いらない力
今回は茜 信也視点です
「……まさか、家にまであいつが来るなんてな」
正直予想外だ
完全に息の根を止めたと思っていたのにまさか悪霊となって攻撃してくるとは……
俺は武者修行の旅で得たのは戦闘経験だけではない
敵も増やした
殺しもした
そのせいで俺の人生はほぼ終わりに近いのだが……
どうにかして、裕也たちには迷惑がかからないようにしたい
さっき攻撃仕掛けてきた爆弾使いは俺だけを狙ったのでなんとかなったがこれから先どうなるかわからない
用心しないといけないとともに……念のために裕也も鍛えないといけない
「自由にしたいのに俺が縛ってしまうとはな」
強くなる過程で無駄に手に入れてしまったもの
それらもすべて俺が受けとめないといけない
裕也のためにも……
「信也君。そろそろ食べないと冷めると思うんだけど」
「そうだな。食べるか」
俺達は手を合わせていただきます
そうしようとした時だった
「あの、兄ちゃん」
「なんだ?」
「なぜ、僕だけ箸がないの?」
「え? 必要なのか??」
「いるよ! ていうか、素手で食べって言うの!?」
「いや、てっきり嫁に「あ~ん」って食べさせてもらうと究極の甘々生活が普通になっていると思ったんだが……」
「そんなことないよ!!!!」
「そうか。ならとって……」
「いえ、大丈夫です!! お義兄さん! 私が食べさせますので!!」
「ちょ! みーちゃん!!」
「恥ずかしがらなくていいですよ? あなた……♡」
うん
裕也をいじめるの中々楽しいな
時に厳しく
時に優しく
時に全力で逃げ出せ!!!
これが我が家の家訓だ
ちなみに最後の意味は失敗したら全力で逃げろって言うこと
まあ、あの親父の現状を見れば誰もが理解をするだろう
そうこうしている間に俺は食べ終わり食器を片づける
裕也はいまだにみーちゃんともがいており、それを楽しく見守る美咲がいる
そうか。美咲も裕也の嫁なんだよな
ズキンッ!!
「……??」
なんだか少し息苦しくなった
なんだ今の?
病気か何かの一種か?
いや、それはないだろう
健康状態には常に気を付けている
じゃあ、他に何が??
「どうしたの?」
美咲がいつの間にか食べ終わりこっちに運んできていた
胸を押さえつけている俺の状態を心配しているが……
なぜかすぐに収まり大丈夫になった
「なんでもない」
「そう」
少し心配そうだったが深く追求しないようだ
よかった
……しかし、今の状態はまずいな
なにせ、これから戦いにくい状況になる
「さて、美咲。そろそろ学校に行くか」
「ええ、そうね……え? 信也君。学校あるの?」
「ああ、一応美咲と同じ学校だぞ?」
「うそ!?」
裏入学と言うか親父のコネでずっと休学状態になっていたが……確か同じクラスだぞ?
さて、あいつらもそろそろ急がせないといけないな
「おーい、早く食べ終われよ」
「終わりましたよ♡」
「……終わったよ」
最高の笑顔で言うみーちゃんと少し疲れた顔で言う裕也
一体何があったのだろう
まあ、食べさせ合いなのだが……
そして、それをうながしたのも俺だな
「着替えろ。さっさと行くぞ」
「「はーい……??」」
「信也君も今日から学校なんだってさ」
「えっ?? 学力が小学6年生で止まっているのに!??」
裕也が驚いた
……いや、確かにそうなんだけどさ
言い方があるだろ?
とりあえず、後で強制訓練させよう
「それじゃあ、久々の学校に行くぞ~~」
「めんどい……」
「家でゆうちゃんとイチャイチャしていたい……」
中学生たちがそれぞれ不満を言う
裕也は強制訓練のメニュー追加だな
だが、その中で本当の高校生は言うことが違った
「ほら、学生は学校に行くのが仕事なのだから行くよ」
「え~~? 私、ゆうちゃんの奥さんだから家で仕事する」
「その前に学生でしょ!!」
そこで姉妹が口げんかしている時、横で俺達兄弟は軽い戦闘をしていた
裕也が攻撃をして、隙があれば俺が反撃する
そう言う時間があったらやる暗黙の訓練だ
「はい。3発」
「うっ!」
空いてしまった脇腹、首筋、右足にダメージを与えた
「隙があり過ぎだ」
「くっ!」
「何してるの!?」
「「っ!!」」
もう少し口げんかが続くと思っていたけどおしまいみたいだ
俺達とっさに拳を引っ込めて何事もなかったかのようにふるまう
「さて、行くか」
「そうだね」
「いや、あのね。戦わないってことできないの? あなたたち」
「「無理」」
これに関して俺達は即答だった
あの家系で戦わなかった奴は女性だけだろう
ずっと命を狙われ続ける家系
昔、親父が愚痴っていたな
大昔に用心棒をしていたうちの祖先が依頼者を守るために神様と大ゲンカ
その大ゲンカに勝ってしまい色々な宿命を背負うことになった
最初は信じられなかったが今は信じることができる
幽霊が襲ってくることもあったからだ
ちなみ今のところ体験しているのは俺と親父だけだ
裕也はまだらしい
いや、一生ない方がいい
こんなもの
一生闘うことを強制させられるなんて……
ないほうがいい
しかし、必要だ
幽霊はいずれ悪霊となって人を襲う
それをなくすために陰陽師などがいるのだが……
俺達は例外
人間で唯一……悪霊と肉弾戦ができる存在だ
ちょいと長くなりました
すみません<m(__)m>