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英雄の帰還



「おいおい。なんだよあれ……?」


「ド、ドラゴンだと……? もしかしてあのルーキー、ドラゴンを倒しやがったのか……!?」



 それから4時間後。

 討伐したモンスターの解体作業を済ませた悠斗が冒険者ギルドに戻ると、辺りは騒然となっていた。



「偶然だろ。冒険者がドラゴンをハントするなんて聞いたことがない」


「いやでも。アイツ……最近噂になっている《彗星のユート》だろ? アイツなら万が一って可能性もあるんじゃないか……?」



 ドラゴンの死体を目の当たりにした冒険者たちは次々にそんな言葉を口にしていた。

 

 ある者は素直に悠斗の実力を勝算して、またある者は適当な理由を付けて頑なに悠斗のことを認めようとしない。

 


(流石にこれは目立ち過ぎだよなぁ……)



 待合席に腰かけた悠斗は深々と溜息を吐く。


 周囲の人間たちの話題の的となるのも無理はない。


 何故ならば――。

 ドラゴンの死体がこれほどまでに完全な形で残るのは非常に稀なケースだからである。


 通常、ドラゴンとの戦闘は魔術師たちが遠距離攻撃で戦うことが定石とされていた。

 魔法攻撃によって仕留められたドラゴンたちは原型が残らないほどのダメージを負うことも多いのである。



「どうだ? アタシの言う通りにして正解だっただろう?」



 ドラゴンを解体せずに売り払ったのはラッセンのアイデアだった。

 悠斗が仕留めたアクアドラゴンはバラバラにして装備品の素材にするよりも、『剥製』として売りに出した方が圧倒的に希少価値が高いのである。

 

 悠斗の提出したアクアドラゴンは、近日中にギルド主催のオークションにかけられることになった。



「そうですね。ラッセンさんのおかげでまた大金が入りそうです」


「ふふふ。そうだろう。そうだろう」



 悠斗に持ち上げられたラッセンはすこぶる上機嫌であった。


 優れた情報屋でありなががらも、ラッセンの承認欲求が人並みに強いものがあった。

 ラッセンにとっては自分が認めた相手に認められることが何よりの喜びだったのである。

 


「おやおや。これは一体何の騒ぎだい?」



 黒宝の首飾り@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(他人が所持する《魔眼》スキルの効果を無力化するネックレス)


 黒宝のイヤリング@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(他人が所持する《魔眼》スキルの効果を無力化するイヤリング)


 黒宝の指輪@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(他人が所持する《魔眼》スキルの効果を無力化する指輪)



 騒然となるギルドの中、突如として年若い1人の男が現れる。

 綺麗な金色の髪の毛を持った長身痩躯の整った顔立ちの男だった。

 


(黒宝装備の3点セットだと……!?)



 男の装備を目の当たりにした悠斗は驚愕していた。

 他人が所持する《魔眼》の効果を無力化する黒宝装備は、極稀にダンジョンからドロップする以外に入手の方法がなく非常に高価な装備として名を知られていた。


 1つ装備すれば効果のあるアイテムを3重に身に着けていることから推測すると、目の前の男は只者ではないのだろう。



「エ、エドワード……? どうしてここに……?」



 男の姿を目の当たりにしたラッセンは驚きの声を上げる。



「あの人のこと知っているんですか?」


「ああ。奴の名前はエドワード・ウィルソン。エクスペインの街に現在2人しかいない、ゴールドランクの冒険者だ。この町に戻ってくるのは1年振りになるのかな。爵位を持ったエドワードはここ最近ずっと南の戦争に参加していたんだ」


「…………!?」



 噂にこそ聞いていたが、ゴールドランクの冒険者に遭遇することは悠斗にとって初めてのことであった。


 ゴールドランク冒険者ともなると国から直接仕事を与えられることが多くなり、ギルドに足を伸ばす機会が減るとされているからである。



「おいおい。まさかエドワードさんが帰ってくれるとはラッキーだぜ!」


「最近だとブレイクモンスターがなんだとって物騒な話が続いているが、これでオレたちの街は安泰だな」



 優秀な実績と甘いマスクを兼ね備えたエドワードは、周囲の人間たちからの人望も厚かった。




「やぁ。ラッセンくん。久しぶりじゃあないか」




 爽やかな笑みを浮かべたエドワードは悠斗たちの元に歩み寄る。

 過剰につけられた男性用の香水の臭いが鼻の中にムワッと広がった。



「聞いたよ。シルバーランク昇格おめでとう。キミほどの人材がずっとブロンズランクに止まっていたんだ。てっきりボクはラッセンくんは昇進に興味のないものだとばかり考えていたんだけどなこれは一体どういう風の吹き回しだい?」



 単純な実績だけで判断するならば、ラッセンもまたゴールドランク冒険者としての推薦を受けてもおかしくはない水準に達していた。


 けれども、情報屋稼業が忙しいラッセンは、面倒がって昇格試験を受けずにいたのである。



「……別に。大した理由はありませんよ。ただ、少し、出来の良い後輩を持ってしまって心境が変わったんです」



 ウェスタンハットを深めに被ったラッセンの視線は悠斗の方に向けられていた。



「へぇ。もしかしてキミがあの、コノエ・ユートくんか!」



 悠斗の存在に気付いたエドワードは、わざとらしい驚きの声を上げる。

 ネットリと絡みつくようなエドワードの視線からは、ある種の薄気味の悪さが感じられた。



「感激だなぁ。キミの活躍は南の紛争地域にも聞き届いていたよ」


「はぁ……。そりゃ、どうも」


「これからは同じ冒険者として仲良くやっていこうじゃないか。今後のキミの活躍に期待しているよ」


「…………」



 上機嫌にエールを送ったエドワードは、再び顔なじみの冒険者たちの輪の中に入っていく。



「へへっ。『彗星のユート』とか言ったか? ドラゴンを倒したか何だか知らないが、良い気になっていられるのも今の内だよなぁ。エドワードさんが帰ってきたからには直ぐに実力の違いを思い知ることになるだろうからよー!」



 悠斗の活躍を快く思っていない冒険者の1人が大声で囃し立てる。



「……ラッセンさん。どうやら俺、アイツとはとても仲良くできそうにないです」


「奇遇だな。アタシもだ。何やらヤツからは胡散臭いものを感じてしまってな」



 エドワードが遠くに去ったことを確認した悠斗&ラッセンは、こっそりとそんな会話を交わすのだった。

 


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