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第1話 王道の異世界転生かと思いきや、巻き込まれだった。

新作を始めます。王道の勇者召喚かと思えば、全く別の世界を築く主人公を楽しんでください。

 はぁ。

 俺は居合道が大嫌いだ。

 本当は空手をやりたい。

 まね事くらいで動画配信サービスをみて挑戦してはいるが、まず、拳を鍛えられない。すぐにバレるから。

 剣ダコは当然あるが、その反対側につく傷をみたら、絶対に父に問い詰められる。

 そんなことをしている暇があるのか! と。


 居合道の大和大家元流やまと・たいか・げんりゅうの本家に産まれ、当然の様に将来を望まれる存在。それが俺。


 大和やまと 武尊たけるなどというふざけた名前を付けた父親を恨むよ。

 母親は静かな人で、父に逆らうことはない。 

 俺を産んだあと、身体が弱く、別荘で療養しているくらいだ。

 そんなだから、生後すぐに乳母に預けられて育った。自宅には乳母の他に専属の使用人がいろいろいて、全てを管理されている。そんな毎日が楽しいわけない。

 それもすぐに終わりを告げる。

 弟が生まれた時、母は生まれたばかりの弟を連れて、養生となのつく別荘に越した。

 だが、俺は長男として残された。五歳にならない間に、金だけ渡されて一人の生活が始まったのだ。



 そんな俺に人生の変化が訪れる。

 今、いる場所は、どうやら王宮らしい。

 だが、ステータスを見て、勇者召喚じゃないと理解する。どうやら、学校帰りに近くにいた学生と一緒に召喚されたんだと思う。巻き込まれ召喚らしい。


 その証拠に、ステータスの確認時、皆は職業が勇者とか剣士とか聖騎士、僧侶などと出ていたが、俺は『大和大家元流やまとたいかげんりゅう』だった。なんだこれは、とザワついたが、僧侶の女子が呟いた


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 種族:人間 十六歳

 職業:大和流大家元流

 生命力180:180

 攻撃力150

 防御力130

 魔力130:130

 スキル:算術Lvel.7/交渉術Lvel.4/気配察知Lv.1

 エクストラキル:言語理解/世界眼Lvel.1 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「華道の家元かなんかで聞いたことある気がするよ」

「カドーとはなんなのだ」


 王は理解不能らしい。


「お花のアレンジしたりするんです。そういう人たちですね」


 おいおい、僧侶さん、何言ってるんだ?


「ふむ。それは勇者の助けにはならぬな」

「お父様、もしや巻き込まれたかもしれません。あなた方はお友達ですか?」


 んなわけないだろうよ!


「全く知らない人です。そういえば、すれ違いましたよね」

「おう、そうだ。確かにすれ違ったな。あの学園の生徒か、とみたから覚えてる」


 なるほどね、確かにそうかもしれない。うちの学園は、そこそこお高い学費を払うし、進学校だから。


「そういうことですか。では、ヤマトさんでしたか、申し訳ございません。ですが、勇者一行でないあなたには、魔王を倒す勇者の仲間には入れませんし、魔王討伐が成功したとしても、前の世界に戻れるという保証はございません。心よりお詫び申し上げます」


 ええと、それって、勝手に生きてゆけということか?


「つきましては、今回のお詫びとして、貴族位を買うことのできるほどの金銭を用意いたします。それでなんとかご承諾いただけませんか?」


 は? 俺はひとりでこの世界に放り出されるということか?


「あの……それはあまりにも勝手すぎませんか? 俺は普通に道を歩いていただけです。お金は当然ありがたくいただきますが、この世界には魔物もいるのでしょう?」

「もちろん、おります。それでは他に何かご希望がございますか?」


 希望か。かなえられるかどうかわからないけど、いうのはタダだしな。


「……それでは遠慮なく言わせてもらいます。宝物庫にあるものの中から三つだけいただきたいです!」


「ええ?!」


 まあ、当然そういうことになりますよね。

 でも、おそらくだが、勇者召喚については他国には漏らしたくないはずだ。この国を救ってほしいということだろうし。そう俺は考えた。


「なるほど。いかが致しましょう、お父様、いえ国王陛下」

「うむ。だが、こちらにも条件を付けさせてもらおう。よいか?」

「まあ、それはかまいませんが、俺の命を狙ったりはしないでくださいね」

「ふむ。それは善処致す。我が国からの条件としては、勇者召喚が行われたことを他言しないということ。それが条件である」


 やっぱりね。

 これほど、異世界転生のデフォルト? と思ってしまう。もしかしたら、最初に異世界転生ものを書いた人って、経験者じゃないのかな。


「約束を守っていただけるなら俺にはなんの問題もありません。あくまでも、約束を守っていただけた場合ですが」

「それは守ろう。では、宝物庫に王女とともに行くが良い。その時に金は用意させる故、王城からでて行くのだ」


 はいは~い。


 

 そのあと、数人の騎士たちと文官を連れた王女と共に、俺は宝物庫へ向かった。途中、目隠しをされたのは仕方がないだろう。


 重厚な扉が開かれて、中に入った。


 これは……

 あんぐりと口を開いて固まるほどの財宝がある。どういうことなんだよ、といいたいが、別にどうでもいい。


 この中から三個。

 探し出すのが大変だ。


「マジックアイテムはどこにありますか?」


 こちらに、と文官が案内してくれる。

 これらがマジックアイテムか。

 鑑定魔法があればいいんだけど。どうだっけ?

 ステータスを確認した。

 ステータスオープンじゃなくて、ステータスだけなら自分しか見えないときいた、さっき。


 ステータス!

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 種族:人間 十六歳

 職業:大和流大家元流

 レベル:1

 生命力180:180

 攻撃力150

 防御力130

 魔力230:230

 スキル:算術Lvel.7/交渉術Lvel.4/気配察知Lvel.1

 スキル:[隠蔽済]居合道術Lvel.MAX 

 エクストラスキル:言語理解/世界眼Lvel.1

 エクストラスキル:[隠蔽済]治療・回復Lvel.6/結界Lvel.2/鑑定Lvel.2/上級五属性魔法Lvel.2/無属性魔法/再生/料理


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 なんだよこれ。

 まあ、詳しいことは後でいい。まずは鑑定魔法だ。間違いなくあるね。


 じゃあ、アイテムボックスを探すか。

 時間停止型で容量無制限っと。

 これも違う、これじゃない……あった!

 指輪か。ブレスレットはないみたいだな。じゃあ、仕方がないか。鞄だと奪われると困るんだが。


 ん? この鞄、変わってるな。


 鑑定*****

 容量無制限・時間停止のマジックバッグ。

 盗難防止アラームと持ち主設定で、盗まれたらすぐに戻ってくる

 普通の小型鞄と見た目は同じ 

 要領無制限 時間停止型

 汚れなし、変形・破れなどの破損も皆無

 採取や魔物のアイテムなどを取り出す、容量の小さいマジックバッグに偽装できる(設定持ち主以外は、容量が小さく底も浅い)

 *****


 おお、こっちの方がいいな。

 

 これと、と肩にかける。肩掛けバッグだけど、小型だからね。

 あとは、武器か、地図か。

 地図はこの中だと古いものだろうな。じゃあ、武器か。


「すみません、武器はどちらですか」

「武器?」

「はい。一応何かないと不安だし舐められるので」

「あはは、そうですよね。こちらです」


 文官は笑顔で案内してくれる。

 うわぁ~いろいろあるなぁ。

 とりあえず、剣か。

 こっちの剣は両刃だよな。それは使えないと思う。片刃の剣はないだろうかと聞いてみれば、書類を確認して案内してくれた。


 そこにはいろいろあったよ。

 曲がった剣とか尖った剣もある。でも、さすがに刀はないか?

 いや、あれは?


 騎士さんに頼んでとってもらった。日本では中肉中背の俺では届かなかったんだ。この世界のやつらは、デカいんだよな。ほんと、やな奴らだ。


 これ、見かけは刀だけど。

 重さはそこそこあるな。でも、慣れた感じの重さだ。

 抜いてもいいというので、騎士さん立ち会いの下、抜刀する。

 

 見た感じはいつも使っていたものだけど。材質はなんだ?


 鑑定*****

 使用者の使いたい剣に形を変える『異形の剣』

 使用者設定

 材質:ミスリル、魔法銀、タンザナイト、ダイヤモンドなど

 *****


 ほう、これはいいかもしれない。

 ダイヤも入ってるのか。ということは、この世界にはダイヤがあるということだね。


 これも、と渡せば驚いているんだけど。


「見掛は俺たちの世界でよく見るものなんです。実際には使われていませんでしたけど」


 そういえば、なるほどと納得してくれた。


 王女は全く興味がなさそうで、自分のためのキラキラをみてる。くだらないね、これで魔王とか、危機感ないよ。


 じゃあ、あとはどうするかな。

 本当は手に付ける防具みたいなのがほしかったんだけど、それはないらしい。まあ、空手は見てただけで全く知らないから、後の話だな。


「次で最後ですが」


 うん、文官さん、わかってますよ。


「ええと、冒険者が付けるような防具とか服はありますか?」


 こちらへ、と案内してくれたんだけど、俺の欲しがるものはマジックアイテムだけだと理解したらしいね。

 まあ、そうだけど。あ、でも。お金っていくらもらえるのかな。


「あの、貴族位が買えるくらいのお金を用意してくれるって聞きましたけど、いくらくらいですか? それによって、生活優先しなくちゃなので」

「それならば問題ございません。白金貨一千枚でございますので」

 

 白金貨? どれくらいだ?


「召喚されたばかりですからわかりませんよね。こちらでは、貴族が食べるパンがひとつ銅貨一枚と考えてください。銅貨(100円)が十枚で小銀貨一枚(千円)小銀貨十枚で銀貨一枚(1万円)、銀貨が十枚で金貨一枚(10万円)、金貨が十枚で大金貨一枚(100万円)、大金貨十枚で白金貨一枚(1千万円)です。あとは、銅貨の下に鉄貨がありますね」


 うわぁ~、面倒だね。

 でも、それで計算すれば……一億、十億、百億?! 


「わ、わかりました。じゃあ、冒険者が身につけるもので。できればセットの方がいいです」


 では、と辺りを指し示してくれるんだけど。これ、どれだけあるのよ。


 じゃあ、俺に適したものがいいな。どれだろう、何もわからないけど。


 一応、鑑定してみる?


 鑑定*****

 冒険者(剣士)に適した洋服と防具 使用者設定

 上下服(刃傷がつかない、汚れない、破れないなど)

 靴(刃傷がつかない、汚れない、破れない、すり減らないなど)

 肩胸当て(刃傷がつかない、汚れない、破れない、すり減らないなど)

 旅のローブ(刃傷がつかない、完全防水、汚れない、破れないなど)

 使用者設定必須で自動的に身体に合う

 *****


 あ、いろいろ出たね。

 ほんのり緑に光ってるやつか?


「あの、あれをお願いします」


 わかりました、と騎士さんに伝えて持って来てくれた。ちゃんと袋に入ってるね。中身はどうかな。

 うん、書いてあるとおりだよ、これ。でも、黒とかじゃなくて、普通だね。

 しかし、恐るべしマジックアイテム!


 じゃあ、これで終わりですと文官さんに頭を下げた。


「では、こちらが迷惑料でございます。白金貨一千枚です。お確かめください」


 はい、といったものの。

 どうやって確かめるんだよ! そうだ、鑑定でできないか?


 鑑定*****

 白金貨一千枚 迷惑料として支給 全てすぐに使用可

 *****


 さっそく、鞄に入れようと白金貨の袋に手を置けば、するっと消えた。


「では、こちらへ。着替えをされますか?」

「あ、はい。そうですね。どこかお借りできますか?」

「小部屋がありますので、そちらでどうぞ。申し訳ありませんが、入り口を開放した上で騎士の監視がつきます。終わり次第、裏門へご案内いたしますので」


 はい、ありがとうね。その方が俺は楽です。


「では、姫様は引き続きご覧のようなので、私は戻ります。この度は本当に申し訳ございませんでした」


 おお、深々と頭を下げてくれたぞ、文官さん。

 

 では、と他の騎士たちと戻ったね。

 俺は、すぐの扉が開かれたので、中に入ると小部屋を指された。当然、聞いたとおりにドアは開きっぱなしで騎士が見てるけどね。


 でも、そんなことはどうでもいい。

 さっさと服を脱いで、冒険者の服を身につける。

 なんと、刀には腰のベルトも付いていた。どうりで大きな箱に入ってると思った。

 じゃあ、とベルトの上からそれを下げて身につけた。

 マジックアイテムの鞄を肩からかけてみたが、さっきの白金貨の重さはない。まさか、と思ってどうすれば中が見えるんだ? と蓋を開ければ出てきたよ、明細が。うん、ちゃんと入ってる。重さも感じないのか。すごいね。

 身につけていた服も靴も全てを鞄に入れて立ち上がり、旅用のローブを羽織る。

 少し長いかな、と思えば、何かが出てきた。


『身につけたマジックアイテム全ての所有者をタケル・ヤマトに設定しますか?』

 

 これか。もちろんだよ。とイエスをタップした。

 ほんのり光った気がしたけど、サイズが調整されたね。小さなプレートには、所有者『タケル・ヤマト』と出てた。明細それぞれ全てに所有者の名前があったので大丈夫だろう。


「お待たせしました。では、お願いします」


 うむ、と騎士さんは裏門に案内してくれた。

 門を出て、街道を左にゆけば街中へ、右に行けば王都門にむかうからと教えてもらい、とりあえず街へと脚を向けた。


読んでいただきありがとうございます。10話くらいまでは1日二話の投稿をしますので、この後もよろしくお願いします(^^)/

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