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第8話 眷属「ハク」との出会い

 ゆっくり下に降りてゆくんだが、デカい豹? 猫? 魔物かな。あれ、普通じゃないだろうよ。ちゃんと首輪や引き綱など、付けられてるんだけど。それならなんで暴れてるんだ?


 前にいるのはデカい馬車だ。

 きらびやかな馬車と護衛たちがたくさんいる。みんながどう扱えばいいのかとウロついてる。馬車の扉から顔を出してるのは、でっぷり太ったおっさんだ。これでもかって豪華な服を着てるな。

 あの魔物は買ってきたんだろうか。それとも、捕まえた?

 あれ、やっぱり豹みたいだ。


 馬車より少し上でホバリング状態の俺だけど。

 じっと豹を見ている。こいつ、ただイラだってるだけだ。望まない拘束に腹立たしく思ってる。

 鑑定はしてないけど、なんとなく理解できるんだ、日本にいたときの自分と重ねてるんだろうか。

 もう離してやればいいのに。


 鑑定*****

 霊獣:スピリチュアルビースト・パンサー:白 三歳 オス 特殊個体 世界に一頭

 霊獣として生まれたが、白い個体故親に捨てられた 信頼できる主には従順に従う 基本的には大人しい 危害を加えられないと暴れない 騎乗可 地上のみならず、空も海も自在に駆ける 本来は黒豹の姿だが、特殊個体故、体毛は白 身体の大きさが変更可

 

 レベル:220

 生命力12800 

 攻撃力12700

 防御力12500

 魔力80000


 スキル:忠実NAX/騎乗補助/斬撃Lvel.16/蹴り/噛みつき/滑空MAX/長距離飛行NAX/他

 エクストラスキル:言語理解・念話/上級四属性魔法Lvel.20/時空魔法Lvel.20/上級結界魔法Lvel.12/鑑定魔法Lvel.17/他

 *****


 ほう。これはすごいな。

 こんな子がいてくれればいいのに。


 そう思ったとき、デカ霊獣と目があった。暴れながら、俺をじっと見ている。

 これは助けてくれということかな。じゃあ、助けないとダメだろうよ、俺としたら。


「なあ、あんたたち。その子、イラついているぞ。買ったのか、それとも捕まえた?」

「な、なんだお前は。子供がうるさい!」

「うるさいってさ。制御できてないじゃん。護衛の人、怪我してるし、あまり怒らせると殺されるよ。それでもいいのか?」


 うぬぬ、と商人が護衛たちを見ている。


『少年。私はつかまったんだ。ただ、のんびりと過ごしていただけなのに。縄をかけ、剣で切りつけて捕らわれた。頼む、助けてほしい。自由に生きたい。助けて!』


 なるほどな。そういうことか。


「なあ、あんたら。この子、捕まえたんだろ? のんびり過ごしていただけなのに、縄をかけて剣で切りつけて捕らえた。この子が言ってるんだが、違うか?」

「この魔物と話せるのか?」

「ああ。そう言ってるけど。ということは、正解か。そろそろ離した方がいいと思うよ。そうでないと、殺される。間違いなくね」

「うるさい、うるさい、うるさい! こいつは私が捕らえたんだ。国につれて帰って献上するのだ。いらぬ事を言うな!」


 ふうん、それならいいけど。


「じゃあ、どうなっても知らないよ。お前、もういいんじゃないか? 殺さないように気を使ってたんだろうけど、お前が可愛そうだよ、俺は。自由にやれよ。護衛たちは冒険者だろ? 抵抗すればいいよ、勝つつもりならね」


 そのまま俺は空から見ることにした。

 

『そう。もう我慢することはやめる。私の好きにする。そこで見ていてほしい』

 

 いいよ、と念じれば通じたらしい。


 いきなり、そいつは本気を出したようだ。

 豪商の馬車に体当たりをして、冒険者たちを振り払った。剣を構えて斬りかかるのだが、蹴りですぐに倒れてゆく。たくさんいた護衛たちだが、捕まえていた縄ごと、地面にたたきつけられて、一度に数人が死んだ。


 十人ほどいた護衛は、全員命を落とし、荷馬車の御者二人も鋭い爪で喉を切られた。残ったのは豪商ひとりだ。

 さて、どうするのかと見ていれば、馬車から逃げ出し、俺に向かって叫ぶ。


「お前、冒険者だろう! 護衛として雇うから、あいつを押さえろ。早くしろ!」

「俺は冒険者じゃない。旅の商人だ。護衛を引き受ける立場じゃないよ」

「だ、だが。ずっと浮かんでいるほどの魔法使いなのだろう? それならば……」

「嫌だね。忠告してやったのに。何でも自由になると思うなよ。自分の事だ、自分で解決しろよ」


 そんな! とわめいている豪商をそいつは前足で踏み潰した。みごとに頭がぺしゃんこだな。


 ゆっくりと地上に降りれば、こちらにやってくる。


『見苦しいものを見せた、ごめんなさい。それで、どこに向かっている?』

「俺は、東へ向かってる。お前は?」

『私は暇に任せて街を見に来たんだけど、私を従えてもらえない? 眷族にしてほしい』

「いいけど、それでいいのか? お前、あるじは?」

『主を持ったことはない。私は特殊個体だから誰かに売られるかもしれない。よければ、眷族にしてほしい? どうやら権力が嫌いみたいだし』

「俺、テイマーじゃないぞ?」

『問題ない。真の従魔契約というのは、テイマーではできない。真名で契約するものなんだ。どうかな?』

「そうなのか? でも世間はテイマーで従魔契約するぞ?」

『あれは、従魔の方が契約されてやっている。でも、私は真名での契約を望んでる。本能がそう言ってるんだ』


 本能が、か。

 まあ、それはいいんだけど。


「まあ、俺で良ければいいよ。ていうか、走って移動するのにあきてたんだ。だから飛んでた。それで見つけたんだけどね」

『ふうん。私には僥倖だったよ。あの視線を感じたとき、主となるべくその場にいると感じた』

「へえ。そうなんだ。まあ、俺も気になったけどね。で、契約はどうやってするの?」


 それでは、と教えてもらうことにする。

 どうやら、この霊獣の真名は『バリアルト・スピリチュアルビースト・パンサー』らしい。

 長っ!


 そして、俺の少しの血を使うんだって。

 

 指を傷つけ血を少し指に出し、それを頭を下げたヒョウの額に付ける。そしていう。


「我、タケル・ヤマトは、バリアルト・スピリチュアルビースト・パンサーを従え、真名による眷族と致す」


 白豹と額を合わせて、呼び名を口にする。『ハク』と……

 俺たちは共に光に包まれる。そして、それが収まった時、再度鑑定すれば。


 鑑定*****

 ハク:霊獣:スピリチュアルビースト・パンサー:白 三歳 オス 特殊個体 世界に一頭

 タケル・ヤマトの眷族

 霊獣として生まれたが、白い個体故親に捨てられた 信頼できる主には従順に従う 基本的には大人しい 危害を加えられないと暴れない 騎乗可 地上のみならず、空も海も自在に駆ける 本来は黒豹の姿だが、特殊個体故、体毛は白 身体の大きさが変更可

 レベル:250

 生命力28000 

 攻撃力27000

 防御力25000

 魔力150000

 スキル:忠実Lvel.MAX/騎乗補助/斬撃Lvel.16/蹴りLvel.MAX/滑空Lvel.MAX/長距離飛行Lvel.MAX/気配察知Lvel.15/危機察知Lvel.10/ 他

 エクストラスキル:言語理解・発語/上級四属性魔法Lvel.20/無属性魔法Lvel.20/上級結界魔法Lvel.12/鑑定魔法Lvel.17/ 他

 *****


 あ、ちゃんと眷族って出てる。あと、レベルが上がったぞ。まあ、これはいい話しだろうね。他もあがったねぇ。すごいや。

 これって、冒険者ギルドで登録するのかなぁ。まあ、聞いてみるしかないな。



 さて。

 この荷物をどうするかな。

 とりあえず、荷馬車の荷物はなにかな。

 おっと、かなりの代物が乗ってるけど。庶民の洋服とかもあるか。まあ、とりあえず、荷物は全てアイテムボックスに回収だな。


<アイテムボックスに回収>


 じゃあ、次は。

 金とか貴金属など金に替わりそうなものか。まあ、豪商の鞄にはいろいろあるな。それと、貴金属か。なんでこんなに持ってる? なるほど、このケースの中にあるのはアイテムボックスになってる指輪か。それと、太った指に付けられているものも、アイテムボックスで高価な指輪だな。

 じゃあ、回収するか。さっきいったものはアイテムボックスに回収!


 はい、終わりました。


 ハクはちょっと汚い。血だらけだぞ。

 周りに人の気配はないけど、少し街道からそれるか。


「ハク、反対側の林に入ろう。身体を綺麗にしなくちゃ」


 とりあえず、脚元と地面だけ綺麗にして、足跡を隠滅する。普通のサイズじゃないのがわかるだろうし、ハクが疑われるからな。


 林の向こう側へ隠れた俺たちは、向かい合う。

 

<浄化!>


 しゅるるる~と光の帯みたいなのに包まれたハクは、一瞬で綺麗になった。

 真っ白で綺麗だ。

 ロープを解いて、自由にしてあげよう。


 じゃあ進むかな。


『主、私の背に乗って』

「ええと、いいの? あ、そうだ、身体の大きさが変わるんだろ? これ以上大きくなる?」

『そう、もう少し大きくなる。あと、小さくなれる』


 見る間にするすると小さくなったよ、ハクが。


「かわいいね~猫みたいじゃん」

『そう思ってくれたら、このまま街にも入れる』

「まあ、そうだな。宿も泊まれるよ、これなら」

『うん。じゃあ、乗る?』

「そうだな、いいの? でも、俺。馬にも乗れないんだけど、どうやって乗る?」


 どうやら、クッションでもあれば大丈夫らしい。ええと、それなら……


 確か、盗賊のアジトで見たマジックアイテムがあった。薄いクッションだけど、形が自由に変形できて、確か、エアークッションみたいなやつだったと思う。

 取り出してみれば、少し用途が違うらしい。馬車の旅のとき、座っていると尻が痛くなるので、その時に使うらしい。貴族用だな、これは。


「こんなのがあるんだけど、どうかな。おいてみていいか?」


 うん、と不思議そうだけど、ちょっとやってみよう。

 クッションをそっとハクの背に乗せる。当然、背もたれがあるわけで。これは便利だな。

 すると、スルスルとクッションの両端が伸びでハクのお腹半分より少し下でフィットした。これって、鞍みたいな椅子だろうよ! だれだ、こんなもの考えたやつは。どうぜ貴族だろうけど。


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