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有名人の苦悩

 


 翌朝。

 悠斗はリリナから頼まれた、温泉作りの材料の買い出しを行うことにした。



 魔法のバッグ(改) レア度@☆☆☆☆☆☆

(アイテムを自由に出し入れできる便利な高性能のバッグ。制限容量は4000キロまで)



 総重量4000キロまでのアイテムを入れることが出来る魔法のバック(改)があれば、買い出しも思うがままである。


 午前中に必要な石材・木材の調達を済ませた悠斗は、実に3日振りになる冒険者ギルドを訪れていた。


「こんにちは。ユウトさまのQRは13に昇格しています。こちらが前回のクエストによって更新されたカードです」


「どうも。ありがとうございます」



 近衛悠斗

 QR13

 QP(60/80)

 クラス ブロンズ



 前回QPを受け取ったクエストでは、ホワイトバードとワイルドベアーの乱獲に成功したはずなのだが――。

 

 意外なことにQRは1レベルしか上昇していなかった。


 新規に追加されたクエストもないのでQRを上げるためには、暫くローナス平原に通ってホワイトバード&ワイルドベアーを討伐し続けなければならないらしい。



(……どうするんだよ。流石に家の中に肉はもう入り切らないぞ)



 ブロンズランクに昇格してからというもの、QRの上昇スピードが目に見えて落ちているような気がする。


 何か手っ取り早くQRを上げる方法ないものだろうか?


 そんなことを考えながらも悠斗は、冒険者ギルドを後にするのであった。



 ~~~~~~~~~~~~



「ご主人さま。本日は何処に行くのでしょうか?」


「ああ。今日もローナス平原だな。この分だと暫くはローナス平原に通うことになりそうだ」


「ふむ。また鳥と熊を退治するのだな。異存はない」


 ギルドの前で待機していたスピカ&シルフィアと合流した悠斗は、何時ものように街の外に向かって歩く。


 それから2分後。

 悠斗の前に1人の女性が現れた。



「すいません。……コノエ・ユートさんで間違いないですか?」



 歳の頃は20代前半くらいだろうか。


 その女性は男受けしそうな清楚でいて露出度の高い服を着ていた。

 胸が大きくスレンダーな体つきをしている相当な美人である。


「はい。俺がそうですけど」


「実はわたくし……貴方の大ファンなんです! よろしければ一緒にこれから御食事など如何でしょうか?」


「……はい?」


「すいません。驚かせてしまいましたよね。私はこの街の宿屋で女中として働いている者なのですが……ユートさんのご活躍の噂は聞いていました。率直に言って……貴方と仲良くなりたいのです」


「いや。えーっと。突然そんなことを言われても……」


「まあまあ。募る話は店に入ってからにしましょうよ。実はわたくし……美味しいお酒を出す店を知っているのです。御馳走しますわ」


 その女性は自身の胸を腕に押し付けながらも腕組みをする。


 ハッキリ言って状況は全く分からない。


 けれども。

 美人の胸の感触を味わうことが出来るので悪い気はしなかった。

 


「待って下さい」



 悠斗が鼻の下を伸ばしていると、突如として女性の声が聞こえた。

 声のした方に目をやると、そこにいたのは見覚えのない女性であった。


 1人目の女性ほどではないが、こちらもなかなかの美人である。


「ユートさま。騙されてはいけませんわ! その女はユートさまの財産目当てで近づいてきた卑しい女です」


「えーっと。貴方は……?」


「申し遅れました。私はこの街に古くから続く由緒正しい貴族の子女にございます。この度はユートさんとお近づきになりたくて屋敷から飛び出して参りました」


 2人目の女性は高級感の溢れる上品な服を着ていた。

 1人目の女性ほど美人ではないが、顔立ちには何処か気品があった。


「ユートさん。騙されてはいけません! 何が貴族よ。貴方は妾との間に生まれた味噌っかすじゃない! 調子の良いことを言っているんじゃないわよ!」


「はぁ? 貴方こそ! 何が宿屋の女中よ! やっていることはエロい格好をしてオッサン共の相手をするコンパニオンじゃない!」


「…………」


 そこまで聞いたところで悠斗は、自分の置かれた状況を朧気ながらも理解する。


 要するに彼女たちは、自分が受け取ったクエスト報酬である2000万リアを目当てに近づいてきたのだろう。


 今更言うまでもなくトライワイドにおける2000万リアは大金である。


 彼女たちは女の武器を利用して、そのお零れを貰いに来たのだろう。



「すいません。俺には既に心に決めた女性が2人もいるのので」



 悠斗はそう言い残すと、スピカ&シルフィアの元に戻ることにした。



「ま、待って下さい!」


「話だけでも! 話だけでも聞いて下さいまし!」



 悠斗は振り返らなかった。


 美人2人を袖にするのは勿体のない気がしたが、お金目当てで近づかれるのは良い気分はしない。



「ご主人さま……。良かったのですか……?」



 喜びと不安が入り混じった眼差しでスピカは尋ねる。


「当たり前だろ。俺にはお前たちがいる。それだけで十分だ」


 キリッとした凛々しい顔つきで悠斗は答える。



「ご主人さま……!?」


「主君……!?」



 スピカ&シルフィアは、感動のあまり目を潤ませていた。


 何故ならば――。

 これまで二人は、悠斗の女癖の悪さに散々悩まされてきたのである。


 主人に仕える奴隷としてこれ以上に光栄な言葉はない。


 悠斗から大切に思われていることを実感したスピカ&シルフィアは、思わず天にも昇りそうな喜びに浸っていた。

 


「コノエ・ユートさんですね?」



 二人の女性の誘惑を振り切った、その直後。

 悠斗の前に3人目の女性が現れる。



(な、なんだ……。この絶世の美少女は……!?)



 その少女は前の2人など比較対象にならないほど可憐な容姿をしていた。


 少し目つきがキツいところが気になるが、その凛とした美しい顔立ちはスピカ・シルフィアに負けずとも劣らないものがある。


 どういうわけかその少女は、体のラインがハッキリと分かる日本の『忍者』のような衣装を身に纏っていた。


 その風貌を一言で表現するならば、『ネコミミ忍者娘』という言葉が相応しい。


「失礼します。貴方に頼みたいことがあるんですが」


「分かりました。俺に出来ることがあれば何でも言ってください」


 悠斗はキリッとした凛々しい顔つきで即答した。


「本当ですか!? ありがとうございます! では……募る話もありますので何処か店の中に入りましょうか」



「「…………」」



 先程までの感動の言葉は何だったのか。

 スピカ&シルフィアは、初対面の美少女にホイホイと付いていく主人に対して、白い目線を送るのであった。




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