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能力略奪



「……あー。派手に殺っちまったな」


 床の上に転がっている死体を目の前にして悠斗は呟く。

 これまで《家庭の事情》により全国各地の様々な武術を学んでいた悠斗であったが、その技術を活かして人型の生物を殺したのは初めての経験であった。


 悠斗にとっての不幸中の幸いは、オークたちが『人』と呼ぶにはあまりに醜悪な姿をしていたことにあった。


 もし仮に彼らが自分と同じ――人間の姿をしていたら戦闘を躊躇していたことだろう。


「うーん。なんだろうこれは……」


 死体が転がった部屋で悠斗は首を傾げていた。

 悠斗の視界には、ゲームのウィンドウ画面を見ているような説明文がそこら中に散見された。



 オークの槍@レア度 ☆



 オークたちが装備していた槍にはそんな説明文が浮かび上がっていた。

 そしてこの文章は道具に止まらずオークたちの死骸の上にも書かれていた。



 ギルディア・メサイエティ

 種族:オーク

 職業:奴隷商人

 固有能力:なし



 説明文によると豚男のボスはどうやらギルディア・メサイエティという名前をしているようだ。


(……顔に似合わず格好良い名前をしているな)


 というのが率直な感想である。


「オークって言えば……エロゲーとかに出てきて女騎士を犯す種族だよな? 異世界とは言え実在していたのか……」


 悠斗は自身の偏った知識からそんな言葉を口にする。

 職業が奴隷商人であることから察するにどうやら男たちが、悠斗を奴隷として売り飛ばす算段であったことは間違いないようだ。


 そしてこのウィンドウ画面はどうやら悠斗自身にも浮かんでいるようであった。



 近衛悠斗

 種族:ヒューマ

 職業:無職

 固有能力: 能力略奪(スキルテイカー) 隷属契約 魔眼 



 悠斗は自身の説明文を見て戸惑いを覚えた。


(あれ……? どうして固有能力が3つもあるんだろう?)


 固有能力とはこの世界で生まれた人間が《先天的》に所持しているスキルである。

 そのことは先程のオークたちの会話から窺い知ることが出来た。


 これでは話の辻褄が合わない。


 何故ならば、オークたちの会話によれば悠斗は『固有能力を持たないハズレ』だったはずだからである。


 けれども。

 この疑問は能力欄にある《能力略奪(スキルテイカー)》に浮かび上がったウィンドウ画面を見るなり解決することになる。



 能力略奪(スキルテイカー)@レア度 詳細不明アンノウン

(倒した魔物の能力を奪うスキル)



「なるほど……俺の能力が増えていたのはこの能力が原因って訳か。しかし、レア度が詳細不明アンノウンってもしかしてスゲー当たりを引いたんじゃないか?」


 悠斗の予測はそのものズバリ的中していた。

 レアリティ《詳細不明アンノウン》とは、現在設定されている中で最高ランクの《固有能力》である。


 悠斗の呼び出された異世界――トライワイドでは外の世界から召喚された人間は一人の例外なく《固有能力》を授かることになっていた。


 けれども。

 そのレアリティにはバラつきがあり、個人の育った環境&生まれ持ったが素質が色濃く反映される仕組みになっている。



 能力略奪(スキルテイカー)



 倒した魔物の能力を奪うそのスキルは、『他人の技を盗むこと』にかけて天武の才を持っていた悠斗だからこそ取得できた最高峰のレアスキルであった。


 そんなことはツユ知らずに悠斗は、《能力略奪(スキルテイカー)》の効果により奪った能力の説明にも目を通すことにした。



 隷属契約@レア度 ☆☆☆

(手の甲に血液を垂らすことで対象を『奴隷』にする能力。奴隷になった者は、主人の命令に逆らうことが出来なくなる。契約を結んだ者同士は、互いの位置を把握することが可能になる)



 魔眼@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆

(森羅万象の本質を見通す力。ただし、他人が所持するレア度が詳細不明アンノウンの能力に対しては効果を発揮しない)



 ここで悠斗が注目したのは《魔眼》の能力である。

 どうして唐突に視界に説明文が散見されるようになったのか?


 ここで悠斗はその訳を理解した。


 つまりこの不可解な現象は、メガネをかけたオークが持っていた《魔眼》の力を《能力略奪(スキルテイカー)》の力で奪った結果なのだろう。


(……なるほど。これは便利だ)


 いきなり異世界に召喚されて命を狙われた時はどうなることかと思ったが、どうやら天はまだ自分のことを見捨てていなかったらしい。


 森羅万象の本質を見通す《魔眼》のスキル。


 これから暫く異世界で生活するに当たり、これ以上に心強い能力はないだろう。



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異世界支配のスキルテイカー 

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