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邪神 VS 勇者



 一方、その頃。

 ここは突如として、異世界トライワイドに出現した魔王城ヴァルハラの中である。

不足の事態を受けて、それぞれが物語の主人公級の力を持つとされる異世界人集団ナンバーズが動き始めていた。


「なぁんだ。ラスボス手前のダンジョンの割には、随分イージーな難易度設定だねー」


 入り組んだ迷宮の中、目にも止まらない速さでモンスターを倒し続ける黒髪の少年がいた。

 少年の名前をシンと言った。

 それぞれが物語の主人公級の力を持つとされるナンバーズにおいて、【01】の地位を与えられた男である。


 主人公補正@レア度 詳細不明

(あらゆる逆境を跳ねのけて、幸運をものにする力)


 異世界転生時にシンに与えられた能力は《主人公補正》。 

 類まれなる能力を保有するシンは、ナンバーズ最強の存在として君臨していた。


「油断するなヨ。シン。邪神の気配が近づくにつれ、モンスターの強度も上がっているようだ」


 シンの背後にピッタリと張り付き、援護する男の名前は、ナンバー【03】クラウド・J・ファースト。

 エクスペインの街に2人しかいないゴールドランク冒険者の1人である。


 機械仕掛けの魔導兵器デウス・エクス・マギカ@レア度 詳細不明

(自由に兵器を作り出すスキル)


 クラウドの保有するレアリティ詳細不明の固有能力は《機械仕掛けの魔導兵器》。

レーザー砲台から殺傷能力の高い爆弾まで現代兵器を自由に具現化することのできる能力であった。


「皆さん。先走り過ぎですよ。もう少し慎重に動いていきましょう」


 先頭で戦う2人から少し離れた場所に立ち、注意を促す少女の名前は、ナンバー【02】エミリア・ガートネット。

 エクスペインの冒険者ギルドで受付嬢を務め、《破壊神の怪腕ザ・ブレイカー》の固有能力を持った謎めいた美少女である。


(何故だ……。どうして今、魔王城が出現してしまった……。予想していたよりも早すぎる……!)


 最期にパーティーの後方に立ち、思い詰めた表情を浮かべていたのは、アーク・シュヴァルツである。


 転生@レア度 詳細不明

(命を落とした時、別の生物に生まれ変わる力。転生後もこのスキルは引き継がれる)


 異世界に召喚された際にアークが獲得した能力は《転生》。 

 魂を繰り返して利用できる稀有な能力を与えられたアークは、実に五百年以上の時を生き長らえた人物であった。


(……あの男だ。コノエ・ユート。全てはアイツに出会ってから、神託スコアの内容にズレが生じてきたのだ)


 その時、アークの脳裏に過ったのは、かつての仲間が残した予言書に記されていないイレギュラーな存在である悠斗の姿であった。

 おそらく悠斗という異分子が好き勝手に暴れまわった結果、何処かで邪神の復活を早めるトリガーを引いてしまったのだろう。

 今回の魔王城ヴァルハラの出現もまたアークの保有する予言書には、記されてはいない出来事だったのである。


「ふう。あらかた雑魚は片付いたかな。残すところ、敵はボスだけみたいだね」


 いとも容易く敵を殲滅してゆくアークたちであったが、実のところ、この付近に出現するモンスターは一筋縄ではいかない強力な個体ばかりであった。

 悠斗の保有する《魔眼》のスキルで表示される脅威LVに換算すると、100を超える魔物ばかりなのだ。

 だがしかし。

 ナンバーズの中でも、取り分け優れた戦闘能力を誇る4人のパーティーたちは、魔王城に出現する魔物たちを全く意に介さない強さを誇っていたのである。

 やがて、魔王城の最深部に到着したパーティーは、玉座の上に1人の男が腰を下ろしているのを発見する。


「へえ。お前が邪神か。パッと見た感じだと、普通の魔族にしか見えないな」


 その男、ルシファーは、勇者たちの到着を待ちわびていたかのように玉座の上で悠然としていた。


「ねえ。アーク。コイツがラスボスでいいんだよね? これ、第二形態とかあるパターン?」

「…………」


 シンの問いかけに対して、アークは何も答えることができずにいた。

 事前に予言で伝え聞いていた、外見の特徴とあまりに違い過ぎる。

 本来、アルテミスの『対』として存在している邪神アスタロスは、老いた醜い男の姿をしているらしい。

 だがしかし。

 目の前にいる男は、人間でいうなら20代後半の長身痩躯の体形をしていた。


「まあ、何だって良いや。チャッチャッと倒してさ。皆で、焼肉行こうよ。焼肉」


 軽口を叩いたシンは、仲間たちの指示を待たずに単独で敵に向かって切りかかる。 

 異世界に召喚されて以降、どんな強敵も楽々と倒していたシンにとって、戦闘はゲームと同じ感覚に過ぎないものだったのだ。


「ふんっ! 人間風情が……! 傲慢が過ぎるぞ……!」


 ルシファーは体から延ばした無数の触手によって、シンを返り討ちにしようと試みる。

 

「よっと」

「――――!?」


 それは時間にすると戦闘が始まってから1秒もしない間のことであった。

 ルシファーの首筋に斬線が走り、激しい出血と共に頭部が地面に転がった。


「魔王に負ける主人公がどこにいる? お前の負けは宿命づけられていたんだよ」


 シンの能力《主人公補正》は、あらゆる逆境を跳ね除けることを可能とする力である。

 この能力の特徴は、敵が強ければ、強いほどに効果を発揮するという点にある。

 異世界トライワイドにおいて《主人公補正》のような、世界のルールを根本から捻じ曲げる力は、《概念操作系スキル》と呼ばれていた。

 与えられる人間が極めて希少な《概念操作系スキル》は、世界最高峰のレアスキルとして知られていた。


「ほう。面白い。新しい肉体の試すのにはちょうど良いみたいだな」


 だがしかし。

 確実に首を跳ねたにもかかわらず、ルシファーは生きていた。

 胴体から新しい頭を生やして、ゴキゴキと首の骨を鳴らして、余裕の表情を浮かべていた。

 邪神の力を宿したルシファーは、既に頭部を破壊されても致命傷とならない回復力を身に着けていたのであった。


「次は4人まとめてかかってこい。あまりワタシを退屈させるなよ」


 復活したルシファーの言葉が引き金となった。

 こうして悠斗の預かり知らないところで、世界の命運を賭けた『邪神 VS 勇者』の戦いの火蓋が落とされるのであった。




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