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光と影4



 それから。

 勝負の行方は、悠斗の不得手とする持久戦に持ち込まれることになった。


 第三者の目からは2人の力量はほとんど互角に映ることだろう。


 だがしかし。

 愛菜の開発した近衛流體術(改)は、近衛流體術にあった欠点を改良し、僅かにそれを上回ることに特化させた武術である。


 結果――。

 勝負が長けば長引くほどに2人の優劣は、受けたダメージの量に現れることになる。



「――さぁ! 認めて下さい」


「愛菜は……お兄さまよりも強くなりましたよ?」 


「これでお兄さまの愛は私だけのものですよね?」



 自らの勝利を目前にした愛菜は、興奮気味の口調で疑問を投げる。

 その言葉は悠斗をハッと我に返らせるものであった。



(そうか。元はと言うと……全て俺が撒いた種だったんだよな……)



 大事な仲間を傷つけられて、怒りで我を失っていた。

 全ての元凶は悠斗自身の無責任な嘘にあった。


 過去に何度か『自分より強い女性が好き』という言葉が嘘であることを告白してみたものの――。

 愛菜はまるで自分の言葉を信じてはくれなかった。


 しかし、それも当然の話である。

 一度信じたものは死ぬまで信じ続けるのが愛菜の生き様なのだから――。



(――ならせめて俺がお前の暴走を止めてやらないとな)



 覚悟を新たにした悠斗は、自然体のまま愛菜の攻撃を受け入れることにした。



「――これで終わりです!」



 これが最後の攻撃。

 自らの勝利を確信した愛菜は貫手を浴びせにかかる。



「なっ……」



 だがしかし。

 気が付くと、視界がグルリと回転して、空を見上げていた。


 ――全ての格闘技の長所を相乗させることをコンセプトとした《近衛流體術》を習得した悠斗は、《柔道》についても非凡な腕前を誇っていた。

 その中でも悠斗が最も得意としていたのは、足腰にはまったく触れずに、体の捌きだけで、相手を投げ飛ばす《空気投げ》と呼ばれる技である。



「ど、どうして……」



 もちろん悠斗に《変態》した愛菜は《空気投げ》の原理を知っていた。


 けれども。

 だからこそ腑に落ちない。


 何故ならば――。

 柔道において《空気投げ》という技は、自分より格上の相手に決まることがほとんど無いとされている技だからである。



「どうしてって顔をしているな? 教えてやろう」


「お前の武術に存在した欠点を23カ所ほど克服して……上方修正させて貰った」


「他人の技をコピーするのは《心葬流》だけじゃない。近衛流體術の十八番だ」



 悠斗はそこであえて愛菜が口にした《近衛流體術(改)》の名前を出そうとはしなかった。


 何故ならば――。

 近衛流體術にとっては、新しく発見した武術の長所を取り入れて日々進化を重ねるのは当然のことだからである。


 常に改良を重ねることを前提とした武術に(改)の文字は相応しくない。

 わざわざ意味を重複させる必要もないだろう。

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