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ルーメルの惨状



「よし。まぁ、こんなところかな」



 ウルフの集団を蹴散らしたところで悠斗はステータスを確認する。



 近衛悠斗

 固有能力: 能力略奪 隷属契約 魔眼 透過 警鐘 成長促進 魔力精製 魂創造 魔力圧縮 影縫

 魔法  : 火魔法 LV7(17/70) 水魔法 LV7(30/70)

       風魔法 LV6(30/60)  聖魔法 LV6(37/60)

       呪魔法 LV6(16/60)

 特性  : 火耐性 LV6(26/60) 水耐性 LV3(25/30)

       風耐性 LV7(61/70)



 風魔法の熟練度が12ポイント上昇していた。

 どうやらウルフから奪えるスキルは風魔法プラス1らしい。


 悠斗の保有する《能力略奪》は、隷属契約を結んだ仲間が倒した場合も効果を発揮することは以前に検証済みである。


 つまりそれは悠斗とシルフィアで討伐したウルフの数が、合計で12匹であることを意味していた。



「……す、すまねえ。助かったよ」



 ウルフに追われて、命からがら街の中に逃げ込んできた男は、肩で息をしながらもガックリと項垂れた状態だった。



「答えて下さい。どうして貴方だけなんですか。他の人間たちは何をやっているのですか!?」



 普段冷静なサクラがここまで声を荒げるのは珍しい。

 目を覆いたくなるような街の惨状を前にしたサクラは、本気で怒っているようであった。



「し、知らねえよ。反乱軍の連中は揃いも揃って海を渡って行っちまったんだ」


「……海、ですか?」


「ああ。オレだって本当はこんなことやりたくねえよ。でもよ、他に街を守れる人間がいないんだから仕

方ねえだろう?」



 聞くところによると男は、もともとナルビアの街で漁師をやっており、戦闘とは無縁の生活を送っていたという。


 だがしかし。

 街の防衛を担当していた反乱軍のメンバーが海を渡ってからというもの状況は一変する。


 ナルビアの街は素人同然の人間が、街の防衛に当たらなければならない状況に陥っていたのだった。



「サクラ。これは一体どういうことなんだ? 街を守るのが騎士たちの仕事のはずだろう!?」



 異世界トライワイドにおける『騎士』とは、現代日本における『警察』と同じような役割を果たしていた。


 街の外にいるモンスターを駆除するのが『冒険者』の役目だとすれば、街の内側に侵入してきたモンスターを排除するのが『騎士』の役目だったのである。



「……さぁ。おそらく彼らなら今頃、砦の中で賭け事に興じているのではないでしょうか」



 実のところ今現在ルーメルの街に常駐している騎士たちの大半は、ロードランドからの出向組である。

 王都から遠く離れた僻地に左遷された彼らには、彼らの中には街を守ろうという気持ちは微塵もない。


 役に立たない政府に代わって、反乱軍のメンバーが街の防衛を請け負うのが現在のルーメルの惨状となっていた。



「留守のようでしたら仕方がありません。暫くは街に滞在して、リズベルが街に戻るのを待ちましょう」


「クッ……。他にどうすることもできないのか……」



 まさか自分の知らないうちにここまでルーメルが落ちぶれているとは思わなかった。

 やり場のない無力感に胸を打たれたシルフィアは、悔しそうに表情をしかめるのだった。



 ~~~~~~~~~~~~

 


 想定外のアクシデントによって、ルーメルに滞在することを余技なくされた悠斗たちは、滞在先であるサクラの住んでいるアパートを目指していた。

 整備の行き届いていないナルビアの街の道路は、そこらかしこに背の高い草が生い茂っており、真っ直ぐに歩くことすらも難しかった。



「着きました。あちらに見えますのが、現在ワタシの住んでいるアパートとなっております」



 サクラに案内されたアパートは、ナルビアの街の中でも一際に目立つ大きな建物であった。

 もともと高位の冒険者をターゲットにして作られたものであったので、その装飾などは賃貸とは思えないほど豪華な物であった。



「なかなか良い家に住んでいるのだな。して、サクラの部屋は何階にあるのだ?」


「いえ。何階というわけではないのですが……。このアパートは丸々一棟、ワタシが借りているものになります」


「「……え!?」」



 衝撃の発言を受けた悠斗&シルフィアはポカンと口を半開きにして唖然としていた。



「今となってはこの国に余っているのは、土地と建物だけはですからね。政府で働く人間にはもれなく好きな建物が貸し与えられることになるのですよ」


「「…………」」



 いくら建物が余っているからと言っても女の子1人にアパート一棟を貸し与えたりするものなのだろうか?


 今回の一件を通じてルーメルの置かれた惨状が益々と明らかになっていくのだった。


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