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休暇



 悠斗が夜更かしをして《触手魔法》の開発に明け暮れていた翌日。

 

 この日の討伐クエストは行わないことにした。

 本人たちは不満を零さないが、昨日の遠征でスピカとシルフィアの様子からは疲労の色が窺えた。


 毎日のように討伐クエストに連れ回して体を酷使させるような真似はしたくない。

 適度に休暇を挟んで二人を労ってやることは必要だろう。


 それに今日は待ちに待った《簒奪王の太刀》の落札結果が判明する日であった。


 悠斗はスピカとシルフィアを宿屋に残したままギルド公認雑貨店に向かうことにした。



 ~~~~~~~~~~~~



「おう。久しぶり。兄ちゃんのことをずっと待っていたのよ」


 アドルフは悠斗の姿を見かけるなり気さくな口調で声をかける。


「競売に出した品なのですが……換金できています?」


「おうよ。バッチリさ! 兄ちゃんは運がいいね。俺が扱っている品の中では今年1番の値段が付いたぜ」


 アドルフはそう前置きするとパンパンに膨れ上がった麻袋を取り出す。



「あいよ。240万リア!」



 240枚の金貨が詰められたそれは、テーブルの上に置かれるなりドスンという景気の良い音を響かせる。


「おぉ……!?」


 悠斗はテーブルの上に置かれた麻袋の中から垣間見える黄金の輝きを目の当りにして感嘆の声を漏らす。


 予想していた200万リアよりも40万リア高い。

 日本円に換算すると400万円の臨時収入である。


 この差については、額が額だけに途方もなく大きいだろう。


「そう言えば兄ちゃんは家に興味があるんだよな?」


「ええ。まあ……」


「もしよければ俺が知り合いの不動産屋を紹介してやろうか? 兄ちゃんみたいな田舎者は悪徳業者のカモになりやすい。俺の紹介する店ならば、絶対にそういうことにはならないって断言できるぜ」


「本当ですか!?」


 アドルフの提案は悠斗にとって願ってもないことであった。


 今の宿屋は3人で暮らすには手狭である。

 遅かれ早かれ生活の拠点を移す必要があると悠斗は考えていたのだった。


「ほいよ。それじゃあコイツがその店の地図だから」


「何から何までありがとうございます」


 悠斗が一礼するとアドルフは豪快な笑みを浮かべる。


「いいってことよ。良い男にはついつい……手取り足取り色々なことを教えたくなっちまうんだよな。兄ちゃんも罪な男だぜ」


「ハハッ……」


 ネットリと絡みつくようなアドルフの視線を素知らぬフリをして受け流す。


(これさえなければ……本当に良い店なんだけどなぁ……)


 悠斗は渇いた笑みを貼りつけながらもギルド公認雑貨店を後にした。


 目指すはアドルフに紹介してもらった不動産屋である。





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