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第18話 イリアを見て再出発を決めた。その後、商人ギルドで改めて驚く

 イリアとハクにケーキとミルク、果実水を出して、あとは任せておきます。

 その間に、俺は食器や鍋、オーブンなども浄化しました。保存容器もデカいのはひとつ空になり、もうひとつは半分の大きさで入りました。


 じゃあ、と追加でマナバイソンをスライスします。スキルに任せて、ワイバーンのステーキ用もお願いしました。こっちは枚数を指定したよ。そうでないと、ステーキばかり食うことになるからね。

 あとは、唐揚げ用を仕込もうと思ってるけど、どうかな。

 

 とりあえず、ケーキを食べよう。

 ええと?

 なんで、ケーキが一個しかないんだけど。


「ねえ、俺のケーキは?」

「あ? お前の確保してたんじゃないのか?」

「ごめんなさい主。何も気にせず食っちゃった。申し訳ない」


 言葉も出なかった。

 本音をいうと、ハクはいい。俺の従魔だしね。でも、遠慮しろよイリア。お前は部外者だろ!


「まあ、いいよ。イリア、今日のメシは手伝ってくれたお礼だから。明日の田舎へ行く件だけど、少し考える。自分の用事がありすぎて片付かないから。ごめんね、せっかく言ってくれたのに。東の方なら、名前を教えてもらったら、途中で寄っていくよ。その方が面倒じゃない」

「わ、悪かった。お前が気持ち良く料理を振る舞ってくれてたのに、図に乗った。申し訳ない。明日の事は気にしなくていい。お前たちが出かける時にいうから、良ければよってみてくれよ」

「うん。そうだね。俺ね、ケーキがなかったから怒ってるんじゃない。ハクは俺の従魔だから、食べさせてやりたいと思って買ったよ。俺もヒラリさんの店で一度食べさせてもらった。だからもう一度食べたかった。状況が違っても俺なら、残りがあるのか、とかどれくらい食っていいのかと考える。イリアは大人だろ? それくらい気にしないと大変な事になるよ。俺の手伝いで二日あけてるけど、メンバーたちは大丈夫? 依頼の事は?」

「お、俺。楽しくて、なにも考えてなかった。お前の方がよほど大人だよ。本当に申し訳ない。じゃあ、俺、宿に帰るよ」


 それがいいね、とドアを開けて追い出した。

 あいつがいたら話もできないしね。


「主。ごめんなさい。いろいろと私も甘えてた」

「いいんだよ、ハクは。だって、俺の家族だもん。俺ね、大人が都合良く解釈して、旨く立ち回るのって大嫌い。結果、何かがあれば責任はとらない人が多いから。だからあまり親しい人は作らなかった。気分が悪かったよね、ごめんね。でも、俺が人を遠ざけるのは、今までの事があるからなんだ」


 そう言い、日本での自分の生活、巻き込まれて召喚されたけど、勇者は魔王を倒せば戻れるかもしれないけど、俺は戻る術がないと言われた。金を渡すからと言われたんだけど、何だか悔しくてね。それで宝物庫からお宝を三個だけもらうことにした。その代わり勇者召喚のことは他言しないって。だから、この刀と冒険者の服、アイテムボックス鞄をもらった。全部マジックアイテムだし、それで身を守るつもりでいた。でも、今はハクがいてくれる。だから、あんな国の大人とか、どうでもいい。

 

 そういえば、ハクは大きな顔を寄せてくれる。


「主。私で良いならば、命をかけて主を守ると誓うよ。他に従魔ができたとしても、変わらぬ思いで仕えるからね」


 ありがとうね、と他のお菓子を出しておやつの時間を過ごし、皿などを浄化してストレージにいれた


 王宮でもらった魔道テントを見て、ハクが大層驚いてる。

 どうやって使うか、と話し合えば、半分のマットは、ハクが横になってもいいサイズで重ねてみることにした。

 これがかなり良さそうだ。

 下に段ボールを敷き、マットを敷いてみた。

 でも、それなら脚もとの感覚が違うというので、じゃあ、と段ボールの上に、元の通りマットを敷いて、寝床は、ひとり用テントのマットを取りだし、敷物を敷いてみる。

 これが案外気に入ったらしい。 

 俺は、備え付けのベッドを使うことにした。

 トイレもあるし風呂もあるといえば、ハクが驚いてたよ。俺もだけど。


『ここをキャンプ地とする!』


 そういえば、クビをかしげるハクだけど、ここが俺たちの家だよと二人で抱き合った。

 

 じゃあ、明日は村に行かなくなったけど……

 ハクはどうする? と問えば、郊外へ遊びに行くという。草原をみつけたんだそうだ。だから、駆けてくるって。うん、それはいいかもね。

 


 

 朝になってゆっくりと目を開ける。

 ハクは、寝床のベッドでゴロゴロしてたよ。

 俺はギルドに行ってくるけど、どうする? 朝ご飯は? と問えば、もう少し寝てから草原に行くという。

 じゃあ、サンドイッチや飲み物などをたくさん出しておく事にした。果実水も魔法で開けるらしいからね。

 じゃあ、飲み物用のボウルを床に置き、テーブルにはいろんなサンドイッチを山盛りにした。その上には新しいフキンをかけておく。

 別の籠には、パンや肉串、揚げ物、つくね串などを入れて、先にアイテムボックスに入れてもらった。温かいからね。これはハクのお昼ご飯だ。当然、果実水や水も入れてもらった。

 行く時には部屋から転移すると聞いて、その前に連絡をしてと伝えておいた。


 返事をしたハクは、ゆっくりと眼を閉じたね。

 その後、朝食を食べた俺は解体場長を訪ねた。


「おはようございます。今日は行かないことになったので、朝、出しますね。ええと、亜竜の解体をお願いできますか? 取りあえず、あるだけ出します。それと、ワイバーンとマナバイソンで」

「ふん? どうした、何かあったか?」

「ううん、別にないよ。でもね、そろそろ先に進もうかと思ってます。探し人のことが気になるので。出発しても、戻ってまたお願いするかも知れません。ハクが転移できるので。その時はお願いします」

「そうか。わかった。じゃあ、できる限りやるからな。昨日の分、持って帰るか?」

「うん、そうします。あと、皮と肉以外は買取してもらいたい」


 「それはわかってる。こっちにあるから」と肉をとりに行って素材をもらい、新しいのを取り出しておいた。

 精算のカウンターで残りの素材を買い取ってもらい、ギルドの正面から外にでる。

 

 いつものお店にいろいろ頼んで、買うことにした。肉串屋さんは、今日は鶏肉メインだと聞いたので、それがいいから、とできるだけ頼むことにした。じゃあ、今準備できてるのが七十五本らしいので、それを全部買うことにした。果実水のお兄さんは、今日も木箱で持って来てくれてたので、明日は二箱頼みたいと言っておく。そろそろ街をでるのでと言えば、必ず用意するといってくれた。揚げ物屋さんにもいって、既に揚げてくれてたのも含めて、大量にお願いした。


 割と早めにできあがったので、皆に数日中に王都を出ると伝えた。残念だといってくれたけど、また戻ることもあるし、と明日の分はよろしくと頼んでその場を後にする。



 次は商人ギルドに向けて歩き出す。

 あの、稀人のことも気になるし、ハクがかわいそうだ。街は自由に歩けないし、どれだけ広い空間でも、草原にはかなわない。だから、早々に出発することにした。その方がいいと思う。イリアたちも、あのままじゃダメだろうしね。

 

 昨日、国王からもらった詫びは、見ていない。宝石が色々ついた箱だったから。どう見てもただの箱じゃないだろうよ。

 そういえば、ハクを見つけたときにいた豪商の荷物やアイテムボックスの中を確認してなかった。それもどこかで確認しないとね。そうでないと、何もしないで終わりそう。金になるものは金にして、買うものは買う。そうやって、普通の人みたいに生活しないと。なぜだか、金がたくさん集まる。まあ、盗賊討伐をするからなんだけど。

 

 まあ、稀人を探しにいくインデルート国は、あまり治安が良くなさそうな気がする。だから、一日も早くたどり着きたい。ハクがいったことのある国なら、近くまでは行けるはず。あとは、飛ぶしかないだろうけど。気になって仕方がないんだよね、その人のことが。俺にはハクがいるから寂しいわけじゃない。でも、同じ空の下で理不尽に放り出された奴がいるなら放っておけないんだ。


 あ、商人ギルドについちゃった。あ~あ、気が重いね。


「こんにちは。タケルですが、会頭さんはおられますか?」

「はい。どうぞ、こちらへ」


 案内されたのは例の部屋ですね。

 今日で出てきたのは、新しいケーキです。とても美味しそうだし、紅茶もいい香りがしてます。鑑定でもどちらも問題ない。それならいただこうかな。


「お待たせしました、ヤマト様。昨日は大変申し訳ございませんでした。本日もわざわざお越しいただき、感謝しております」

「いえ。いいですよ、別に。今日のケーキは新しいものですね。とても美味しいです。これは売ってますか?」

「もちろんでございます。入荷したばかりですので、後ほど、見ていただきたいです。他にもございますので」


 ほう、それはありがたいね。


「それで、昨日のお見積もりの件ですが、こちらでいかがでしょうか」


 ふむ。買取額はそれなりだね。俺の鑑定より少し高いくらいか。まあ、いいけど。


「これでいいですよ。じゃあ、手続きしてください」


 はい、といつもの男性が出ていった。


 書類をといわれて確認したが、なくなっていたものも、全て同じように書いてあった。うん、これで正規でしょうよ。

 目の前には白金貨の山が乗ったトレイが置かれる。隣りには上質そうに見える革袋だ。


 これはすごいな。いつか、国を買い取れるくらいの金持ちだぞ、これ。買取見積は白金貨二百二十六枚大金貨九枚金貨九枚銀貨六枚が目の前に置かれる。これって、いつか国を買い取れるほどの金持ちだぞ、俺。ちょっと怖くなったのは内緒だな。


 それとは別に小さめではあるが、綺麗に装飾された箱が置かれる。

 これはなにかと問うてみれば、どうやら、今回の詫びらしい。商人ギルドからではなく、当事者の伯爵として、だそうだ。商人ギルドからは、白金貨百枚が入った革袋が置かれた。

 ふむ。昨日の王宮からの詫びも確認してないのに、どうするよ、これ。

 受け取ってほしいと頭を下げる会頭だけど、正直これほどのものは必要ない。


「とんでもございません。正当であるべき商人ギルドが失態を犯したのです。本来でしたら、もっと高額のお詫びを考えるのですが、なにぶん事が事だけに、内密に処理しなければならず。私の個人資産を全額お渡しするだけになってしまいました。誠に申し訳ございません」


 はあ? なんで会頭が個人で?


 会頭によれば、もし、商人ギルドのトップへ話がきこえれば、世界の商人ギルドが大変な事になるからだという。

 まあ、そうだろうな。そうでないとおかしい組織になる。


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