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パーティー参入



「ねー。ねー。スピカちゃん。早いところ出発しよーぜー?」


「ごめんなさい。もう少し、もう少しだけ待ってもらえませんか?」


「待っていたって誰も来ないって。早くオレたち3人だけで行こう。な?」



 一方、その頃。

 冒険者ギルドの中でヒラリー&ポッチョのコンビに絡まれていたスピカは戸惑っていた。



(……もう1人くらい女の子がいてくれると心強いのですが)



 スピカの中の女としての本能が告げている。

 このまま男たちに混ざって遠征に出向くのは、なんとなく危険な気がする。

 

 だがしかし。

 いくら待ってもパーティーの参加希望者は現れはしなかった。


 それもそのはず――。

 スピカをパーティーに誘ったヒラリー&ポッチョは、エクスペインの街では悪名高い男たちだったのである。


 2人の中には最初からモンスターを討伐して生計を立てる気は微塵もない。


 容姿に優れた女性冒険者をパーティーに誘ってナンパの機会を得ることが、彼らの目的だったのである。



「すいません。このパーティー、今から俺も参加できますか?」



 突如として1人の少女が男たちの前に現れる。



(えっ。この人、もしかして……?)



 少女の姿を目の当たりにしたスピカは絶句した。


 何故ならば、そこにいたのは――。

 悠斗と同じ黒髪黒目をした何処か見覚えのある雰囲気の美少女だったからである。



(……それにしても我ながらスゲー貧乳だ。女に生まれなくて良かったわー)



 性別転換の実@レア度 ☆☆☆☆☆

(生物の♂♀を転換させる。効果時間は6時間)



 ギルド公認商店で購入した服に着替えて、《性別転換の実》を使用した悠斗は鏡に映った自分の姿を見て、そんなことを考えていた。


 顔立ちは妹に似て、それなりに整っているものの、スタイルに関しては愛菜と比較をした場合に雲泥の差だった。


 もしも女に生まれていたら、妹と比べて胸が小さいことをコンプレックスに感じていたに違いない。



「うひょー! 可愛い子ちゃん発見!」


「げへへっ。こいつはラッキーだぜ! 今日は大量だなぁ」



 性転換した悠斗の姿を目の当たりにした2人の男たちは下卑た声を同時に漏らす。



「あのっ。私の名前はスピカ。駆け出し冒険者のスピカ・ブルーネルと申します。よろしければ貴方の名前を教えて下さい」


「俺か? 俺の名前は――」



 スピカの質問を受けた悠斗は一瞬、言葉が詰まる。

 変装することばかりに意識が行って、変装後の設定については深く考えていなかった。


 だから悠斗はパッと思いついた名前を口にする。



「――ユウコ。魔術師のユウコだ」



 今この時、このタイミングこそが、後のエクスペインの街で《伝説の魔術師》として後世に語り継がれることになる《魔術師ユウコ》誕生の瞬間だった。



(やっぱり女の子? 一瞬だけご主人さまが女性の恰好をしているのかとも思いましたが……私ったら失礼なことを考えてしまったみたいです)



 体の匂いも異なっているし、声だって作り物でない女性のものである。

 

 目の前の少女の自己紹介を聞いたスピカは、ユウコのことを悠斗とは別人物だと信じるのだった。




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