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VS レジェンドブラッド3



(……大した威力だが、見切れないスピードではない)


 ミカエルの放った氷の礫を目の当たりにした悠斗は、そんな感想を抱いていた。


 悠斗は冷静にロングソードを取り出すと、ミカエルの魔法を打ち破るべく、氷の礫の弾道を見定めていた。


 全ての格闘技の長所を相乗させることをコンセプトとした《近衛流體術》を習得した悠斗は、《ビリヤード》についても天才的な腕前を誇っていた。



(……そこだっ!)



 悠斗はビリヤードで培った技術を駆使して、迫り来る礫をロングソードで弾き返す。


 息を吐く間もないほどの連撃は、氷の礫に次々と命中して行く。



「無駄だ! その程度の攻撃で俺の氷が防げるものか!」



 自身の勝利を確信するミカエルであったが、そこで異変に気付く。



「こいつ……っ。弾いた氷を利用して……!?」



 ただ闇雲に氷を弾くだけではない。


 ビリヤードを極めた悠斗の斬撃は、打ち返した氷で、次の氷を弾くよう精密な弾道計算がされたものであった。


 全ての氷を防いだ悠斗は、武術で培った驚異的な脚力で以てミカエルとの間合いを一瞬で詰める。



「これで終わりだ!」



 標的を捉えた悠斗が、手にした剣をミカエルの体に振りかざそうとした瞬間であった。


 足元がグラつき、視界が揺れる。

 バランスを崩した悠斗の斬撃は、虚しく空を斬った。


「な、なんだ……。こいつは!?」


 予期しない形で不意を突かれた悠斗は、思わず感嘆の声を漏らす。



 クリスタルゴーレム

 種族:ゴーレム

 職業:ガーディアン

 固有能力:魔力精製



 魔力精製 レア度@☆☆☆☆☆☆

(体内の魔力の回復速度を上昇させるスキル)



 その全長は優に20メートルを超えるだろう。

 これまで悠斗が出会った魔物の中では間違いなく最大である。


 突如として床をぶち破り地下から出現したのは、巨大な水晶の体を有した1匹の魔物であった。



「俺としたことが……予想外だぜ。こんな浅い階層からガーディアンが現れるなんてな」



 クリスタルゴーレムを目の当たりにしたミカエルは、次なる一手を模索していた。


 通常ダンジョンの守護者であるガーディアンは、最下層にのみ出現する魔物と言われている。


 高威力の魔法を連発して騒音を立ててしまったことが、ガーディアンを怒らせることになったのだろうか?


 今回のような低階層でガーディアンと出会ってしまったことは、事故としか言いようのない事態であった。



「……仕方がない。まずはコイツから片づけるか」



 ミカエルは手にした杖を掲げると、自身が所持する魔法の中で最大威力のものを発動させる。


 エクスプローション。

 火属性魔法と風属性魔法の複合させて作ったこの魔法をミカエルはそう呼んでいた。


 5属性の中で最も殺傷能力が高い火属性の中でも一際、破壊力に富んだファイアーストームという魔法は、ミカエルにとっての切り札と呼べる存在である。


 更にミカエルはこの魔法にウィンドストームの魔法を織り交ぜて、火力を飛躍的に上げる技術を会得していた。



(何か……来る!?)



 エクスプローションの魔法の危険性に気が付いた悠斗は、咄嗟にミカエルと距離を取り地面に体を伏せる。


 次の瞬間。

 部屋の中は眩い閃光に包まれ、クリスタルゴーレムの体は激しい爆炎の渦に包まれた。


 自信の勝利を確信したミカエルであったが、そこで異変に気付く。


 エクスプローションの魔法を直撃させたにもかかわらず――。

 クリスタルゴーレムは無傷であった。



「まさかこいつ……。魔法耐性スキル持ちか!?」



 ミカエルは推測する。

 どうやら目の前にいる水晶のゴーレムは、極めて優れた魔法耐性を有している魔物であるらしい。


 今度はクリスタルゴーレムの攻撃。

 クリスタルゴーレムは長い腕を使ってミカエルの体を振り払う。



「……グッ」



 シンプルながらも自らの体格を最大限に活かしたこの攻撃は、想像を絶する威力を秘めていた。


 咄嗟に氷の壁を使って致命傷を回避したミカエルであったが、自らの脇腹に鈍いダメージを受けることになった。


 

「……こいつはまずい。この魔物は、魔術師の俺とは相性が悪すぎる!」



 エクスプローションで先制攻撃を仕掛けたことが仇になった。

 クリスタルゴーレムの注意がミカエルに向いていることは明らかである。



「どうしてこう……次から次に!」



 ミカエルは自らの不運を呪った。

 自分の仕事は、暴食の魔王を討伐することだけだったはずなのに、何故、人間と魔物にそれを邪魔されなければならないのだろうか。



「……!?」



 そのときふと、ミカエルの脳裏に1つのアイデアが浮かぶ。

 ミカエルは風魔法を使って部屋の出口にまで移動すると、満足気な笑みを浮かべる。


 自から手を下すまでもない。

 今回のダンジョンのガーディアンであるクリスタルゴーレムは、レジェンドブラッドのメンバーが戦っても1対1では歯が立たないような難敵である。



「……計画は変更だ。あとはお前たちで勝手に潰し合ってくれ。俺はここらでお暇させてもらう」



 ミカエルはそれだけ言い残すと、体中の魔力を絞り出し部屋の出口という出口を氷漬けにしていく。



「な、なんなのよ!? こいつは!」



 攻撃対象を見失ったクリスタルゴーレムは、次なる標的を1番近くにいたベルゼバブに向けていた。


 氷の柱に捕えられたベルゼバブは足をジタバタと動かして抵抗を見せる。

 

 けれども。

 ミカエルの作った氷の枷は彼女の手足を縛って離さない。


 クリスタルゴーレムは大きく拳を振りかぶり、氷柱もろともベルゼバブの体を押しつぶそうとする。


「~~~~っ!」


 ベルゼバブが声にならない声を漏らし、瞼を閉じた次の瞬間であった。


 暖かい。

 人肌の温もりが氷の柱に磔にされて、冷え切ったベルゼバブの体を癒す。



「ユートさまっ!」



 何処か落ち着く匂いがする。

 目の前の少年の背中を目の当りにしたベルゼバブは、直ぐに自分の置かれた状況を理解した。


 間一髪のところでベルゼバブを救い出した悠斗は、少女のことを背負いながらも疾走していたのである。



(凄い……! 人間なのにこんなに早く走れるんだ……!?)



 目の前の少年の温もりに包まれながらもベルゼバブは素直に驚いていた。


 鬼拳を発動させた悠斗の身体能力は、上位の魔族すらも軽々と凌駕するものがあった。


「しっかり掴まっていろよ。キミには死なれたら困るからな」


「……はいっ!」


 凍傷を負って手足がロクに動かないことを察してくれたのだろう。

 ベルゼバブは目の前の少年の優しさに心を打たれ、緊張した声音で返事をした。


 先程の爆発の魔法が直撃してもダメージを受けなかったクリスタルゴーレムの耐久力は、底の知れないものであった。


 生半可な攻撃では体力を消耗するだけで有効なダメージを与えることはできない。


 チャンスは1度きり。

 これから試そうとする技は、絶大な威力を誇る反面、身体にかかる負担が大きすぎる。

 

 攻撃を外せば即座に敗北に繋がりかねない事態になるだろう。


 けれども、不思議と負ける気はしない。

 何故ならば、可愛い女の子が見ている手前で失敗をするわけにはいかないからだ。


 決意を新たにした悠斗は、学生服の美少女を背負いながらも、反撃の狼煙を上げるのであった。



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