第9話 ハクとの旅が始まった。さっそく、盗賊を討伐したぞ
『これは面白い。少し身体を動かしても大丈夫だと思う。主は結界を張れる?』
「うん、大丈夫だけど、ハクも張れるよな?」
『張れるけど、私の結界は、自分の領域を包む結界。だから自由に動けるんだけど、空に上がった主まで守れるかどうかはわからない』
「なんだ、そんなことか。それは大丈夫。ハクは自分に結界を張ればいい。俺は自分の周りに結界を張る。ただし、落ちないようにだけはするけど。もとより、戦う時には臨機応変でやればいい」
『わかった。じゃあ、そうしよう。主、さっそく乗ってほしい』
「うん。じゃあ、お願いしようかな」
届かない俺は飛翔でエアクッションに座った。背もたれにもクッションがあるので、かなり快適だな。
ハクは辺りの気配を察知して、数歩駆けて空に上がった。そこで俺は結界を張る。ハクの動きを邪魔しないように、俺自身の周りに結界を張った。当然、ハクの身体から離れないようにってね。そうでないと、落っこちる。
ハクの速さはかなりのものだ。
とりあえず、街道沿いを進んでもらうことにした。それなら地上を走るか、と今はかなりの速度で進んでる。ハク、本当にすごいな、お前。
途中で待避所で昼食をとる。
ハクは何を食うのかと問えば、何でも食うらしい。それなら、と大きめの結界を張ってテーブルと椅子を出す。ハクにはデカいボウルだな。
大きめのボウルに水をたくさん入れてやる。
そして、もうひとつには肉じゃがを山盛り。盗賊のアジトにあった新品の籠を取り出して、そこにパンをいろいろたくさん置いた。あとは、生野菜のカットしたものも置いてみた。
『これは。かなり旨そう、食べて良いの?』
「うん。食べて。俺は別のを食べる。今からスープも出すから」
ありがたい、と嬉しそうなハクは、まずはフランスパンからのようだ。
その間に、味噌汁を自分の分をスープボウルに入れて、残りをハクの為に、でかい保存容器に入れてやった。どうやら味噌汁は気に入ってくれたらしい。
肉じゃがは既に半分くらい食ってる。
俺も負けられない、とおにぎりと味噌汁をおいて、おにぎりにかぶり付いた。
うん、旨い!
そういえば、スーパーごと転移した人、まだ生きてるかな。気になる。
探索して見るか。
<探索>
おにぎりを頬張りながら探索して見るが、あの国から動いてないな。おそらくだけど、スーパーは見える所にはないはずだ。何かあるんだろうけど。
『主。この料理は主が作ったもの?』
「まあ、そうだな。人間用のメシだけど、どうだ?」
『旨い。今までは肉は生だったけど、火を入れると旨いね。見たことのない食材もかなりある。これほどの料理、先が、楽しみになりそうだ』
「おう、楽しみにしてくれ。どうやら料理スキルがいい仕事をしてくれるからな。メシは任せてほしい」
「ありがたい。その白いものはなに?」
「これは、おにぎりっていうんだ。俺の世界、というか。俺、勇者の召喚に巻き込まれてこの世界に来たんだ。これは内緒だぞ。でな、その世界で多く食べられていたのは、その白い粒で米という。俺の国の主食だ。おにぎりは食べ方のひとつだよ。携帯用に作っておいた」
「なるほど。主は稀人なんだね」
稀人?
ハクによると、どうやら俺が小説で読んだことのある認識で合っているらしい。そうか、俺みたいなのを稀人っていうのか。巻き込まれ召喚者だけど。
食事を終える頃には、商人たちや冒険者なども休憩していた。そんな中、片付けを終えて、結界を解除した俺とハクは街道へと歩く。
「なあ、あんた。その魔物、見たことないな。なんの魔物だ?」
「なんで聞くの?」
「の、乗れるのか?」
「うん。問題ないよ。それに、俺の眷族だし」
「け、眷族!? それはすごいな。登録してあるのか?」
「一応、契約はしたけど、冒険者ギルドで登録するんだろ? 次の街にあるかな、ギルド」
「いや、それなら王都へ行った方がいい。そこなら対応できると思うぞ」
「そうなんだ、ありがとう。助かったよ、誰かに聞こうと思ってたし。ここからどれくらいかかるのかな、王都は」
「普通の馬車なら一週間以上かかると思うが、そいつならもっと早いだろうよ」
なるほどね。じゃあ、それほどの時間じゃないか。
ありがとう、と礼をいい、街道へ出てからハクに乗れば、おお~と声が上がった。なんだよ、それは。
行こうか、と声をかければ、ハクはゆっくりと走り出す。すぐに結界を張ったハクの背で俺も結界を張った。
出発してから、ハクの脚で五分ほどか。
盗賊に襲われている商人と護衛隊を見た。
これ、そこそこいるな。どうするか、助けるか?
「助けはいるか!」
商人は助けてくれ! とわめいてるけど、冒険者たちはハクを見て、嫌な顔をした。うん、そうなると思うよ。でもね、あんまり悠長にしていると! ほら。そうなるでしょ? 切られたじゃん。
「た、頼むー助けてくれ! お願いだー!」
冒険者たちを見れば、仕方なさそうにいう。
「頼む、助けてくれ!」
早く言えよ、お前が迷ったから何人か死んだんだぞ!
じゃあ、と俺とハクは別々に盗賊たちの中へと飛び込んだ。
ハクは、鋭い爪で盗賊を蹴散らしている。俺は刀を右手に持ち、バッサバッサと盗賊たちを切り裂いている。もう、今の俺は剣士だな。
最後の一人を切り裂いて、終わった。
商人と冒険者たちの方へ戻りながら、ハクを浄化して、俺も浄化した。うん、すっきりした~
どうやら数人の怪我人がいるらしい。
<治療>
ホワリと光った護衛たちは、綺麗に治ってしまった。
ハクの背に乗って、問うてみる。
「お兄さんたち、盗賊のアジトに行くの?」
「いや。俺たちは護衛任務中だから行かない。それに、お前らがほとんど倒したんだから」
「ふうん。じゃあ、俺たちは行くよ。じゃあね」
商人が何か叫んでいたけど、そのままハクは空に上がった。
俺の頭にある地図を見ながらハクを誘導する。
案外近かったんだな、と空からアジトを見た。
これ、アジトというより、デカい岩の窪みだろ? 一応、目隠し程度の塀はあるけど。
気配を探ってみると、数人いるな。
さて、どうするかな。
ハクに地上に降りてもらって、声をかける。
「ねえ、盗賊さんたち。残ってるの、お頭なのか?」
なんだ、と数人が出てきた。
「お前はなんだ、ガキ。俺を知ってここに来たのか?」
「ううん、あんたが何者かなんて知らないよ。ただ、街道で襲われた人を助けて、俺たちがやっつけたけど」
「な、なんだと? 全員を殺ったというのか!」
「そう。だから、ここに来た。どうする、戦う?」
「ったりめえだ! お前みたいなガキに舐められてたまるか。それに、その魔物。金になるじゃねえか。お前ら、魔物を捕まえろ。俺は、このガキを……」
ハクをやらせる訳ないだろ、このバカが!
【一閃!】
ブババババー
あはは、一気に全部切れたぞ。ふむ、残りはいないな。
必殺技だけじゃなくて、こういう使い方もアリだな、一閃には。
『主。素晴らしい技だね。あれはスキル?』
「うーん、少し違うかな。俺、前の世界で居合道をやってた。居合道界のトップの組織で跡取りだったんだ。だから鍛錬ばかりで、大変だった。その時の奥義があれかな。本当はもっとすごいけど、とりあえず、いろんな使い方を探してる所だ」
『ふうん。そのイアイドウというものも使う剣士だということだね』
「まあ、そういうことだな。じゃあ、お宝を見てみるか」
いつものように鑑定してゆく。
とりあえず、金と金目のものはアイテムボックスに回収する。あとは、中級以上のものを集めて確認して、いろいろと整理し、回収した。ここには魔道冷蔵庫などはなかったので、食い物はない。だが、さっきの商人の持ち物にあると思ってる。だからとっとと離れようか。
そんな風に思っていたんだが、空にワイバーンが見える。どうやら、サーペントも集まって来たぞ。
『私がワイバーンを。あとは主に任せる』
おう、頼むな。
そう言ってハクは空に上がった。じゃあ、俺はサーペンドだな。できればクビを狩って、皮を確保したいからっと。
<アイスブレード>
おう、切り口が綺麗だ。
これなら後々、使えるだろうな。
とりあえず、二匹か。あと、頭がわからないんだけど……
サーペントの鼻面に、落ちてた石をぶつけたら。
怒った、怒った。やっとこっちに来るか。三匹来たけど、ええとじゃあ、クビを切るか。
<アイスブレード!>
うん、綺麗にクビが落ちたよ。
残りは? あ、終わりか。じゃあ、魔物をアイテムボックスに回収しようか。
『遅くなってごめん、主。とりあえず、ワイバーンは全て狩ったよ。一応結界に入れて来たけど、どうする?」
「じゃあ、結界を解除して。そのあと、アイテムボックスに入れるから」
『ふむ。やはり主は収納持ちだね。その鞄か? それは魔道具でしょ。時空魔法でアイテムボックスを作ったんじゃないの?』
そんなことができるのか?
どうやらできるらしい。じゃあ、ハクも作って持てばいいといえば、入れるものは魔物くらいなので、そのままにしてあるらしい。
今度やり方を教えてくれるらしいので、やってみることにした。




