてこれは……良い情報をゲットしたのかも?)


 暴食の魔王の地位に就任してから日が浅いベルゼバブは、常日頃から刺激を求めていた。


 冒険者ギルドを利用すれば魔族として生活する上では味わえない経験ができるのではないだろうか?


「何をボーッとしている。早く行くぞ。ルシファーたちが首を長くして待っている」


「あ。ちょっと。アスモ。待ちなさいよね!」


 ベルゼバブは小走りで先を歩くアスモデウスの大きな背中を追いかける。


 今回ベルゼバブが冒険者という職に興味を抱いたことが、後に、悠斗の運命を大きく変えることになるのだが――。

 それはまだ、暫く先の話である。




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