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VS タナトス1



 それから。

 無事に岩壁を登り切ることに成功した悠斗たちはついに洞穴の最深部にまで到達していた。


「ご主人さま。この通路の奥からルナさんの匂いがします」


 スピカに言われるがままに探索すると、不意に開けた空間に辿り着くことになった。


 周囲には何かの儀式に使われていたと思しき祭壇が置かれている。



「ルナ!」



 奥に歩みを進めると、十字架に吊るされたルナの姿がそこにあった。



「……ユートさん……早く……逃げて下さい……」



 声をかけると、ルナは悲痛な面持ちで返事をする。

 遠目に見てもルナの体は衰弱していることが分かった。



「や、奴が来る前に……手遅れになっても知りませんよ……」



 自身の持っている残り少ない力を振り絞って警告をするルナであったが――。

 悠斗の背後にいる『それ』の姿を確認するなり絶望の表情を浮かべる。




「クククク。フハハハハハハハ!」




 突如として不気味な笑声が洞穴の中に木霊する。



 タナトス

 種族:スケルトン

 職業:なし

 固有能力:魂創造 影縫



 魂創造 レア度@☆☆☆☆☆☆☆☆☆

(器に魂を込めるスキル)


 影縫@レア度 ☆☆☆☆☆☆

(影の中限定で高速移動を可能にする力)



 声のする方に目をやると、巨大な鎌を手に持った骸骨のモンスターがそこにいた。



(レア度……ランク9だと!?)



 悠斗は驚愕する。

 所持している固有能力こそ多くないが、レア度を示す9という数字は初めてたものであった。



 警鐘@レア度 ☆☆☆☆☆

(命の危機が迫った時にスキルホルダーにのみ聞こえる音を鳴らすスキル。危険度に応じて音のボリュームは上昇する)


 

 悠斗の頭の中に鳴り響く《警鐘》のボリューム音は過去最大レベルのものである。


 だがしかし。

 そのモンスターが強大な力を秘めていることは、警鐘のスキルなど使わなくても分かることであった。



「そこにいる小娘を生かしておいたのは正解だったわい。これはとんだ大物が釣れたらしい」



 悠斗の姿を目の当たりにしたタナトスは上機嫌な笑みを浮かべる。



「殺してグールに変えるのはちと惜しいな。百年に1人……いいや、千年に1人の素体ではないか!」



 タナトスの保有する固有能力《魂創造》は、人間の死体からグールを作成するスキルである。


 グールたちに人攫いをさせていたのは、新しいグールを作るための材料を欲していたからであった。



「お前は……何者だ……?」



「ククク。我が名は不死王タナトス! 深淵の闇より生まれ出し……ゴバァッァッッッ!」



 先手必勝。

 悠斗の放った《破拳》がタナトスの顔面に直撃する。


 タナトスの口内からは折れた歯が飛び散った。



「お前が何者かなんてどうでもいい! 俺は……俺が気に入った美少女を傷をつける奴は絶対に許さねえ!」



 目が覚めるような渾身の一撃。

 破拳を受けたタナトスはバキリという鈍い音を体内に響かせながらも10メートルほど体を吹き飛ばす。


 直後。

 ズゴゴゴゴ! という轟音を上げながらも岩壁に激突をしてめり込んで行った。



「グッ……グフゥッ……」



 だがしかし。

 驚くべきことにタナトスは、悠斗の全力の一撃を受けても立ち上がってみせた。




「こ、このガキッ! 殺す! 絶対に殺してやるっ!」




 激昂したタナトスは手にした巨大鎌を振りかざし臨戦態勢に入る。

 タナトスが纏ってた魔力量は、悠斗の想像を絶するものであった。



「シルフィア。スピカを連れて何処か安全なところに隠れていてくれ」



 二人には神樹から採取した《透明の実》と《消臭の実》を持たせている。

 安全な場所に避難することが出来ればグールたちから襲われることもないだろう。



「……承知した」



 悠斗の指示を受けたシルフィアは、スピカの手を引いて疾駆した。


 シルフィアは思う。


 悔しいが、今回の戦いでは役に立てることがないだろう。

 敵の戦闘能力が既に自分の手に負える範疇を超えていることは、火を見るより明らかであった。



「ぐふふ……。小僧。ワシに一撃を食らわせたのは高く付くぞ……」



 久しく『狩りがいのある相手』に出会ったタナトスは、巨大鎌を構えながらも不敵な笑みを零すのであった。




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