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新たなる依頼



 翌朝。

 悠斗が目を覚ますと、そこにいたのはベッドの上で身支度を整えているルナの姿であった。



「ユートさん……。昨日はお世話になりました」



 悠斗に対して背を向けて、下着のホックを留めながらもルナは告げる。

 その後ろ姿は妙に艶めかしいものがあった。



「もしかして怒っている?」


「……はい?」



 悠斗から予想外の質問をされたルナは動揺していた。



「お、怒ってません! どうして私が怒っていると思ったのですか!?」


「…………」



 悠斗としては心当たりがあり過ぎて答え辛い質問であった。



「ユートさんにはむしろ感謝してもし切れないくらいです。たしかにきっかけは強引なところがあったかもしれませんが……昨日の夜は大好きなリリナと初めて一緒に過ごすことが出来て……私の人生の中でもかけがえのない時間になりました」


「意外だったな。てっきりルナは俺のことを嫌っているんじゃないかと思っていたんだけど」



 恨まれこそされても感謝されるとは思わなかった。


 最悪の場合は夜道で刺されるのではないか?

 と考えていた悠斗にとってルナの発言は予想外のものであった。



「……何を言っているんですか。私がリリナの好きな人を嫌いになるわけがないじゃないですか」



 仮にリリナの意思に反して無理やり夜の営みを強要しているのだとしたら――。

 ルナは絶対に悠斗のことを許さないつもりでいた。


 だがしかし。

 リリナが悠斗を愛していると知ったルナは、悠斗に対する評価を一変させていたのである。



「ユートさん。もしユートさんがよければ……これからも3人で一緒の時間を過ごして頂けませんか?」


「ああ。何時でも歓迎するよ」



 悠斗は思う。

 人間の愛の形は人それぞれということなのだろう。


 愛する人が愛する人まで『好き』でいることが出来るルナは、思っていた以上に器の大きい人間なのかもしれない。



 ~~~~~~~~~~~~



 それから。

 昨晩ラッセンの伝言を受けた悠斗は、ギルド局長と面会を済ませるために指定された酒場まで足を運んでいた。



 オスワン・マルチネス 

 種族:ヒューマ

 職業:ギルド職員

 固有能力:なし



「コノエ・ユートくんだね。キミの活躍は伺っているよ」


 ラッセンから伝え聞いていた通り――。

 ギルド局長のオスワンは、何処にでもいそうなごくごく普通のオジサンであった。


 昔はシルバーランクの冒険者としてエクスペインの街にその名前を轟かせていたらしいのだが、全くそんな面影は残っていない。


 頭髪は歳相応に薄く、お腹も歳相応にポッコリとしている。



「さっそくで悪いのだが、今回キミを呼び出したのは他でもない。ユートくんには是非ともシルバーランクの昇格試験を受けて欲しいと思ってだな」


「昇格試験……ですか……?」


「ああ。聞くところによるとキミは高難易度のダンジョンをたったの1人で攻略してしまったそうじゃないか。そのような人材をブロンズランクに留めておくことは、ギルドとしても損失なのだ。

 冒険者ギルドには優秀な人材を確保するための特別な昇進制度がある。キミにはこれを利用して是非ともシルバーランクの冒険者として働いて欲しいのだよ」


「…………」



 オスワンの提案は悠斗にとって魅力的なものがあった。


 シルバーランクに昇格すれば、ブロンズランク以下の依頼の報酬が50パーセント増しになる。


 これまではコツコツとポイントを貯めることでしかギルドランクを上げることが出来なかったのだが、別に抜け道を用意してくれると言うのであれば有難い。



「それで……具体的に俺は一体何をすればいいんですか?」


「話は簡単だよ。まずはキミの実力を見せてもらいたい。シルバーランクの冒険者の狩場になっているミミズクの鉱山というエリアがあるのは知っているかな? 

 その奥に合格証代わりのコインを幾つか隠しておいた。キミにはそのコインを探してきて貰いたい」


「分かりました。コインを探してくればいいんですね」



 話を聞く限りでは、そう難しい試験でもないようである。


 何か問題が起きたら、その時にでも引き返してくれば良いだろう。


 こうして悠斗は、オスワンの勧めによりシルバーランクの昇格試験を受けることを決めるのであった。



 ~~~~~~~~~~~~



 時刻は悠斗がミミズクの鉱山を目指してから少し後のことになる。



「キヒヒヒ。人間にしては首尾よく事を運んだじゃねーか」



 今現在。

 冒険者ギルドの局長室には1匹の魔族が不敵な笑い声を漏らしていた。


 魔族の名前はアマルダと言った。

 伸びきった前髪と鼻に付けられたピアスが特徴的な男である。



「……ああ。約束は守った。コノエ・ユートくんは当初の予定通りにミミズクの鉱山に向かったはずだよ」


「どうやらそうみてーだな。ついさっきオレの仲間から連絡が入った」


「だからお願いだ……どうか娘だけは! 娘の命だけは助けてやってくれ!?」



 オスワンは悲痛な面持ちを浮かべながらもアマルダに懇願する。



「なぁに。心配いらねーさ。俺っちは約束を守る男よ。コノエ・ユートをぶっ殺すことが出来たらお前さんの娘は必ず解放してやるって」



 アマルダは気の無い返事を適当に返すと、心の中で黒い笑みを浮かべる。



(……チッ。うぜぇ野郎だぜ。お前の家族なら今頃、俺っちの仲間の腹の中だろうに)



 悠斗が史上最悪のネームドモンスター《不死王タナトス》を討伐してから、既に一週間近い時間が経過している。


 かつてトライワイドの支配者として君臨していた《不死王タナトス》を打ち倒した悠斗は、魔族たちの中でも次第に存在感を増していた。


 アマルダはこの状況を自分の名を上げる最大のチャンスと捉えていた。



(キヒヒ! 人間1人をぶっ殺せば2000万リアと武勲が手に入るんだ。こんなに美味しいことはねーぜ!)



 人間を相手に自分が不覚を取ることはあり得ないが、準備をするに越したことはない。


 アマルダは勝利を絶対のものにするためにギルド局長の娘を人質に取り、悠斗のことを《ミミズクの街道》に誘いこんだのである。



(これでマモン様も……俺っちのことを認めてくれるに違いない!)



 強欲の魔王マモンの元に仕えるアマルダは、不敵な笑みを零すのであった。


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― 新着の感想 ―
(自分の都合で)汚職マミれのギルド職員より、身内の為に冒険者を切り捨てるギルド職員の方が救えない気がするのは、何故だろう?
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