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補助魔法を使ってみよう



 屋敷に戻った悠斗はさっそく今回取得した魔法を確認してみることにした。



 ハイヒール

(聖属性の中級魔法。対象の自然治癒力を大幅に上昇させる)


 ドライク

(聖属性の中級魔法。対象の防御力を上昇させる)



 どうやら聖魔法がLV6に上がって使用可能になったのは上記の2種類の魔法であるらしい。


 スキルの名前から推測するにハイヒールの魔法はこれまで使用していたヒールの魔法の強化版と考えるのが妥当だろう。


 しかし、気になるのはドライクの魔法である。

 

 魔眼で表示されている通りに防御力アップの効果が得られるのであれば、頼もしいスキルであることには違いないのだが――。

 果たしてそんなに上手く行くものなのだろうか。



(よし。それじゃあまずは……ハイヒールの方から試してみようかな)



 他の生物を使うことでも代用は出来るが、いざという時に備えて自分の体で試しておきたい。

 

 そう考えた悠斗は自らの手刀によって左右の腕に同じような傷を作ることにした。



(ハイヒール)



 心の中で呪文と唱えてみる。


 すると、どうだろう。

 悠斗の掌からは癒しの光が放たれて1秒と経たない内に傷口を塞いでいく。


 同じようにヒールを使って傷口を塞いでみたところ、こちらは4倍以上の時間がかかることになった。



(……なるほど。地味だけど確実に役に立ってくれそうなスキルだな)



 悠斗の取得している近衛流體術には、《破拳》・《鬼拳》と言った肉体的な負担がかかる技が多い。


 ハイヒールによって回復力を高めていけば、リスクの高い技を発動できる機会も増えていくに違いない。



(さて。こっちはどうだろう)



 悠斗が次に使用したのはドライクの魔法である。

 試しに自分の体に光を当ててみたが、これと言って体調に変化は見られない。



(これならどうだ!)



 ここまで来たら考えているよりも実際に体を動かしてみる方が早いだろう。

 そう考えた悠斗は、庭に置かれていた巨大な岩に向かって思い切り拳をぶつけてみることにした。



(……おかしいな。全く効果が得られていないぞ)



 このスキルは欠陥品だったのだろうか?

 今まで通りに岩を粉々に破壊することに成功した悠斗であったが、特に拳の威力が上がった実感を得ることができなかった。



「ん? ユート。そこで何をやっているんだ?」



 頭を悩ませる悠斗の前に現れたのは、ケットシーの少女――リリナ・フォレスティである。

 悠斗と隷属を結んだリリナ・サーニャのケットシー姉妹は、屋敷の警備・家事を任される立場にあった。



「おお! リリナ! 良いところにきた! 魔法の検証作業をやっていたんだ。よければ手伝ってくれないか?」


「……構わないが、やましい魔法ではないだろうな?」



 身の危険を感じたリリナは体を手で隠しながらも悠斗の元から一歩離れる。

 

 過去に『魔法の検証作業』という建前により――。

 リリナは対象の性的感度を上昇させるルードの魔法を嫌というほどかけられたことがあったのである。


 その時、妹のサーニャに醜態を晒してしまったことはリリナの中に今もトラウマとして残っていた。



「安心しろよ。今度のは本当にエロいものじゃないから」



 悠斗は前置きしながらもドライクの魔法をリリナにかけてみる。


 すると、どうだろう。

 リリナの体は眩いばかりに光を放ち始める。



「な、なんだこの感覚は……!? 体の奥底から力が溢れてくるぞ……!」



 リリナは自らの体に宿った新しい力を前にして戸惑いの感情を抱いていた。



「凄い! 凄いぞユート! 体の強度が以前とは段違いだぜ! 掌の中で小石を握りつぶすことが出来たぞ!」


「…………」



 劇的なパワーアップを遂げたリリナは、テンションを上げながらも次々に庭の石を砕いて行った。



(もしかしてこの魔法って……元々の肉体強度が高い人には効果がなかったりするのかな?)



 結論から言うと悠斗の結論は当たっていた。


 ドライクの魔法は対象の肉体を一定水準の強度にまで高める効果があるのだが――。

 常日頃から肉体を鍛えている人間には効果が薄いというデメリットが存在していた。


 その後の検証により――。

 悠斗は屋敷の中にいる女の子たちに次々にドライクの魔法を使用してみたのだが、同様の効果を得ることに成功した。



(1度の使用で2時間ほど効果が持続するみたいだな)



 今回の一件により悠斗は、冒険の安全性を向上させるためにも随時、同行する女の子には随時ドライクを使用していこうと決意するのであった。



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