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成長促進



 それから。

 市場から食材を持ち帰った悠斗は、自宅の庭の中でステータスを確認していた。



 近衛悠斗

 固有能力: 能力略奪 隷属契約 魔眼 透過 警鐘 成長促進

 魔法  : 火魔法 LV3(22/30)

       水魔法 LV5(18/50)

       風魔法 LV3(20/30)

       聖魔法 LV2(5/20)

       呪魔法 LV2(18/20)

 特性  : 火耐性 LV3(1/30)

       水耐性 LV3(0/30)

       風耐性 LV4(6/40)



 ウォーターシールド

(水属性の防御魔法)



 成長促進 レア度@☆☆☆☆☆☆☆

(植物の生長を加速させる能力。1つの植物に対して使えるのは1度まで)


 中でも悠斗が注目したのは、新規に取得したばかりの魔法と固有能力である。


 悠斗は周囲に誰もいないことを確認して、心の中で魔法を唱える。

 敷地面積が広いこの庭の中では、魔法の修行場所に事欠かない。



(ウォーターシールド!)



 直後、悠斗の周囲をテント状の分厚い水の膜を覆った。


 不思議なことに水の膜は空中に固定されたかのような状態で、地面に零れることがなかった。


(あれ。もしかして俺、閉じ込められていないか?)


 等と思った悠斗であったが、直ぐにそれが杞憂であったことに気が付く。


 魔法の解除をイメージした次の瞬間。

 周囲を覆っていた水の膜は、地面に向かって垂直に落ちる。


(……なるほど。その名の通り、水のバリアーという感じの魔法だな)


 360度を水の膜で覆うことが出来るこの魔法は、火魔法で攻撃されそうになったときなどは役に立つかもしれない。


 けれども。

 魔法を解除した後に服がビショビジョに濡れてしまうのが難点である。


 次に《成長促進》の固有能力の方を試してみる。


 どうせなら育ったときに美味しく食べられる植物で実験した方が良いと判断した悠斗は、市場で色々な種類の果物を購入していた。


 リンゴ、モモ、キュウイ、ラフランス、カキ、ブドウ、オレンジ、その他、トライワイド固有種など、その数は10種類以上にも及ぶ。


 成長促進の固有能力が上手く機能すれば、あっという間に果樹園の完成である。


 悠斗は事前に用意したリンゴの種を地面に埋めると、さっそく成長促進を使用してみる。



「……うおっ!」



 瞬間、リンゴの種は凄まじいスピードで成長して、1本の生木に変貌を遂げる。

 更に嬉しいことにリンゴの樹には、既に無数の果実がなっている状態であった。


 試しに実っているリンゴの1つを手に取って齧ってみる。


「……うん。美味い!」


 口の中に仄かな酸味と甘さが広がった。

 日本で食べているリンゴと変わらない味である。



(もしかしたら……俺はとんでもない能力を手に入れたんじゃないのか!?)



 何故ならば――。

 この能力を使えば、無限に果物を生成できるのではないかと考えたからである。


 1個の種を元手に複数の種が手に入れば、永久機関の完成である。


 これに味を占めた悠斗は、手持ちの種を使って、次々に実験を繰り返してみる。



 ~~~~~~~~~~~~



 それから1時間後。

 結論から言うと悠斗の予想は、半分当たっていて、半分は外れていた。


 たしかに《成長促進》の能力を用いれば、沢山の果物を収穫することは出来るのだが、その数は決して無限ではなかった。


 問題点は2つある。


 1つは地中から吸い上げる養分の問題。


 成長促進の能力を使用すると地中に存在する養分を一気に使用してしまうことが判明した。

 

 この養分が足りていないと成長促進の能力を使用しても、植物が途中で枯れてしまって、上手く果物を採取することが出来なかった。


 成長促進を使用した植物の周囲にある土は、パサパサとした赤黄色のものになる。

 この状態の土では2本目の樹木を育てることは出来なかった。


 2つ目は環境の問題。


 成長促進を試した果物の中には、上手く育つものと育たないものが混在していた。


 上手く育てることが出来なかった果物について、悠斗はその果物に合った環境を用意できなかったことに原因があると考えていた。


 果物の中には当然、気温・湿度など、それぞれに合った条件の環境というものが存在する。


 今回、悠斗が育成に成功した果物は、リンゴ、モモ、カキ、ブドウ、オレンジの5種類である。

 その他の果物は何らかの条件を満たしていなかったのか、上手く栽培することが出来なかった。


 成長促進により栽培した木は合計で四十本ほど。

 これで庭全体の八分の一ほどの面積を果物園にしたことになった。


 育てようと思えば、種は無限に手に入れることは出来る。


 けれども。

 今後、育てたい植物を見つけることもあるだろうし、地中の栄養は残しておいた方が良いだろう。



(……よし。最後にダメ元でアレを試してみるか)



 そこで悠斗が魔法のバッグの中から取り出したのは、先日、ケットシーの村にある神樹から採取した珍しい木の実である。


 成長促進の能力を使用すれば、自宅で神樹を栽培することが出来るのではないだろうか?


 このアイデアはウッドパスカルから能力を奪った時から考えていたものであった。


 悠斗は試しに『子供の実』を地面に埋めると、成長促進の能力を使用してみる。



「……おいおい。マジかよ」



 直後、悠斗の足元から1本の樹木が生え始める。

 そして他の果物の樹と同じようにしてレアなアイテムを実らせることに成功した。


 まさか此処まで思惑通りに事が運ぶとは予想外であった。

 悠斗は思わずそのテンションを上げる。


(……しかし、流石は神樹と言った感じだな。地面から吸い上げる養分も桁違いに多いみたいだ)


 目算にして消費する養分は、神樹1本で普通の果物の樹50本分と同程度と言った感じであった。

 調子に乗って植え続けると、庭の土は一瞬で砂漠と化してしまうだろう



 透明の実 ×1


 消臭の実 ×1


 子供の実 ×3 


 大人の実 ×2 



 今回、悠斗が2本の神樹から手に入れたアイテムは上記の通りである。


 残念ながら今回は、以前に偶然手に入れた実っているのを見つけたレアアイテム『若返りの実』を手に入れることは出来なかった。



 若返りの実@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(実年齢を1歳若返らせる。効果時間は永続)



 けれども、それも仕方のないことだろう。

 そんなに《若返りの実》を量産することが出来たら、簡単に不老不死が実現してしまう。


 前回、手に入れたときが運が良すぎたのである。


 しかし、今後、何かの間違いで再び《若返りの実》を手に入れるチャンスが巡ってくるとも限らない。

 これからも定期的に2本の神樹にアイテムが実っていないか確認することにしよう。


 今回の検証結果に満足した悠斗は、足取りを軽くして、屋敷の中に戻るのであった。

 


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