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変わらない日々、変わっていく日々



「…………朝か」



 とある日の朝。 

 窓の外から入ったうららかな日差しにより1人の少年は目を覚ます。


 少年の名前は近衛悠斗。

 つい先日まで現代日本で暮らしていたごくごく普通の高校生である。



「う~ん。眠いなぁ……」



 このところ悠斗は考え事が多く眠れない日々が続いていた。

 それというのも悠斗は先日、強欲の魔王マモンの根城で、とあるアイテムを手に入れたからである。



 帰還の魔石@レア度 詳細不明

(異世界から召喚された人間を元の世界に戻すアイテム。魔力を込めることで次元の扉が開かれる。このアイテムで元の世界に戻ることができる人間は1人まで)



 このアイテムは悠斗が長らく探していた『元の世界に帰る方法』そのものであった。

 悠斗はそこで何気なくベッドの上で眠るネグリジェ姿の2人の少女に目を向ける。



「むにゃ……むにゃ……。ご主人さま。こんなに小さくなってしまわれて……可愛いです。私が抱っこして差し上げますね」



 右側で寝ているのは少女の名前はスピカ。

 頭から犬耳の生えたライカンという種族のスピカは、悠斗に付き添う仲間の中でも最古参のポジションにあった。



「すぅ……すぅ……。恐れいったぞ……。これほど欲望を吐き出しても衰えないとは……。やはり主君の性欲は馬並みなのだな……」



 左側で寝ている少女の名前はシルフィア。

 スタイル抜群の女騎士であるシルフィアは、故あって悠斗の冒険に協力する立場にあった。



「お前ら……揃いも揃ってどんな夢を見ているんだよ……」



 昨晩は遅くまで魔法の訓練に付き合わせてしまったからだろうか?

 スピカとシルフィアは悠斗が起きたことにも気づかずに無防備に寝言を口にしていた。



(……やっぱり俺が日本に帰るっていうのは考えられないよなぁ)



 家の中にいる女の子たちを残してまで日本に帰る理由が見当たらない。


 元の世界に帰ることより今の生活を優先することは決定事項であったのだが――。

 1つだけ気掛かりな点があった。



(愛菜のやつ……元気でやっているのかなぁ)



 近衛愛菜という妹は、悠斗にとって天敵と呼べる存在であった。

 

 容姿端麗。成績優秀。

 おまけに優れた武術の才能を有しているため、一見して非の打ちどころのない美少女なのだが、その内面は異質の一言に尽きる。


 彼女の存在は、これまで悠斗に多くのトラウマを植え付けてきた。



(まぁ、心配したところで仕方がないか。俺はこっちの世界の住人なんだ)



 悠斗はひとまずそう結論付けると、ベッドに戻って頭の中を切り替えるのであった。




 本日より第五章スタートです。

 この章が1章から続いた『七つの大罪編』クライマックスの予定になっております。



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