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第5話 初めての盗賊討伐を経験したけれど、よわっちくて驚いた

じゃあ、と俺は立ち上がってギルドを出る。

 気をつけろよ、とギルマス、副ギルマス、フックさんに見送られて歩き出した。

 ちゃんとフックさんには弁償したからね、防具代。


 王都門は商人ギルドのカードで出られたので問題ない。

 さて、歩きますかね。


 のんびりと歩いているんだが、なかなか距離は進まない。それにこんな風じゃあ腹も減らないな。

 じゃあ、と付与魔法が使えないかとやってみることにした。


 肉体強化と筋肉強化? くらいか。

 それってできるかな。

 

<肉体強化・筋肉強化>


 ふわりと自分の身体が軽くなった気がした。

 これなら走った方がいいかな。

 

 そう思って、鞄を抱きあげ走り出す。

 おお、軽い軽い~ それに力がわき上がってくる~


 歩く人、小走りで進む人は当然だけど、馬車を追い越した時には驚いた。

 長い商隊だが、護衛をしているのは冒険者だろうか。


 そんなことは置いておいて。

 知らぬ顔で追い越した俺は、そろそろ腹が減ったと場所を探した。

 

 少し向こうに待避所がある。

 あそこなら、のんびり休めるかな。

 

 たどり着いた俺は、一応あたりの探索を行う。レベル1とはいえ、気配察知スキルがあるのは助かるよね。

 うん、今の所何もいなさそうだな。

 お昼ご飯だけど、めんどうだ。ならサンドイッチと串焼きにしようかな。

 

 アイテムボックスからサンドイッチを取り出して、小さなシートを敷く。その上に腰を下ろして小さく結界を張った。これも助かる。結界って、俺の認識でいいのかな。まあ、そのうちわかるだろうけど。

 飲み物は、そうだ、果実水を買うのを忘れた。まあ、仕方がないから、ミルクにしよう。

 コップを取り出してミルクを注いで再びミルクの瓶をアイテムボックスにしまう。そうしてないと温くなるからね。

 ハグハグとサンドイッチを食べる。

 ついでに、肉串も取り出して食らいついた。うん、旨い。一袋に五本ずつ入っているので、二種類出しておく。それくらいなら食べられるだろうと思って。


 ミルクもお代わりするほど、食べまくる。サンドイッチには、別のものもあった。ハムサンドだ。ハムもあったのかぁ。何処かで手に入れよう、絶対に。

 

 腹心地ついた頃、長い商隊が入ってきた。馬車を斜めに停めている。あたりを確認いてるのは冒険者だろうね。さっき追い越したやつらか。

 俺をチラリとみてすぐに向こうへいっちゃった。

 嫌な感じだ。

 でも、気にせずに残りの食事を平らげる。

 すると、誰かが俺を指さして、何か話してるんだけど。気分悪いなぁ。まあ、別にいいけど。


 たらふく食べた俺は立ち上がりシートをバサバサとはらって鞄に入れた。

 さて。そろそろ行くかな。

 水でも飲めればよかったけど。あ、そうだ、魔法で飲めるだろうよ。

 立ったままで口を開いて水を出す。口の中に注ぐイメージでやってみたらできた。

 うわ、この水、旨い。

 甘くてとてもいい感じの水だな。飲んだり料理にも使えそうだ。

 

 さて。 

 そろそろ行くかな。

 

 結界を解除して、辺りを探索すれば、嫌な感じが近づいている。これは人だな。盗賊か。

 だが、やつらは気づいてない。

 俺も巻き込まれたくないから、そろそろ行くか。


 じゃあ、と魔法鞄をかけて準備を整える。

 すると、始まっちゃったよ、戦いが。

 俺には関係ないから、このまま出ますか。と一歩踏み出したが、そうは問屋が卸してくれない。


「にいちゃん、変わった剣持ってるじゃねぇか。おいてけよ、金と一緒に。それなら命だけは助けてやる」

「嘘だね。そう言って皆殺しだろ? 盗賊のいうことなんか信用できない」

「何を、偉そうに!」

 

 当然、盗賊はドタドタと駆けてくるが、正直、遅い。あ、そうか、俺身体強化と筋肉強化かけてた。だから遅く感じるのか。


 おりゃー!

 斬りかかってくるけど、体術だけでも大丈夫なくらいだ。でも、他にもたくさんいるから、とりあえず刀を抜いておくか。


 シュバッと引き抜いた刀は、盗賊の防具諸共引き裂いた。


「おい、マシュー、大丈夫か! てめえ、よくもマシューを!」


 あ、数人の盗賊がこっち見た。

 それにしてもすごいな、この切れ味は。防具まで切っちゃったぞ。これは居合道とかじゃなく、普通の剣士として戦うかな。


 数人が一気に駆けて来たんだが、俺も一気に行こうか。

 シュシュシュッと切り裂き、前に出る。

 すると、半分くらいの盗賊の視線が俺にむいた。

 あ、ヤバ。やり過ぎたか。でも、こいつら多すぎるだろうよ、人数が。


「冒険者か! 大丈夫か?」

「俺は大丈夫だけど、そっちこそ気をつけて」


 あはは、と笑いながら対応している男。うん、中々の腕前だね。


 じゃあ、俺もやりますか。


 一、二、三、四……

 はい、合計十二人だったね。先にやっつけたやつも入れれば十六人。

 商隊の方は、結局八人を倒してた。あの人数で八人かよ!


「よう。お前、すごいな。ほとんど一撃で息の根止めてただろ。ランクは?」

「俺は冒険者じゃない。商人だから」

「なに? 商人だと。嘘だろ、なんで冒険者にならないんだ」

「Fランクからとかいろいろ面倒だし。自分が移動するためと魔物、盗賊のために戦うだけだ。だからランクなんか関係ない」

「なんでだよ、ランクアップ試験を受けたらそれなりに……」

「必要ないよ。王都を出る前に、程度の低い冒険者にいろいろ面倒をかけられた。その時に俺の腕は見せたはず。同じように言われたけど、例えSランクになっても利益がない」

「S? ギルマスがいったのか」

「まあ、それ以上の腕だとはいってた。でも、それだけだよ」


 それだけって……

 あはは、悩んでるな。


「失礼致します。私、この次の国、ボルック国王都で商店を営んでおります、ヒラリと申します。冒険者ではないと伺いましたが、できましたら護衛に加わっていただけないかと思いましてお声をかけました」


 何言ってんの、おじさん。


「俺は魔物も狩りたいし、こいつらみたいな盗賊も倒してアジトに行きたいんです。気ままなひとり旅がよくてひとりで移動してます。それに、馬車とか遅いでしょ」

「あはは、そうですか。では、向かう方向は同じということですか?」

「そうですよ。同じですね。地図に沿って向かっているので」

「それでしたら、どうぞ、盗賊のアジトに向かってください。街道に戻られますか?」

「うーん、それはわからないかな。魔物もいいのがいたら狩りたいし。いずれは途中で街道には戻るつもりですが」

「承知いたしました。では、私たちは先に進みましょう。もし、お会いする時がありましたら、改めてその時にということで。では、お先に出ますので」

「あ、はい。でも、冒険者のお兄さんたちはいいのか? 盗賊のアジトに行かない?」

「ああ。俺たちは護衛依頼中だからな」


 なるほどね、そういうことか。


「わかった。俺も魔物の解体は冒険者ギルドに持ち込もうと思ってるから、数日はいると思うんだ。会えたらラッキーだね」

 

 必ず、と馬車と護衛たちの馬は出発した。


「俺はSランクのイリアだ。ギルドで聞いてくれ! またな~」


 あはは、はい。覚えておきましょう。


 さて、俺は探索だな。

 こいつらの魔力を追えるかな。 

 盗賊のアジトに行きたい。


<探索>


 おお? 頭の中に地図か出た。

 ここが街道か。ということは、この赤いのがアジトか。で、どうやって行けばいいんだよ、これは。直線ルートしか出てないぞ。

 ええと、何かいいスキルなかったかな。

 あった! 上級五属性魔法っていうのがあるけど、これ、使えるか? 進行方向の木を切ればいいから。

 

<ウインドカッター>


 おおおおおっと、これ、楽しいな。

 魔法じゃなくてスキルなんだよな、すごいな、スキルって。

 

 これがあるとかなり便利だよな。

 切った木はどうするかな。とりあえず、何本かは持っておこうかな。じゃあ、枝を落とすか。


<枝打ち>

 

 あ、枝打ちなんてスキルかなっただろうよ。え? 小さい風の刃がでて枝を切ってるぞ。どういうこと? まあ、できたら別に何でもいいか。

 木は切っておくかな。それとも長いまま入れておくか。まあ、切るのは後でもできるから長いままでいいか。

 全部で五本だけ入れました。かなり太めの真っ直ぐなやつ。枝打ちしたのも入れたよ。火をおこす時に使えるだろうし。


 そんな風に、盗賊のアジトまで木を切りながら登ってゆく。でも、案外近かったね。まあ、盗賊もお宝を持ち帰ったり持ち出したりするのに、あまり奥じゃやりにくいよね。


 で、ここなんだけど……

 十五分ほどで地図の赤い点に到着した。どうやら、頭の地図は、ナビみたいに通ってきた履歴が残るらしい。

 これはとんでもスキルだぞ。

 あれ? でも、地図とかマップとかのスキルはなかったな。身体強化とかもなかった。なんでだろう、まあ、そういう設定なんだろうな。



 さて。

 ここがアジトか。といっても洞窟だぞ、ここ。

 中に誰かいそうだが、どうかな。


 小さな崖をゆっくりと地上に降りてゆく。

 静かに着地、成功!


 じゃあ、調べるかな。


(気配察知)


 おお、とりあえず、生き物はいないということだな。周りの森では、こちらを見てるやつがいろいろいるみたいだけど。まあ、今は放っておくか。


 洞窟に入って、念の為と結界を張っておいた。

 これなら魔物だって入って来られないだろう。うん、安全だ。


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