第7話 浄化魔法が使えた、ということは俺は一握りってこと?
下味を付けたものは、アイテムボックスに入れる。それを何度も繰り返した。とりあえず、買った鶏肉の半分はタレに漬け込んだ。塩ダレもあったので、二袋は塩ダレだ。
その後は、焼き肉用に肉をカットする。
これ、料理スキルのすごいところが発覚。
厚みを指定して、大きさを何等分とか指定すれば、スライスしてカットしてくれる。これは便利だ。あと、牛丼用の薄切りも作った。どっちも保存容器に入れた。
あとは、鍋でジャガイモとタマネギ、ジャイアントギルの肉で肉じゃがを作った。スーパーの食材に、糸こんにゃくがあったから。俺は関西出身なので、甘めでコトコト煮込んだ。
これは商人ギルドでかった保存容器のデカいやつに入れてアイテムボックスに入れた。残りは鍋のまま残しておいた。今夜のおかずだな。
あとは、味噌汁を作る。
具材はあまりないけど、ネギと油揚げ、豆腐の味噌汁だ。
味噌汁ができあがったので、アイテムボックスに入れておいた炊飯鍋を取り出す。ひとつは全ておにぎりにした。海苔もスーパーの食材にあったから。
俺ってかなり現金なやつだよな。
怒りを持っていたくせに、それを平気で食うとか。やなやつだろうけど、俺は負けないぞ!
おにぎりは保存容器に入れて、アイテムボックスへ。
あとは、白米のまま保存容器に入れた。これは食事の時に食べる用だ。
当然、アイテムボックスに入れたんだけど、どうしようか。まだ夕食には少し早いんだけど。
先に風呂に入るかな。
そう、考えたんだよ、俺。
さっき持って帰ったバスタブに水魔法で水を入れ火魔法で湯を沸かす。もちろん、水の中に火を入れるってことだけど。それでお湯ができるはずだ、多分。
じゃあ、肉じゃがも器に入れてアイテムボックスに入れておこう。
蓋もちゃんと閉めたよ。
じゃあ、風呂ってどんなのがあったっけ?
ええと、全部同じだな。じゃあ、青いやつにするか。
取り出してみれば、そこそこの大きさがある。これ、いいなぁ。
じゃあ、水を入れようか。
その間に、アイテムボックスをテントの中にしまっておこう。
水はすぐに満タンになった。
だけど、地面が汚れるな。じゃあ、この辺りを固めるか。
<土魔法>
おお、硬くなったぞ。じゃあ、そこに火を入れます。
<火魔法>
おお、すぐにぐつぐつ沸き始めたな。
でも、タオルはあるけど、石けんとかがない。洗面器もないな、これ、どうする?
あ、そうだ。スーパーの商品になかったかな。
ありました~
石けんもあったけど、ボディシャンプーとリンスインシャンプー!
身体を洗うタオルもあったよ、カシャカシャのやつ。
洗面器と椅子もあったので問題ない。あと、タオルは山ほどあるし、バスタオルもある。バスマットもあったので、問題ないね。
ちょっとお湯が熱すぎたので、今のうちに炊飯鍋を片付けておこうか。
水をためて、石けんを付けなくても汚れが落ちるというスポンジでゴシゴシ洗う。
うん、綺麗にとれるなぁ。すごいね、これ。
小説なら、浄化魔法とか使うんだろうけどね。さすがにそれはないでしょ。
じゃあ、もうひとつ……
あれ? 綺麗になってるんだけど、どうして?
もしかして、浄化魔法なのか?
これも生活魔法なのかな。でも、使える人は一握りだって聞いたけど。俺って、一握りに入ってるのか?
まあ、ありがたいけど。
食事が終わったら、もう一度やってみよう。それなら確認できるはずだ。
結果、バッチシ使えましたよ、浄化魔法。これは助かるなぁ。
食器も鍋もキッチンまで綺麗になった。
一番ありがたかったのは、タオルを洗う必要がない。そして乾燥も終わる。これは最高だね。
それでもやっぱり風呂だよな。日本人としては外せない。うん、満足です。
★★★
朝は太陽の光で目を覚ます。
この世界はあまり雨が降らないらしい。春から夏にいきなり変わるんだから、梅雨もないようだ。
それで水がまかなえるのはすごいことだ。たぶん、森が多いから水も多いんだろう。
朝食はフレンチトーストとサラダを作った。
とても簡単で楽ちんで~す。
パンを出したついでに、サンドイッチも作った。カットしてあった生野菜を使って。厚切りベーコンを挟んでトマトをおいた。温かいサンドイッチはいくつか作って保存容器に入れておいた。やっぱり果実水は確保しないとな。
さて、行くか。
今日も走るかな。
やっぱり街道を行く方がいいだろう。そろそろ商人たちが準備しているので、早めに出た方がいいかな。そうでないと、また追い抜くことになるし。
途中で街でもないのかな。
うーん、地図で見る限りはないか。
それでも走らないと進めない。面倒だね、異世界。自転車とかあれば便利だけど、街道がガタガタだし、無理だね。原付でもあればいいけど、ガソリンないし。
そんなバカなことを考えたり、盗賊のアジトに行ったり、その道中の魔物を狩ったり。
いろいろ退屈だけど楽しい日々を送って、はや十日が過ぎた。
今は、結界をはり、魔道テントで寝転がってる。
風呂も入ったし、旨いメシも食った。
そして、今はステータスの確認作業中。
毎日夜にチェックしてるんだけど、いろいろとバカみたいな成長に自分でも驚いてる。
で、今日はこんな感じ。
ステータス!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
種族:人間 十六歳
職業:大和流大家元流
レベル:35
生命力1万093
攻撃力2500
防御力2500
魔力4387
スキル:居合道術Lvel.MAX/剣術Lvel.34/算術Lvel.7/交渉術Lvel.6/気配察知Lvel.15
エクストラスキル:言語理解/世界眼Lvel.8/治療・回復Lvel.10/結界Lvel.11/鑑定Lvel.13/上級五属性魔法Lvel.19/無属性魔法/時空間魔法/飛翔Lvel.2/再生/料理
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
おっそろしい成長速度だ。
これって、巻き込まれとはいえ、召喚に対するご褒美なのかな。理解不能だな。
風魔法を利用して、空を飛べるようになった。飛翔と名前を付けたけど、普通に飛ぶなら一日空を進む事もできる。それは実証済だから。
あと、当然だけど、枝打ちとかもできるよ、簡単に。
攻撃魔法は、主に魔物に対して使うんだけど、試しにいろいろやってみたら、そこそこ使える。
落雷とか火弾、水弾、氷弾、投擲など。投擲だと、木の枝で魔物が倒せる。槍の代わりだね。あと、火魔法は森の中で使うのはダメだから、全てを弾丸の様に形作って飛ばしてる。それなら、火魔法でも体内を焼くくらいで終わるから。できるだけ使わないけど。肉や素材がダメになりそうだから。
といっても、まだ冒険者ギルドに解体に出したことはないんだ。だって、それほど大きな街がないから。
アイテムボックスの中はどうなってるかというと、魔物ごとにファイルができてる、おもしろいでしょ。でも、ちゃんと整理されてるから助かるよ。
お金はとんでもないくらい持ってます、使うことはないけどね。でも、次の国の王都に行くのだって、まだかなりかかるらしいし。まあ、街にいったら旨いものをたくさん買うんだ、その方が楽しい!
そんな感じで今夜も眠りについた俺。
★★★
朝になって、朝日に起こされる。
ふう~、おはよう。
誰にともなく、そう言いうんだ毎日。少し悲しいかな。
じゃあ、さっそく準備して出発です~
最近、思い始めた。
街道沿いを行くのも時間の無駄だなと。いっそ、飛翔で直線距離を飛ぶ方がいい。途中で盗賊に襲われたり魔物に襲われたりする人は助ける。それ以外はいいかな。馬でもいればいいんだけど。あ、でも馬に乗れないよ。
もし、テイムスキルとか召喚魔法とか使えるならいいんだけど。まあ、仕方ないね。
じゃあ、行きましょう。
結界を解除して、そのまま空に上がろう。あ、皆が見上げてるけど、まあいいか。
朝は少し寒いね。
どうしよう、何か着ておけばよかったか。
でも、何だか温かくなってきたぞ?
もしかして、このローブ、外気温によって体温を保ってくれるとか? 今、すごく温かくなってる。これは快適だ~
空を飛ぶって、夢のまた夢だった。でも、今はそれを実現してる。
多分、あのまま日本で大人になっても、重圧に押しつぶされそうな自分に、そのうち耐えられなくなっただろう。
跡継ぎを作る必要もあるし、俺が育てられたのと同じように子供を育てる。そんな人生だったと思う。
そんなの絶対嫌だ。
今回の巻き込まれ転移は、俺にしたらありがたいこと。親にも家にも未練はない。その上、俺は勇者ではないと判断された。まあ、それも面白かったけど。
そして驚く程の現金を手に入れて、素晴らしいマジックアイテムも手に入れた。
今、最高に幸せだと思うのは間違いか? 親不孝と言われるだろうか。別に言われてもいい。俺は人生を今からやり直す。そのための時間をもらったと神様には感謝だ。
どうやら、裕福ではない国もあるらしく、そこで巻き込まれ転移してきた人は、俺とは違う扱いになるだろう。それを考えればラッキーのひと言だな。
あれ? あそこ、土煙が上がってるけど、なに?
街道なのか?
でも土煙って。そうか、整備できてない場所もあるからな。
あれは何だろう。
魔物? 盗賊? なんだよ、あの騒ぎは。
何かが暴れてるみたいに見えるんだけど、どういうことだ?




