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隷属契約を使用しよう



「それで今更こんなことを聞くのはアレなのだけど……スピカを奴隷にするのに必要な手続きみたいなのってあるのかな?」


「はい。奴隷としての契約を結ぶには奴隷商館に行く必要があります。そこで《隷属契約》という固有能力を持った方に仲介して貰えば契約が結ばれます。もっとも……仲介して貰うにはそれなりに手数料がかかってしまうのですが……」


「隷属契約……か」


 そこで悠斗は自らのステータス画面を改めて確認する。



 隷属契約@レア度 ☆☆☆

(手の甲に血液を垂らすことで対象を『奴隷』にする能力。奴隷になった者は、主人の命令に逆らうことが出来なくなる。契約を結んだ者同士は、互いの位置を把握することが可能になる)



(……やはり持っていたか)


 以前に倒したオークたちの中に固有能力を持っている者がいたのだろう。

 図らずとも悠斗は、スピカを奴隷にするためのスキルを既に所持している状態であったのだった。

 

「スピカ。試したいことがあるから手の甲を出してくれ」


「? はい。分かりました」


 スピカは不思議そうな顔をしながらも手を差し出す。

 悠斗は親指の先を噛み切ると、スピカの手の甲に自らの血液を滲ませるようにそれを押し付ける。



「こ、これは……!?」



 直後。

 スピカの手の甲は眩い光に包まれて、やがてそこには幾何学的な模様の《呪印》が浮かび上がる。


「す、凄いです! ユウトさん……いいえ。これからはご主人さまと呼ばせて頂きます! ご主人さまはスキルホルダーでいらっしゃったのですね!」


「そんなに凄いことなのか。これって」


 尋ねるとスピカは興奮気味に語り始める。


「はい。それはもう凄いなんてレベルではありませんよ! この世界では固有能力というのは何にも代えがたい成功者の証と言われています! 

 たとえそれがどんな能力であれ、固有能力を持って生まれた人間は、それだけで一生食べて行くことには困らないと言われているくらいです! 所謂、勝ち組です!」


「……ふーん。そうなのか」


 たった1個の能力を見せただけで此処まで驚かれるとは思わなかった。

 現時点で3個。


 今後も更に固有能力が増えていく可能性がある悠斗は、勝ち組を超越した存在ということなのだろうか。


「これでスピカは俺の命令に逆らうことが出来なくなる訳か」


「ええ。無理に命令に逆らおうとすれば、呪印から全身に痛みが走り最悪の場合は死に至ります」


「……物騒な話だな」


 そんな厳しい制約があるにも関わらず自ら進んで奴隷になりたいと言い始めることからも、スピカの覚悟が相当なものであることが推し量れた。


「隷属契約を結ぶと、互いの位置を把握することも出来るらしいが……これはどうやるんだ?」


「……ええと。私も噂でしか聞いたことがないのですが、相手の姿を頭に思い浮かべるだけで出来るようになるそうです」


「なるほど。試してみるか」


 悠斗はそこでスピカの姿を頭の中で思い浮かべる。

 目の前に本人がいることもあってイメージすることは容易であった。


 瞬間。

 悠斗の手の先からは赤い線が浮かび上がる。

 どうやらその線はスピカの手の甲にある《呪印》と繋がっているようであった。


「確認した。これで何時でもスピカの位置を把握できるわけだな」


「はい。私も確認できました」


 携帯電話などの文明の利器が普及していない異世界においては、互いの位置を把握できるというメリットは凄まじいものがあるだろう。

 これならば仮にスピカと冒険中に離れてしまっても、直ぐにでも再会が果たせそうである。


「それじゃあ。スピカ。今度は命令の方が正常に出来るか確認してみたいんだが、大丈夫か?」


「はい。ご主人さまの命令であれば二十四時間どんなものでも受け付けます!」


「…………」


 スピカの言葉に悠斗はどうしようもなく嗜虐心をそそられてしまう。


 武術の嗜みがあるとは言っても悠斗は、年頃の男子高校生である。

 目の前の美少女が『何でも命令して下さい!』と言うのなら悪戯心の1つでも起こすのは無理のない話であった。



「そうか。なら【スカートをたくし上げて。パンツを見せてくれ】」



「……はい?」



 間の抜けた声を上げるスピカ。

 直後。

 スピカの両手は悠斗の命令通りスカートをたくし上げていた。


 スカートの中から見えたのは、中央にリボンをあしらった可愛らしい桃色の下着である。

 どうやらこの世界の女性用下着は、現代の日本とさほど変わらないデザインをしているらしい。



 どうして異世界に女性用下着が?



 と、一瞬だけ疑問に思った悠斗であったが、異世界召喚というイレギュラーがある以上、文化の水準に偏りが生じるのは不自然な話ではない。


(……きっと過去に名のあるパンツ職人が、異世界から召喚されてこの世界に女性用下着を浸透させてくれたのだろう)


 悠斗は脳内でそんな、勝手な設定を補完する。


「偉いぞ。スピカ。俺の言いつけ通り、キチンと身だしなみを整えてくれたみたいだな」


「だって……その……ご主人さまの頼みでしたから」


「でもまさか下着まで新しいものを買っていたなんて思わなかったぞ。スピカはいやらしい女だな」


「うぅぅ。ご、ご主人さま。いきなりこんな……エッチな命令をするなんて酷いです!」


 口ではそう言うものの、喜びの感情と連動しているらしいスピカの犬耳がピコピコと動いている。

 何やら満更でもない様子であった。


 自ら奴隷にしてくれと言ったことから「もしかすると?」と思っていたのだが、どうやらスピカにはマゾ気質な部分があるらしい。

 これからは折を見つけて言葉攻めプレイをしていくことにしよう。


「よし。【もういいぞ。】よくやったスピカ。偉いぞ」


 キチンと命令を聞いたご褒美にスピカの頭を撫でてやる。



「……はう」



 悠斗に頭を撫でられている最中、スピカはずっと恍惚とした表情であった。

 どうやらスピカは頭を撫でられるのが好きなようだ。

 この辺りは犬の習性を引き継いでいるということなのだろうか。


「これから一緒に生活するにあたり俺が出す命令は2つ。【俺を裏切るな】、【俺の能力に関する情報を他人に口外するな】。……以上だ」


「承知致しました。これからは誠心誠意、ご主人さまのために身を粉にして働かせて頂きます」


 悠斗は思う。

 たったの5万リアでこんなに健気で可愛らしい奴隷を手に入れることが出来たと考えれば、結果的に自分の判断は正しかったのだろう。

 色々な意味で今夜が楽しみである。







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― 新着の感想 ―
いきなり奴隷として仲間を入れようという発想、唐突な感じがしました。
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