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静かな怒り



 それから。

 セバスを退けた悠斗たちは、地下通路の奥に歩みを進めていた。


 暫く歩いて行くと、地下通路の奥に大きな扉が設置されているのを発見する。



(ん……。なんだ……? この扉……?)



 そこにあったのは明らかに周囲の質素な光景からは、浮いているド派手なデザインの扉であった。

 最初は何かのトラップか? と思っていたのだが、それにしては様子がおかしい。



 警鐘@レア度 ☆☆☆☆☆

(命の危機が迫った時にスキルホルダーにのみ聞こえる音を鳴らすスキル。危険度に応じて音のボリュームは上昇する)

 


 どんなに扉に近づいても《警鐘》のスキルが発動しないのである。

 スキルの効果によって少なくとも、扉の先には命を脅かすようなトラップが仕掛けられている可能性は低いことが推測できた。 



「よし。今度はこの奥を調べてみるか」

 


 いくら《警鐘》のスキルが発動しなかったとは言っても油断はできない。

 悠斗は不意を突かれないように気を払いながらもドアノブを回して、扉の奥に歩みを進める。



(これは……監獄か……?)



 最初に悠斗の視界に飛び込んできたのは、部屋一面に張り巡らされた大きな檻だった。


 この後、悠斗は直ぐに部屋の中の異様な光景に気付くことになる。

 よくよく見ると檻は一定の間隔で区切られており、中には鎖に繋がれた少女たちが囚われとなっていた。



「大丈夫か!? 待っていろ! 今すぐに出してやるからな!」



 最初に動いたのはシルフィアであった。

 囚われの少女たちの姿を確認するや否やシルフィアは、檻に向かってミスリルブレードを振り翳す。



 ガキンッ!



 部屋の中に金属同士が擦れる耳障りな音が響く。



「クッ……! なんだ……!? この金属は……!?」



 シルフィアは焦っていた。

 何度斬り付けたところで目の前の檻には傷をつけることができない。



 一体どんな素材で作ればこれほどまでの強度を出すことができるというのだろうか?



 ミスリルで作られたはずのシルフィアの刃は、みるみると刃零れを起こして行くことになった。



「……無駄です。お嬢さま。おそらくこの者たちも他の人間と同様に精神を操作されているのでしょう。仮に檻を破壊することができたとして、彼女たちを真の意味で自由にすることは不可能です」


「クッ……!」



 サクラから注意を促されたシルフィアは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。


 たしかにサクラの言葉は正論なのかもしれない。

 けれども、シルフィアは目の前で囚われている少女たちを黙って見ていられるほど冷静ではなかったのである。



(そうだ……! こんな時、主君なら……!)



 これまで数々の不可能を可能にしてきた悠斗であれば、何か良いアイデアを出してくれるかもしれない。

 一縷の望みを託したシルフィアが悠斗の方に視線を移した直後であった。



 ゾゾゾゾゾゾゾゾッ。



 瞬間、シルフィアは背筋が凍るかのような悪寒を覚えることになる。



(しゅ、主君……?)



 緊張のあまり言葉を紡ぐことができない。

 檻の中の囚われの美少女たちを目の当たりにした悠斗の形相は、かつてないほどに怒っていたからである。



(久しぶりだな。こんなにも誰かを殺してやりたいと思ったのは……)



 檻の前には『コレクション番号2番』『コレクション番号3番』という風に表札が立てられていた。


 悠斗とグレゴリー。

 異世界に召喚されてから、共に100人の奴隷ハーレムを目指していたという点においては共通していた。


 だがしかし。

 奴隷の美少女たちを『モノ』のように集めるグレゴリーの趣味に対しては、共感することができない。


 2人の間には女性に対する扱い方においては、埋めようのない大きな溝が存在していたのである。

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