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スピカの相談



 悠斗がローナス平原でアクアドラゴンを討伐してから3日の時が流れていた。

 その後の悠斗はというと、冒険者ギルドには出向かずに自宅で新しい魔法の開発に励んでいた。



(よし。ちょっとずつコツが掴めたきたぞ)



 魔法の威力というものは【スキルレベル × 熟練度】によって決定される。

 能力略奪によってスキルレベルを上げることは容易だが、熟練度だけはこうしてコツコツと修行していくことでしか上達の方法はない。


 また、日常的に魔法を使用して、体内の魔力量の底上げを図っていくことも重要である。


 そのことは以前に伝説の英雄――アーク・シュヴァルツと出会って以来、痛感していたことであった。



(ウォーターカッター!)



 右手の中指と人差し指を伸ばした悠斗は心の中で呪文を唱える。

 瞬間、2本の指から噴出された水が庭に置かれた岩を切り裂いた。



「ふぅ……。成功だ……!」



 同じ種類の魔法でもイメージ次第で様々な使い方ができる。

 今回の新しく開発した《ウォーターカッター》の呪文は水量ではなく、水圧に重点を置くことによって『切断力』を強化したものである。


 二本の指から射出される水の刃は次々に屋敷の岩を切断していく。



(ウォーターカッターの有効射程範囲は距離4メートルっていうところかな……)


 

 それ以上離れた場所から使用しても対象物を傷つけることはできない。

 切断能力を失った『ウォーターカッター』は単なる勢いの強い水に落ちてしまうのである。



 イメージ力の鍛錬。

 

 スキルとの組み合わせの検証。

 

 魔法と武術との融合。



 能力略奪のスキルを保有する悠斗にとって、魔法の訓練は新しい発見の連続である。

 悠斗は毎日の修行の中で一歩ずつではあるが、確実に強くなっている実感を抱いていた。



「あ、あの、ご主人さま……」



 暫く修行に没頭していると背後から声をかけられる。



「ん。どうした。スピカ」



 魔法の修行に暮れる悠斗に対して話かけるのは、スピカにとって非常に勇気を要する行動であった。

 それというのも一度『修業モード』に入った悠斗の集中力は凄まじく、他者を寄せ付けない雰囲気を持つようになるからである。



「大切な相談があるのですが、お時間よろしいでしょうか?」


「ああ。大丈夫だよ」



 スピカの真剣な表情を目の当たりにした悠斗は、直ぐさま『修業モード』を解除して相談の内容を聞いてみることにした。


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