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伝言



「ご主人さま。お茶が入りました」


「ありがとな。スピカ」


 それから。

 悠斗はラッセンの縄を解いて服を返すと、改めて彼女を家の中に招き入れることにした。



「あれ? そう言えばルナのやつは、何処にいったんだ?」


「えーっと。ルナさんでしたらリリナさんに用があるので遅れてくると言っていました」


「なるほど。まぁ、積もる話もありそうだしな」



 今現在。

 悠斗とラッセンは、屋敷の中でも最大の広さを誇る客室の中にいた。


 屋敷の中には大きなシャンデリアとテーブルが用意された豪華な客室があったが、実際に使用するのは初めてのことである。



「ところでユートくん。キミの家は一体なんなのだ……? 魔物がいるわ、見かけない植物が植えられているわ、温泉が出ているわ。全く意味が分からないぞ!」               



 悠斗はそこで暫くラッセンから理不尽な説教を受けることになった。


 もちろん正直に全てを話すわけにはいかないので適当に誤魔化しておく。


 異世界から召喚された際に倒した相手のスキルを奪い取る《能力略奪》を手に入れたということは、スピカ・シルフィアにも教えていない秘密であった。



「ところでラッセンさん。何か俺に用事があったんですか?」


「失礼。そうであった! アタシはキミ宛ての手紙を預かっていたのだった」



 悠斗はそこでラッセンから1通の手紙を預かることになった。



「何でもウチのギルドの局長がキミに会って話したいことがあるそうだ」


「局長……ですか」


「まあ、そう身構えることはない。普通に気の良い方だからキミも直ぐに打ち解けることが出来るさ」


「…………」



 今回の話は、悠斗にとって素直に喜べないものがあった。


 偉い人に目をかけてもらえたと言うと聞こえは良いのだが――。

 現代日本から召喚された立場のことを考えると、出来るだけ目立った行動を取りたくないと考えていたからである。

 

 けれども。

 明日からは真面目に働くと決めた手前、ギルド局長のことを無視するというわけにはいかないだろう。



 ~~~~~~~~~~~~



 それから。 

 小一時間ほど客室で談笑していると、ラッセンはおもむろに席を立つ。



「話が長くなってしまったな。それではアタシはこの辺で失礼するよ」


「えーっと。今日はもう遅いし泊まっていったらどうですか? 部屋なら沢山空いていますよ」


「まさか。後輩であるキミにそこまで甘えるわけにはいかないよ」


「ならせめて……送っていきますよ」


「必要ない。キミを信頼しないわけではないのだが……駆け出しの冒険者だった頃に色々と苦い経験をしていてね」


「苦い経験……ですか」


「ああ。遠征が終わってアタシが家に帰ろうとしたところ……一緒にいた男たちが送り狼に豹変したことがあったのだよ。それ以来、家に帰る時は絶対に1人でいるように心掛けているのさ」


「そうだったのですか。それは災難でしたね……」


「ま。その男たちは二度と悪さを出来ないようにコテンパンにしてやったのだけどね。信用していた仲間だっただけにショックは大きかったのさ」



 ラッセンはそれだけ言い残すと、荷物をまとめて屋敷を後にする。


 悠斗は推測する。

 女身一つで冒険者になることは、男の視点からは想像できないような苦労が絶えないのだろう。



(この人の男嫌いは……色々と根が深そうだなぁ)



 ラッセンのショートパンツからはみ出した尻肉を眺めながらも、悠斗はそんなことを思うのであった。




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