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不死王の凱旋



 一方その頃。

 此処はローナス平原の最北部に位置するとある洞穴の中である。


 ネコミミの忍者娘――ルナ・ホーネックは、炎の魔法で周囲の暗がりを照らしながらも洞穴の奥に歩みを進めていた。


 道中、噂になっていた強化型のグールに遭遇したが、《隠密》のスキルを持っているルナにとっては敵ではなかった。


 こちらから攻撃するまでは相手に気付かれることがない。


 自身の気配・体臭・魔力の流れを完全にシャットアウトすることが可能な《隠密》のスキルは、視力に頼った戦い方をできないモンスター相手には無敵の性能を誇っている。


 恵まれた固有能力と身体能力を有していたルナは、エクスペインの冒険者の中でも歴代最速で、シルバーランクに昇格した経歴を有していた。



(……最初から私1人でやれば良かったのです。あんな変態から力を借りようとしていた私がどうかしていました)



 ルナの脳裏に焼き付いて離れないのは、昨夜のオリヴィア乱れた姿である。


 幼少期を外界から隔絶されたケットシーの村で育ち、冒険者となってからは仕事一筋の生活を送っていたルナの人生は色事とは完全に無縁のものであった。


 昨夜のことを思い出すだけで顔が熱くなり、不思議と股の辺りがムズムズとする。



(ッ。どうして昨日のことなんか……っ)



 こうなってくるとエクスペインで働いているリリナのことが心配だった。


 しっかり者のリリナのことである。

 軽薄な男の毒牙にかかり両手でピースサインを作るような事態は、100パーセント起こり得ないはずであるが――。


 用心することに越したことはない。


 一刻も早く仕事を片付けて、リリナのことを助けに行かなければとルナは奮起する。




(それにしてもこの洞穴……やけに広いみたいですね)




 洞穴の奥に進むほど出現するグールの数は増加していた。


 ルナは思う。

 生まれながらにして《隠密》のスキルを持ってる自分だからこそ助かってはいるが、普通の冒険者が入ったら一瞬で彼らの餌となっていたに違いない。


 更に歩みを進めていくと――。

 ルナは不意に開けた空間に行きつくことになった。


 その空間はまるで何かを祭っていた跡のように祭壇が置かれていた。




「ほう……。まさか此処に辿り着く人間がいるとはな……」




 洞窟の中に不気味な声が響く。

 声のした方に目をやると、巨大な骸骨のモンスターがそこにいた。



「なっ」



 明らかに普通のモンスターとはレベルが違う。

 目の前の化物が名のあるネームドモンスターであることは直ぐに分かった。




「我が名は――タナトス。深淵の闇より生まれし支配者よ」




 冒険者を目指すものなれば誰しも一度はその名を聞いたことがあるだろう。

 不死王タナトスが猛威を振るったのは今から500年以上も昔のことである。



「タ、タナトスだとッ!?」



 人間をアンデッドに変える固有能力を有したタナトスというモンスターは、史上最悪のネームドモンスターとして長年語り継がれてきた。


「嘘です! 不死王タナトスは500年も昔にレジェンドブラッドに封印されたはずです! 騙されるものですか!」


「ククク。ハハハハハハ!」


 ルナの発言を受けたタナトスは、口の骨をカタカタと響かせながらも高笑いをする。



「……貴様こそ可笑しなことを言う。この祭壇がワシを封印していた場所だと何故気が付かない?」



 タナトスの発言を受けたルナは、視線を移して周囲の状況を窺った。


 おそらく冒険者が金目になるものを探していたのだろう。

 魔力の込められた札は剥がされ、祭壇の何個かはひっくり返されて倒されていた。



(500年という歳月を経て……結界が機能しなくなったのですか……)



 タナトスほどのモンスターを封印した洞穴となれば、何人たりとも中に入れることは許されない。


 おそらく当時は、集められる最強の魔術師たちの手によって結界を張ったはずなのだが――。


 月日が経って結界が弱まったところに冒険者が入り、封印を解いてしまったのだろう。




(この魔物は無理……。私では絶対に倒せない!)




 絶望的なまでの力さの差を悟ったルナは、戦闘を放棄して一目散に駆け出した。


 刹那。

 ルナの足首に激痛が走った。



「カハッ……」



 タナトスの鎌により足首を斬られたルナは、勢いよく地面に転がった。

 


「――まあ、そう急くな。久しぶりに骨のある相手と出会えたのだ。人間よ。立ち上がり、剣を握り、ワシのことを楽しませてみせよ」



 どうしてこんなことになってしまったのだろう。

 絶体絶命の窮地に陥ったルナの眼には、自然と涙が溜まっていた。






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