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盗賊団の襲撃



「ご主人さま。何かが焦げたような臭いがします」


 神樹からアイテムを収穫した帰り道、スピカは不意にそんな一声を発した。


「ん。そうかな?」


 その臭いは初め微かなものであったが故に、気付いたのは嗅覚に優れたスピカだけであった。


 けれども。

 村に近づくにつれて悠斗たちは、その異変に気付くことになる。



「いや。いやあああぁぁぁ!」


「だ、誰か! 助けてくれ!」



 何処からともなく村人たちの悲鳴が沸き上がる。


 村全体からモクモクと白煙が上がっているのが分かった。

 その正体が民家が焼かれて発せられているものだと気付くまでに、多くの時間はかからなかった。



「だ、だずげで……」



 悠斗の視界に入ったのは、ふくよかな体形をした中年女性であった。

 刃物で刺されたのか、その脇腹からは激しく出血をしていた。


 中年女性は、よろよろと覚束ない足取りで呻き声を上げていた。


「あの……何があったんですか?」


「……盗賊たちが突然現れて……私のお腹にナイフを……」


「盗賊、ですか……」


 ヒールの魔法を用いて、中年女性の止血を行いながらも悠斗は思案する。


(もしかして……冒険者ギルドで手配中の盗賊がこの村に……?)


 その可能性は否定できない。

 だとしたらこの状況は、自分以外の日本人と出会う絶好のチャンスとも言い換えられる。


「リリナ。どうして御家が燃えているのでしょうか?」


 幼いサーニャはこの村に何が起きているのか理解していないようであった。


「大丈夫……。サーニャは何も不安に思うことはねえよ」

 

 気丈に振る舞ってはいるが、リリナの表情からは怯えの色が垣間見えた。


「シルフィア。この場はお前に任せたい。サーニャたちのことを……守ってやってくれないか?」


 さっそく神樹で採取したアイテムが役立つ時がやってきた。

 悠斗は魔法のバックの中から《透明の実》と《消臭の実》を取り出すとそれをシルフィアに手渡した。


「主君。これは一体……?」

 

「そっちの青色の木の実は、自分と周囲にいる人間の姿を透明に変える効果がある。んで、もう片方の赤色の木の実は、自分と周囲にいる人間の臭いを消す効果がある。身を潜めておくのに役立つだろう」


「……承知した。して主君は一体どこに向かうというのだ?」


 アイテムを受け取ったシルフィアは、悠斗の身を案じるかのような不安気な声音でそう尋ねる。


「大した用じゃない。ちょっとばかり……盗賊狩りに行ってくる」


「ご主人さま! いくら何でもそれは……」


 悠斗の言葉を受けたスピカは咄嗟に主人のことを引き留めようとする。


「なら。このまま黙って村人たちを見殺しにしろって言うのか?」


「…………」


 実のところ。

 スピカは悠斗が1度心に決めたことを覆すような人間でないことを最初から分かっていたのであった。


「大丈夫。俺は死なねえよ。戻ったら今晩もたっぷりと魔法の訓練に付き合ってもらうからな」


「……はい。分かりました」


 普段通りの悠斗の冗談めいた口調はスピカに深い安堵を与えるものであった。


「リリナとサーニャも心配すんな。お前たちの村は俺が守ってやるからさ」


 悠斗はそう告げるとスピカたちの元を後にする。

 4人の美少女たちは、戦いに向かう悠斗の背中を不安気な眼差しで見つめていた。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 目の前で人が刺されてんの何かあったんですか……?って呑気すぎるだろアホか
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