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温泉発掘!?



「大変なのです! お兄ちゃん!」


 夕方。

 日課である魔法の訓練をこなしている、悠斗の元にサーニャが現れる。


「ん。サーニャか。どうしたよ。急に」


「とにかく来て欲しいのです!」


 悠斗はサーニャに手を引かれるがまま、庭の中を歩く。

 エクスペインでも1位、2位を争う敷地面積を誇る屋敷の庭は、端から端を歩くだけでも一苦労である。



「な、なんだこれは!?」



 目的の場所につくなり悠斗は絶句した。


 悠斗の視界に入ったのは、クジラが潮を吹くようにして地面から湧き出した大量の水である。



「「「ホネー! ホネー!」」」



 スケルトン 脅威LV8 状態 (テイミング)



 水の周りには悠斗と同じように動揺しているスケルトンたちの姿があった。


 その気になれば不眠不休で働くことが可能なスケルトンたちは、屋敷の警備・雑務を一手に引き受ける心強い存在である。



(ゴミを埋めるために掘った穴から湧き出したのか……)



 周囲の状況から悠斗は推測をする。

 屋敷で出たゴミの処理は、庭に掘った穴に埋めるという方法が採用されていた。


 スケルトンたちが掘った穴の中が偶然、水脈に繋がっていたとしたら今回の状況にも納得が出来るものがある。


「……主君。これは只の水ではないぞ。私も俄かに信じがたいが……どうやら温泉が湧いているみたいだ」


 騒ぎを聞き付けたシルフィアは、悠斗より一足早く現場に駆けつけていた。


「…………」


 シルフィアの指摘を受けた悠斗は、おそるおそる湧き出した水に手を伸ばす。


 結構、熱い。

 おそらく温度は50度くらいだろうか。


 このまま入るには少し熱過ぎる気もするが、時間が経てば丁度良い温度になるのかもしれない。



「温泉か……。自宅で温泉が満喫出来たらなぁ……」



 口で言うのは簡単だが、実現するには骨が折れそうであった。

 泥と混ざって茶色く濁っている温泉をどうやったら綺麗に出来るか全く想像ができない。



「ふふ。ユート。困っているようだな」



 あまりに唐突な展開に悠斗が途方に暮れていると、何処からともなくリリナが現れる。


「家で温泉に入れるようにしたいならオレが力を貸すぜ」


「出来るのか!?」


「言っただろ? 家事のことなら何でもオレに任せておけって。流石に温泉を引くの初めてだが、村の大工さんの付き添いで家を建てた経験はあるからな。浴室を作るのはオレが最も得意とする家事の1つだぜ!」


「…………」


 フォレスティ姉妹が暮していたケットシーの村は、都会と違って仕事の分業制が全く進んでいない環境にあった。


 出来ることは全て村の中で賄わなければならなかったのである。


 村でも1番器用だったリリナは、様々な仕事の手伝いをこなすうちに専門家顔負けのスキルを身に付けていたのであった。



(こんな専門的な作業を果たして家事に分類して良いものだろうか……?)



 リリナと一緒に生活するようになってからというもの彼女のスキルには、驚かされてばかりである。


「ちなみにどれくらいの時間があれば作ることが出来るんだ?」


「そうだなぁ。単純な作業をスケルトンたちに手伝ってもらったとして……ザッと1カ月ってところかな。それだけあれば立派な露店風呂を作ることが出来ると思う」


「よし! これよりリリナを温泉隊長に任命する! 温泉の管理はリリナに任せることにしよう」



「本当か!? そう言ってくれるとやりがいがあるってもんだぜ!」



 こうして悠斗は自宅に温泉を作る計画をスタートさせる。

 新しい仕事を任されたリリナは、喜びで頭の上の猫耳をピコピコと動かすのであった。



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異世界支配のスキルテイカー 

https://manga.line.me/book/viewer?id=B00165415107#/page=1

― 新着の感想 ―
[一言] 50℃のお湯は熱いと感じる温度なんでしょうな。 私が大学受験の時に従兄弟の家に泊まらせてもらった時(もう数十年前のことですが)に熱すぎて足をつけれなかったのを思い出しました、更に幼い頃に入っ…
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