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闇の勢力



 一方、その頃。

 ここは世界に3つしかない《冥府の扉》を開けた先にある『魔界』と呼ばれるエリアである。


 魔界に聳え立つ古びた城の中に1人の魔族の姿があった。



「ふぉふぉふぉ。流石は『精霊王』と呼ばれるだけのことはある。これまでとは効率が段違いだわい」



 玉座でほくそ笑んでいる男の名前は《悪魔宰相》――ハーディス。

 七つの大罪を指揮する立場にあるハーディスは、魔界の最高権力者として魔族たちの中でも、頂点に君臨していた。



「ハーディス様。ご報告があります」



 ハーディスの前に1人の魔族が片膝をついて声を上げる。



「なんじゃ。言うてみい」


「現在、《死戒の宝玉》に溜まった負の感情エネルギーは目標値の78パーセントを達成しました。既に各地には邪神様の力を引いたブレイクモンスターたちが出現中。人間たちが混乱に陥るのも時間の問題と思われます」


「ククク。そうかそうか。計画は順調に進んでいるようじゃのう」



 残りの22パーセントという数字もブレイクモンスターが出現したからには、即座に達成することになるだろう。


 今にして考えると、『七つの大罪』が崩壊したことも、ハーディスにとっては好都合だったのかもしれない。


 これまで権力の集中を防ぐために7つに分けていた魔王の地位であるが、もともと魔王とは世界にたった1人の強者を指す言葉だったのである。


 

「……もうすぐ。もうすぐワシの悲願は叶う。このワシ! 悪魔宰相ハーディスこそが、邪神の力を利用して世界の全てを手に入れるのじゃ!」



 邪神の力を以てすれば勇者も、魔族も、精霊も、全てがハーディスの下に屈服するより他はない。

 自らの勝利を半ば確信したハーディスは、邪悪な笑みを零すのであった。



 ~~~~~~~~~~~~



 同刻。

 哄笑するハーディスの様子を見ていた2人の魔族がいた。



「大変! まさかハーディスが精霊たちと手を組んでいたなんて!」



 1人は暴食の魔王、ベルゼバブである。


 ベルゼバブが身に付けているのは、現代日本の女子高生が着るような学生服である。

 

 この衣服は異世界から召喚された少女が着ていたものに感銘を受けて、自らの固有能力で作り出したものであり、今では彼女の普段着になっていた。



「流石は悪魔宰相ハーディスと言ったところか。あの偏屈な《精霊王》を味方に付けるとは……。魔界一と謳われた外交手腕は健在だな」



 もう1人は色欲の魔王、アスモデウスである。

 身長2メートルを超えようかという巨漢の老人は、ベルゼバブとは違った意味で一目を惹く外見をしていた。


 ベルゼバブとアスモデウス。


 2人の魔族はルシファーからの依頼により、失踪したマモンの部下の行方を追っていた。


 だがしかし。

 マモンの死亡を契機に四獣の塔から宝を持ち出した魔族を成敗したまでは良かったのだが、2人が王都に戻ってきた頃には、七つの大罪は実質的に崩壊をしていた。


 ルシファーという絶対的なリーダーを失った2人は、途方に暮れながらも魔界の動向を探っていたのである。



「……しかし、お前の固有能力は本当に便利だな。あのハーディスが全くこちらに気付いている様子がないぞ」



 ベルゼバブの《悪食》は、主人の『ワガママ』を何でも叶えてくれる魔神を召喚する、世にも珍しい効果を持った固有能力である。


 叶えられる『ワガママ』については制限がない。


 魔神ラヴの口内は異空間と繋がっており、その中から主人が望むものを何でも取り出すことが可能である。


 今現在。

 2人は魔神ラヴの腹の中から取り出した魔法の鏡によって、ハーディスの動向を探ることに成功していた。



「そんなこと言っている場合!? ハーディスが魔王になっちゃうんだよ!」


「このままで良いのではないか?」


「えっ……」


「どちらにせよ《七つの大罪》が崩壊した今となっては、やつ以外に魔界を統治できるものはいないからな。このままハーディスが魔王となるのも仕方のないことだろう」


「アスモはそれでいいの? ハーディスはルシファーさんを殺したんだよ!?」


「…………」



 アスモデウスとて現在の状況に対して納得しているわけではない。

 かつての戦友、ルシファーを殺したハーディスに対しては、腸が煮えくり返る感情を抱いているところであった。



「しかしな、ベルゼバブ。オレは歳と取り過ぎたし、お前は魔王と呼ぶには若過ぎる。他に候補者がいない以上、仕方がないだろう」



 七つの大罪が人間に打ち負かされたという情報は魔界中に駆け回っている。

 年齢という理由を抜きにしてもアスモデウス、ベルゼバブが魔王の座に就けるような状況ではなかった。



「……ユートさまがいる」



 伊達や酔狂で言っているようには思えない。

 突拍子のない提案をしているようでいてベルゼバブの眼差しは真剣そのものであった。



「バ、バカなことを言うな! 人間が魔王になるなど聞いたことがない!」


「できるよ! ユートさまならできる! アスモ。前に言っていたよね? 魔王っていうのは本来、世界で一番強いやつがやるべきだって! ユートさまなら実力的にも問題ないでしょう!?」


「うぐっ。そ、それはたしかに……」



 エクスペインの武術トーナメントで、憤怒の魔王サタンを圧倒したと呼ばれる悠斗の実力は、アスモデウスの耳にも届いていた。


 私欲を肥やすことにばかり執着するハーディスが魔王の座に就くことになれば、世界はたちまち戦火に包まれることになるだろう。


 アスモデウスは思う。

 もしかすると近衛悠斗という少年が現れたのは、この世界をあまねく支配する――魔王の座に君臨するためだったのかもしれない。



「分かった。オレの方からも、コノエ・ユウトという少年を魔王として推薦ができないか聞いてみようと思う」


「……本当!?」


「ああ。あの兄妹には、我々の計画を狂わせた責任を取ってもらわねばな」



 七つの大罪の最古株であるアスモデウスであれば魔界の権力者たちにも顔が利く。



 復活を間近に控える邪神。

 悪魔宰相ハーディスの台頭。

 暗躍するベルゼバブ&アスモデウス。


 

 悠斗の与り知らぬところで今――運命の歯車が狂い始めようとしていた。





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