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VS グレゴリー・スキャナー4



 襲い来る洗脳兵たちを前にしても尚、悠斗は冷静だった。

 まず悠斗は風属性魔法、ウィンドによって洗脳兵たちが握っている『起爆札』を吹き飛ばす。


 次に水属性魔法を応用した《拘束魔法》によって、個別に洗脳兵たちの体を拘束していく。


 この一連の動作を1人につき1秒を切る超スピードで繰り返していく。 



「……ハッ! 器用なやつだな」



 体力と気力を消耗させるのが相手の目的だということは分かっている。 

 けれども、たとえ極限の状況下に置かれたとしても救える命があるのならば救っておく、というが人の道を踏み外さないために悠斗が設定していた基本スタンスだったのである。



「さあ。次はお前の番だぜ。裸の大将」



 グレゴリーが自爆特攻用に温存していた洗脳兵たちは何時の間にかもういない。

 悠斗はついに己に課したルールを曲げることなく、グレゴリーと1対1の状況を作り出すことに成功したのである。



「ククク……。いいぜぇ。そんなに死にたいのなら、テメェはこのオレ様が直々に屠ってやるよ!」



 ドス黒い殺気を孕んだ低い声が地下聖堂の中に響いたその直後。


 グレゴリーの鎖骨に刻まれた『Ⅷ』の刻印が輝き始める。



「見せてやるぜぇ! これがオレたち《ナンバーズ》の……《数の刻印》に選ばれし者の力だ!」



 瞬間、悠斗の視界はグレゴリーが放つ強烈な魔力によって、グニャリと歪み始めていく。



 ~~~~~~~~~~~~



 500年前に世界を救った英雄、レジェンドブラッドは、後に復活を遂げるであろう《邪神》との戦闘に備えて、4つの遺産を残していた。


 レジェンドブラッドの中心人物であった《勇者》の英雄、アーク・シュヴァルツは、《転生》のスキルを駆使して、己の肉体そのものを残した。


 ソフィア・ブランドールの祖先である《賢者》の英雄は、後の未来を詳細に記述した《神託スコア》を残した。


 サリー・ブロッサムの祖先である《武闘家》の勇者は、対魔族に特化したオリジナル武術《幻鋼流》の技術を残した。


 前述の3つは500年前から今日に至るまで『世界の安定』という意味において、重要な役割を果たしていた。


 だがしかし。

 こと対邪神特化組織、ナンバーズの設立に当たり、重要なウェイトを占めていたのは他にある。


 そのきっかけになったのは、ミカエル・アーカルドの祖先である《魔術師》の英雄が残した、《数の刻印》と呼ばれるオリジナル魔術であった。


 この《数の刻印》とは、人間と魔族の間に広がる圧倒的な《魔力量》の差を埋めるために構築した特別な魔術である。



 用意された刻印の数は全部で10個。



 この刻印を身に着けた者は、四六時中、体内の魔力を吸われて、刻印の中に魔力を貯め続ける。


 貯蔵された魔力は世代を跨ぐごとに強化されるが、力を引き出すことができるのは、ごくごく一部の才能を持った実力差に限られている。


 元を辿ればナンバーズとは、《数の刻印》に選ばれた人間を差す際に使われていた言葉だったのである。



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