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冒険者ギルドを利用しよう

 


 街の至るところに地図が貼り出されていたからだろう。

 宿屋を出てから悠斗が冒険者ギルドに到着するまでには、そんなに時間はかからなかった。


 冒険者ギルドは周囲にある石造りの建造物の中でも一際、大きなものであり、内部は大勢の人間でごった返していた。

 彼らは一様にして剣や斧などの武装をしており、いかにも冒険者然とした風貌をしていた。



「こんにちは。冒険者の方でしょうか?」



 悠斗が受付の前に立つと綺麗なお姉さんが応対してくれた。

 宿屋で出会ったスピカと比べると、比較することが失礼なくらいに、清楚で気品の溢れる女性であった。


 おそらく何処か高名な家系の御令嬢なのだろう。

 彼女の佇まいからは、至るところに育ちの良さが滲み出ていた。



 エミリア・ガートネット

 種族:ヒューマ

 職業:ギルド職員

 固有能力:破壊神乃怪腕(ザ・ブレイカー)



 破壊神乃怪腕(ザ・ブレイカー)@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(左手で触れた物体の魔力を問答無用で打ち消すスキル)



 前言撤回。


(このお姉さんTUEEEEE!)


 思いがけず主人公っぽい固有能力ユニークスキルを発見してしまい悠斗は絶句していた。


「……い、いえ。実はここに来るのは初めてなのですが。何か俺にできる仕事ってありませんか?」


「……了解しました。お客様の相談にお乗り致します。当施設の利用には冒険者カードの発行が必須になっております。カードの登録には300リアの費用がかかりますが問題ありませんか?」


「はい。大丈夫です」


「それではこちらの用紙にサインをご記入下さい」


 手渡された紙に名前を記入した後、エミリアにそれを返す。


「……コノエ・ユウト様でいらっしゃいますね。ギルドのご利用は初めてということで簡単にこの施設の説明をさせて頂きます」


 慣れた口調でエミリアは続ける。


「冒険者ギルドとは……簡単に説明致しますと、国や個人が依頼したクエストを冒険者の方々に斡旋する施設となっております。

 クエストの内容は魔物の討伐から、行方不明の飼い猫の探索まで様々で、達成後、冒険者の方々に難易度に見合った報酬とQP(クエストポイント)が支払われる仕組みとなっています」


「……すいません。QPというのは?」


QR(クエストランク)を上げるために必要なポイントという風に解釈をされて結構です。QRというのは、当施設がユウト様の信頼度を数値化したものになっています。


 QRを上げることによりユウト様はより高い難易度のクエストを受注することが可能になったり……信頼度に応じて銀行から融資を受けることが可能になったりします」


「なるほど。分かりました」


 冒険者ギルドが身元を保証してくれる……と聞いたときはムシが良すぎる話だと思ったがこれで合点がいった。

 この世界で暮らしていくために必要な信頼は、コツコツとクエストをこなして積み重ねて行かなければならないものであるらしい。


「ギルドカードの発行が完了しました。早速、クエストの受注を行いますか?」


「お願いします」


「はい。ユウト様のQRで受注できるクエストの一覧になります」



☆討伐系クエスト



●レッドスライムの討伐


 必要QR:LV1

 成功条件:レッドスライムを10匹討伐すること。

 成功報酬:200リア&10QP

 繰り返し:可



●ブルースライムの討伐


 必要QR:LV1

 成功条件:ブルースライムを10匹討伐すること。

 成功報酬:200リア&10QP

 繰り返し:可



●バットの討伐


 必要QR:LV1

 成功条件:バットを10匹討伐すること。

 成功報酬:400リア&20QP

 繰り返し:可



☆探索系クエスト



●迷子の子竜の探索


 必要QR:LV1

 成功条件:迷子の子竜を発見し、冒険者ギルドに持ち帰ること

 成功報酬:8000リア

 繰り返し:不可



「あの……討伐系クエストなのですけど、魔物を倒したことってどうやって証明すれば良いのですか?」


「詳細はクエスト受注後にお渡しする小冊子にも載せているのですが、基本的には倒した魔物の部位を剥ぎ取って持ち帰る必要がありますね。

 例えばレッドスライムの場合は、《レッドスライムの核》と呼ばれるアイテムをこちらで納品する必要があります」


「……なるほど」


(しかし、思ったよりも討伐系クエストの報酬は低めだな) 


 額面通りに判断するのであれば、仮に討伐系クエストを3種類こなすことに成功しても、得られる報酬は800リア。

 昨晩のボロ宿で2泊すれば、1日分の稼ぎが全て吹き飛んでしまう。


「これらのクエストは全て無期限になっています。ユウト様さえよろしければ同時に全てを受注することが可能ですが如何なさいますか?」


「なら一括して全て受注させて下さい」


「承知致しました。それとこちらは初めてギルドに登録した方に差し上げることになっている《初心者支援セット》になります。よろしければ自由にお使い下さい」


「ありがとうございます」


「後の手続きはこちらで進めておきます。ユウト様の旅が良きものであるよう、お祈り申し上げます」


 どうやらこれで冒険の準備は一通り整ったらしい。

 エミリアから《初心者支援セット》を受け取った悠斗は、一礼をしてから冒険者ギルドを後にする。


(これが俺の……異世界生活での初仕事になるんだな)


 悠斗の胸中には、興奮と不安の感情が半々に入り混じっていた。





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