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冒険者の素質



 それから4時間後。

 マシュマロボール討伐の結果は、以下の通りであった。



 ラッセン  → 21匹

 悠斗    → 18匹

 シルフィア → 9匹

 スピカ   → 8匹



 討伐数は4人の合計で56匹。

 今シーズン出現するマシュマルボールの大部分を狩り尽くした計算になる。


 例年通りであれば50~60匹のモンスターを100人近い冒険者で争奪することになるのだが、今回は他に競争相手がいなかったこともあり破格の戦果を得ることができた。



「ぜぇ……ぜぇ……。ユ、ユートくん。どうだ? アタシの実力は……?」



 少しでも討伐数を増やそうと花畑の中を全力疾走していたからだろう。

 全身の疲労からラッセンの足はガクガクと痙攣を起こしていたいた。



「さ、流石はラッセンさんです。完敗でした」


「ふふ。そうだろう。まだまだ後輩には負けていられないのだよ。ゲホッ! ゲホッ!」


「……ラッセンさんの負けず嫌いは相変わらずですね」



 結果に拘るラッセンとは異なり悠斗は、スピカ&シルフィアの戦いぶりに気を払いながらもマイペースに討伐を続けていた。


 このところ強敵とばかり戦っていたので、今回の遠征は悠斗にとってちょうど良い息抜きとなっていた。

 


「ご主人さま! やりました! 私、8匹も倒せましたよ!」


「見事なものだな。スピカ殿。もう少しで抜かれてしまうところだったよ」



 意外だったのはスピカとシルフィアの数字が大きく違わなかったという点である。


 身軽でいて持久力に優れたスピカは悠々とマシュマロボールを追いかけ回していたのに対して、重装備のシルフィアは素早く動き回る相手に手を焼いていた。



「凄いな。スピカ。また腕を上げたんじゃないか?」


「えへへ。ありがとうございます。ご主人さま」



 褒美の代わりに頭を撫でるとスピカはピコピコと頭の上の犬耳を動かして喜びの感情を露にしていた。



「そうだな。実際、スピカくんの剣技は大したものだよ。単純な素質だけで言うならブロンズランクの冒険者と肩を並べられるくらいのものは感じたよ」


「ほ、本当ですか!?」


「ああ。悪いがアタシは、心にもない言葉で他人を持ち上げられるほど器用じゃないんだ」



 自分の努力が認められた瞬間ほど嬉しいことはない。

 悠斗に続いてラッセンにまで褒められたスピカは犬耳に続いて、腰から伸びた尻尾を振って喜びの感情を露にしていた。



「ただ……」



 いかに優れた剣術を有していても大きなアドバンテージにはならない。

 冒険者として生計を立てていくためには剣の腕よりも遥かに大切な素質がある。


 けれども、そのことを指摘するのも野暮だと感じたラッセンは喉まで出かかった言葉をグッと押し殺すことにした。



「ところで今日はこれからどうしますか?」


「そうだな。まずは倒した獲物の解体作業をこの場でやってしまおうか。家の中でやると床のが綿だらけになってしまうからね」



 4人で倒した56匹のマシュマロボールは花畑の上に山積みになって置かれている。

 手分けして作業にするにしてもそれなりに時間がかかりそうだった。



「解体作業なら任せて下さい! 私はずっと、ご主人さまの倒したモンスターを解体していたので得意なんです!」



 ラッセンに剣術を褒められたことが自信に繋がったのだろう。

 スピカの眼には今までにないヤル気の炎が灯っているようであった。



「何か……来る……!?」



 警鐘@レア度 ☆☆☆☆☆

(命の危機が迫った時にスキルホルダーにのみ聞こえる音を鳴らすスキル。危険度に応じて音のボリュームは上昇する)



 仲間たちとの他愛のない談笑を楽しんでいるタイミングであった。

 命の危機を知らせる《警鐘》のスキルホルダーである悠斗はいち早く異変を察知する。



「フゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」



 身の毛がよだつような咆哮が地上に向けて放たれる。



 アクアドラゴン 脅威LV32 状態 (テイミング)



 音のする方に反応して空を見上げると、1匹のドラゴンが翼をはためかせていた。



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