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戦いの後に



「ラヴ。アタシたちの傷を治しなさい」


「…………」


 ベルゼバブの言葉に反応した魔神ラヴは、悠斗たちのいる方向に手を翳すと淡い光の魔法を発した。


 その魔法の正体が治療系の魔法であることは直ぐに分かった。

 しかし、驚くべきはその効果である。


 ラヴの出した回復魔法は、最低でも丸1日は使い物にならなくなると踏んでいた悠斗の右腕とベルゼバブの凍傷を1秒と経たない間に全快させた。


「これは……キミの能力なのか?」


「はい。さっきの魔術師の人が張った結界で今の今まで使うことが出来なかったのですが……ギリギリ間に合ったみたいで良かったです。

 たぶんですけど、さっきのゴーレムが暴れた衝撃で結界が上手い感じに壊れくれたみたいです」


「…………」


 悠斗は目の前の少女の能力を測りかねていた。


 魔眼により効果が見透かせないところから察するに――。

 彼女の能力もまた《能力略奪》と同じようにレアリティ《詳細不明》のスキルなのだろう。


 1つだけ言えることは、先程の爆発から身を守ったシールドといい、一瞬で怪我を完治させた魔法といい――。

 この固有能力は凄まじく汎用性の高いものであるようだった。


「ところで怪我も治ったみたいだし、そろそろ降りてくれないか?」


 先程の戦いでスピードを出して走り過ぎたことにより、ベルゼバブの身に付けていた学生服はビリビリに破けて、ライトグリーンの下着を露わにした状態になっていた。


 戦闘中は気にならなかったが、下着姿の美少女に密着されて冷静でいられるほど悠斗の理性は強くなかった。



「えー。嫌ですよー。もしかしてユート様はアタシのことが嫌いなんですか?」


「……いや。そういう訳ではないんだけど」


「なら良いじゃないですかー。戦いも終わったことですし、このままアタシと気持ち良いことしましょうよー」



 ベルゼバブは艶っぽい声でそう述べると、悠斗の首に手を回し、器用にクルリと1回転して見せる。


 何時の間にやら悠斗は、ベルゼバブのことをお姫様抱っこするような体勢を取らされていた。


 正面から見るとベルゼバブのプロポーションがよく分かる。

 体型は全体的にスレンダーな感じで、その肌は見ているだけで吸い込まれそうになるほどきめ細かい。


 取り立てて胸が大きいというわけではないのだが、言葉では説明し難い妖艶な色気が彼女にはあった。



「ご主人さま! ご無事ですか!?」


「すまない! 主君には待機を命じられていたが、居てもたってもいられなくなってしまったのだ!」



 悠斗がベルゼバブの体をマジマジと見つめていると、部屋の外側から懐かしい声が聞こえてきた。


 これはマズイ。

 自ら置かれた危機的な状況を察した悠斗は、ベルゼバブのことを抱えたまま物陰に隠れようとしたのだが――。


 クリスタルゴーレムの爆発が起こった部屋の中には、隠れられそうな場所など何処にも見当たらなかった。



「……ご主人さま。暫く戻らないと思っていましたら……こんなところで一体何をしていたのですか?」


「……恐れ入ったぞ。主君の性欲は、発情期の兎以上なのだな」



 スピカとシルフィアの眼差しは感情の色が抜けたかのように虚ろなものであった。



(このままでは俺の主人としての威厳が損なわれてしまう!?)



 最初からそんなものはなかったのでは?

 という疑問に駆られないわけではないのだが、悠斗は必死にその場を取り繕う言い訳を考え始める。


 ベルゼバブは慌てふためく悠斗の様子を目の当たりにしてクスリと笑う。


 そしてお姫様抱っこの姿勢から、自らの両脚で悠斗の体を挟み密着度を向上させる。

 それは、俗に言う『だいしゅきホールド』の体勢であった。



「ユートさま。大好きです❤ アタシからの感謝の気持ちを受け取って下さい」



 ベルゼバブは大胆な告白の言葉を口にすると、悠斗の頬に自らの唇を触れさせる。


「……な、なななな」


「どうです? ユートさまが望まれるのであれば、もっと気持ちの良いこともしてあげられますけど?」


 ショックで愕然とするスピカたちを挑発するかのような口調でベルゼバブは提案する。


「は、破廉恥な! 場を弁えよ! ベルゼバブ殿!」


「そうですよ! 大体、貴方はご主人さまの何なんですか!?」


「アタシですか? アタシはユートさまの恋人ですけど?」


「嘘です! ご主人さまに恋人など出来るはずがありません!」


「スピカ殿の言う通りだ! ハーレム願望が強すぎる主君に特定の恋人など作れるはずがない!」


「お前ら……さりげなく凄まじく失礼なことを言っていないか?」


 もう少し言葉を選んでくれても良かっただろうに。



「……やれやれ。爆発の音に驚いて来てみれば……とんだ茶番に付き合わされてしまったみたいだな」



 遅れてやってきたラッセンは悠斗たちの痴話喧嘩を目の当たりにして、ゆっくりと溜息を吐く。


 こうして突如としてローナス平原に出現したダンジョン騒動は、人知れずに幕を下ろすのであった。




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