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VS ゴールドランク2



「やれ! お前たち!」



 エドワードの命令を受けたモンスター軍団は悠斗に向かって一斉に突撃する。

 中でも最も素早い動きを見せたモンスターは小柄な体躯のコボルト、コボルトソルジャーの2種だった。


 コボルトたちは手にした刃物を悠斗に向かって振りかざす。



「おらよっと」



 全ての格闘技の長所を相乗させることをコンセプトとした《近衛流體術》を習得した悠斗は、《サバット》についても達人級の腕前を誇っていた。

 数ある格闘技の中でも《外靴》を履いて戦うことを前提に作られた《サバット》の蹴りは、小柄なコボルトたちの頭を的確に捉えていく。



「怯むな! どんどん行ってこい!」



 続く第二陣。

 悠斗に向かって突撃したのはスケルトン&リザードマンのコンビだった。



「とりゃっ!」


「――ホネッ!?」



 スケルトンに対しては相手の身体を外側から破壊する《剛拳》という打撃が有効であった。


 筋肉の上からでも人骨を砕くほどの《剛拳》を有する悠斗にとっては、剥き出しの骨を折ることなど赤子の手を捻るよりも容易いことである。



「せいっ!」


「――グフッ!?」 



 反対にリザードマンには相手の身体を内側から破壊する《柔拳》が有効であった。

 いかにリザードマンが強固な鱗に覆われていようとも、体内の臓器を破壊されてしまえば関係のないことである。



「よっしゃ! どんどん出してくれ。効率良くレベルが上がって助かるわ~」


「…………」



 その光景はまるで――火の中に飛び込んでいく小虫のように次々に焼け死んでいくかのようであった。


 50匹を超えるモンスターの軍全はものの1分としない内に瞬殺されることになった。


 悠斗はそこでステータス画面を確認。



 近衛悠斗

 固有能力: 能力略奪 隷属契約 魔眼 透過 警鐘 成長促進 魔力精製 魂創造 魔力圧縮 影縫

 魔法  : 火魔法 LV7(17/70) 水魔法 LV7(30/70)

       風魔法 LV6(18/60)  聖魔法 LV6(37/60)

       呪魔法 LV6(16/60)

 特性  : 火耐性 LV6(16/60) 水耐性 LV3(15/30)

       風耐性 LV7(61/70)



 上がった数値から逆算すると、コボルトが火属性魔法プラス1、コボルトソルジャーが火属性魔法プラス5、リザードマンが水属性魔法プラス3、スケルトンが呪属性魔法プラス1らしい。



(なんなんだ……こいつ……!?)



 このまま近接戦闘を続けていても目の前の男を倒せるビジョンが全く沸かない。

 エドワードの眼から見て悠斗の戦闘能力は完全に規格外のものであった。



「クククク。アハハハハ!」



 頼りにしていたモンスターを同時に倒されて気が触れたのだろうか?

 突如としてエドワードは高らかに笑い始める。



「……何がおかしい?」


「お前はこう思っているだろう。『鍛え上げた俺の武術は絶対無敵だ! 誰にも負けはしない!』ってね」


「???」



 見当はずれの指摘を受けた悠斗は不思議そうに首を傾げる。

 ここ最近、悠斗が思っていることは『まだまだ修行が足りない』であり、エドワードの指摘とは全く逆のことであった。



「ハハッ。武術がどうした! そんなものはこうしてくれる!」



 レッドスライム 脅威LV1 状態 (テイミング)



 続いてエドワードが《魔物の壺》から召喚したモンスターはレッドスライムであった。


 敵の数は10体。

 今まで何度も戦ってきたレッドスライムであるが、これほどの数を同時に相手にするのは初めてのことであった。



「残念だったな! お前の『最強』はボクの『最弱』を前に敗れることになるんだよ!」



 いかに相手が優れた《武術》を有していても関係がない。

 軟体生物であるスライムは打撃攻撃に対して滅法強いのである。

 

 今回のように多彩なモンスターを操り、確実に相手の弱点を突けることがエドワードの持つ絶対的な強みであった。



「飛び掛かれ! スライム部隊!」


「「「ピキ――!」」」



 これまでの戦いを目にしてエドワードは学習していた。

 

 悠斗は強い。


 エドワードはこの攻撃で目の前の少年を殺せるとは思っていない。


 だがしかし。

 いかに悠斗の武術が優れていようともスライムを相手に応戦すれば絶対に隙ができる。


 その瞬間こそが、強力なモンスターを召喚して一気に畳みかけに行くチャンスとなるだろう。


 

「誰が武術だけって言ったよ?」


「「「ビキ――!?」」」



 スライムたちの悲鳴が洞窟に響き渡る。

 冷水を浴びたレッドスライムたちの体はグツグツに溶けて原型を失っていた。



「チッ――。水属性の魔術師だったか。運の良いやつめ」



 打撃攻撃に対しては無類の耐性を誇るレッドスライムであったが、弱点魔法を突かれると滅法弱いのが珠に傷であった。



「ならばこうしてくれる!」



 ブルースライム 脅威LV1 状態 (テイミング)



 続いてエドワードが《魔物の壺》から召喚したモンスターはブルースライムであった。


 打撃攻撃に強く、水魔法を吸収する特性を持ったブルースライムならば悠斗の動きを封じることができるに違いない。


 勝利を確信したエドワードは10体のブルースライムを同時に操り、悠斗に向かって突撃させる。



「誰が水属性だけって言ったよ?」


「「「ビキ――!?」」」



 スライムたちの悲鳴が洞窟に響き渡る。

 灼熱の炎を浴びたブルースライムたちの体はグツグツに溶けて原型を失っていた。


 こんなことは初めてであった。

 どんなに優れた冒険者であっても普通に考えれば、1匹や2匹、苦手とするタイプのモンスターが存在しているはずなのである。


 だがしかし。

 目の前の少年には全く弱点となる戦術が見当たらない。


 万策尽きたエドワードは呆然とその場と立ち尽くすことしかできなかった。



「これで終わりか? んじゃ。今度はこっちからいくぜ」


「――フギャァッ!?」

 


 悠斗の蹴りを顔面に受けたエドワードの体は、糸の切れた凧のように宙に向かって打ちあがる。


 洞窟の壁に激突したエドワードは、自分が何をされたのかすら分からずに途方に暮れていた。



(……あれ。浅かったかな?)



 一撃で再起不能にするつもりで放った悠斗の蹴撃を受けてもエドワードはピンピンとした様子であった。



(ああ。そうか。身代わりの指輪の効果が発動したのか)



 身代わりの指輪@レア度 ☆☆☆☆

(死に至るようなダメージを一度だけ肩代わりしてくれる指輪。効果の発動後は指輪が破壊される)



 悠斗はそこで改めて《魔眼》を使用して周囲の状況を確認してみる。



 オリハルコンの鎧@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆☆

(超希少金属、オリハルコンで作られた鎧。物理攻撃に対する耐性値が高い)


 竜殺しの太刀@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(その一撃は竜すらも斬り裂くと言われている高性能の太刀)


 麒麟のブーツ@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(幻のモンスター、麒麟の皮で作られた靴)



 よくよく見ると《身代わりの指輪》だけではない。

 エドワードの装備するアイテムはいずれも高性能なものばかりであった。



「――なぁ。そろそろ諦めたらどうなんだ?」 



 先程の一撃で確信した。

 金にものを言わせて集めた装備品、使役しているモンスターこそ厄介だが、エドワード本人の実力は特筆するべき点がないだろう。

 

 強者としての驕りがない分、以前に戦ったギリィたち《彗星世代》のシルバーランクの冒険者たちの方が強く感じるくらいであった。



「今すぐ謝るなら半殺しくらいで許してやらないこともないぜ?」


「ヒャハハハハ! 許さねえ! 許さねえよ! お前……本気で殺してやるからな!」



 悠斗から『更生のチャンス』を与えられたにもかかわらず、エドワードは完全に冷静な思考を失っていた。


 物心がついた時から手に入らないものなど何もなかった。

 地位も、名誉も、女も、金も、人望も、エドワードが望めば何でも手に入った。


 全てが自分の思い通りに運ぶことがエドワードにとっての日常で、だからこそ今の状況は我慢できないものであった。



「終わりだ! テメェはここで!」



 高らかに叫んだエドワードが取った行動は悠斗にとっても予想外のものだった。

 何を思ったのかエドワードは、ランク8のレアアイテム《魔物の壺》を思い切り地面に叩きつけたのである。



 パリィンッ。



 粉々に壺が砕けると中に封印されていたモンスターたちが一斉に姿を現した。


 


「うおっ。よくもまぁ、こんなに集めたな」




 壺の中から出現したのは大量の魔物が重なることによって生じた『モンスターの塊』であった。


 敵の数は少なく見積もって100体以上いる。


 武術を用いて1匹1匹対応していたら骨が折れそうであった。



「アヒャヒャヒャ! 殺せ! お前たち!」

 


 あまりに数が多いため全ての情報を《魔眼》のスキルで読み取ることは不可能だった。

 

 魔物の『塊』は悠斗に向かって一斉に飛び掛かる。



 ヒュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!



 その時だった。

 突如として極太のレーザー光線が悠斗の体を横切って、魔物たちの体に向かっていく。


 2本、3本、4本と次々に増えて行ったレーザー光線は魔物の塊をドロドロに溶かしていく。



「バカな……。バカな! バカな! バカな!」



 現実を直視することができずにエドワードは力なく尻餅をつく。


 時間にすると僅か数秒の出来事であった。

 エドワードが召喚した100以上のモンスターは、一瞬にして消し炭に変わることになったのである。



 クラウド・J・ファースト

 種族:ヒューマ

 職業:冒険者

 固有能力:瞬間記憶 警鐘



 瞬間記憶@レア度 ☆☆☆☆☆

(過去に見た映像を完全に記憶するスキル)



 警鐘@レア度 ☆☆☆☆☆

(命の危機が迫った時にスキルホルダーにのみ聞こえる音を鳴らすスキル。危険度に応じて音のボリュームは上昇する)



「まったく……。ギャーギャーとウルサイ男だヨ」

 


 サングラスの位置を整えながらも洞窟の奥から歩いてきた半人半機の男の名前はクラウド・J・ファースト。

 エクスペインの街に2人しかいないゴールドランク冒険者の1人であった。



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